映像制作に携わっていると日々色々な専門用語を聞いては
!?
となります。
なかなか忙しい現場にいると、わからない専門用語を「どういう意味ですか?」と聞くのも憚られ、
あとからこっそりネットで調べることも…笑
今回はなかなかに専門的な言葉だと思われる「ノンモン」について解説してみたいと思います。
ノンモンとは
ノンモンとは「ノン・モデュレーション」の略語で、
番組やCMの頭と終わりの無音部分のことを指します。
一般視聴者としてテレビを見ていると気づかないですし意識することはないと思うのですが、
実は番組やCMの切り替わりの部分でノイズが入らないように、このノンモンと言われる無音部分が挿入してあるんですね。
一般的には、テレビ番組だと2秒、CMだと15フレーム分(0.5秒)程度、無音部分を前後に作っています。
※1秒は30フレームで、15フレームは15Fと表記されることもあります。
番組の場合はテレビ局の方で無音部分を挿入するのですが、
テレビCMを制作する場合は、制作会社がこの無音部分を挿入して、そのデータ(あるいはテープ)を納品します。
15秒のテレビCMであれば、映像自体は15秒ですが、
音声の部分は14秒しかない、ということです。
同じように、30秒のCMであれば映像は30秒だけれど、音声は29秒ということですね。
このノンモンというのは、日本のテレビCM放送素材を作る時の業界ルールです。
どのような素材であっても、このノンモンを必ず挿入して素材を作る必要があります。
ノンモンが挿入されていない素材に関しては放送局で納品を受け付けてもらえない、ということもあります。
CM内容の開始点より最小限0.5秒間、終了点前の最小限0.5秒間を無音声とし てください。
一般社団法人 日本民間放送連盟・営業委員会 一般社団法人 日本広告業協会・テレビ小委員会
テレビCM素材搬入基準より
関連記事:テレビCMの納品について、広告主が知っておくと良い知識
ノンモンの役割
テレビ番組やテレビCMの切り替わりにノイズが入らないためにノンモンがあるというお話をしましたが、
さらに、これら番組やCMの境目が視聴者にとってわかりやすいものになるように、という狙いもあります。
特にテレビCMなんかは色々な企業のCMが連続して流れますよね。
CMの終わりの方まで全部ぎっちり音が入っていると、どこからどこまでが一つのCMなのか、ということがわかりにくくなる場合があります。
テレビCMの最後のカットはぶら下がり、と言われることもありますが、
このぶら下がりのところに重要な情報を入れたり、企業のロゴを表示したり、ということがよくあります。
これがギリギリまで入っていると、次のCMの切り替わりがわからなくなってしまったり、前のCMと後ろのCMの音がぶつかってしまうことがある、ということです。
ノンモンがあることで、CMの切り替わりにクッションが挿入されるようなイメージですね。
実は海外のCMは30秒や60秒といった長尺のCMが主流で、
日本のように15秒のCMというのは主流ではありません。
日本は世界に比べて、短尺のCMが非常に多い国なのです。
ノンモンは連続して短尺のCMがたくさん流れる日本ならではの工夫とも言えるでしょう。
近年のノンモン事情
以前はアナログテープでしたのでちょっとした雑音が入ってしまうということもあったわけですが、
今はデータをオンラインで納品することができるオンライン送稿が始まっています。
そうすると人の耳では聞こえないような小さな音が、データに含まれてしまっていて、そのせいで納品不可、ということになってしまうというケースも少なくありません。
最近だとProtoolsなどのDAWソフトの少しの遅延のせいで納品が不可になる、ということがあるんですね。
これは自動のチェックツールで弾かれてしまうようです。
プラグインの影響で音がずれてしまう、ということが結構あります。
人間の耳では聞こえない音なのですが、でもだからこそ、チェック時にきちんとチェックしきれないということが起こるのでしょう。
納品が遅れることによって放送に直接影響が出てくることもありますので、
ここはしっかりと手間をかけてチェックしても良い部分なのかな、と思います。
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専門用語も仕事も現場でコツコツ覚えるもの
今回は映像制作の現場における専門用語について解説してみましたが、
こういったものは現場でコツコツ覚えていくものです。
もちろんお仕事の内容も。
入る現場によって仕事内容も全く変わってくるのが映像業界ですので、業界に入ったばかりのうちはとても苦労することが多いと思います。
最近はネットでもこういった専門用語を調べれば意味が出てくることも多いですし、少し仕事が落ち着いたら先輩に質問をしてみるのもコミュニケーションにつながって良いでしょう。
覚えることはたくさんありますが、教本のようなものがある世界ではなく、現場で失敗しながら学んでいく業界なのだと思います。
業界で働く人のためにも、また用語紹介などもこちらのサイトで行っていけたらと思っています。
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