テレビにとって、4月と10月は『改編期』と呼ばれる番組が大きく変わる時期。
改編期が近づくにつれて、ネットニュースに、あの番組が終了する、だの、放送時間や放送曜日が移動する、だの、テレビの話題で賑やかになりますよね。
終わる番組があれば、始まる番組もあります。その新番組、どうやって決まっていくのでしょうか。新しく始まるその企画、誰が作っているの?
というわけで、今回は、企画にまつわる話です。
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企画はどうやって募集されている?
企画は編成局という、テレビ番組を統括しているところで受け付けています。
番組表を構成したり、どのタイミングでどんな番組を放送するのかを決める部署で、テレビ局ならではの部署。
制作局が番組をつくる実動部隊とすれば、編成局はブレーン。
企画の集め方はさまざまありますが、次章から、代表的なのを書き出してみました。
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企画の集め方
①テレビ局内で、募集される
「何月何日放送の企画を募集」、あるいは、「何曜日何時からのレギュラー枠の企画募集」などは、外部に漏れてはならない、取り扱い注意の情報。
テレビ局内で通達されて、局員が企画を提出します。
ときには、制作フロアに企画募集の張り紙が出されていることもあり、局内で働く人たちは誰でも提出することができる場合もあります。
張り紙されている場合は、局員だろうが、制作会社に所属していようが、ディレクターでも、アシスタントディレクターでも、出すことができます。
②番組のプロデューサーが制作会社のプロデューサーに声をかける
テレビ局員の番組プロデューサーの仕事は、担当番組のプロデューサー業務とともに、企画を出すのも大事な仕事です。
局員として出世するには、高視聴率番組を生み出すこと。
しかし企画を書く作業は労力を伴うものなので、1人で数本提出するには限界があります。
そこで、懇意にしている番組制作会社のプロデューサーに声をかけて、協力して作ります。
番組プロデューサーはコンセプトや、ジャンル、どんなタレントを使うのか、などのイメージを伝えて、制作会社はそれに肉付けをしていきます。
取材先や撮影場所のイメージも載せるため、そのリサーチも制作会社が担います。
企画を出す段階では費用は出ません。そのかわり、企画が通ったら、企画に協力した制作会社が制作を請け負い、制作費のなかから企画にかかった費用をカバーします。
また、番組プロデューサーが、フリーのディレクターや構成作家とチームを組んで作成する場合もあります。
企画会議を何度か繰り返し、設定や見せ方、演出などをブラッシュアップしていきます。
③制作会社向けに企画募集の説明会を開催
テレビ局が番組制作会社向けに、企画募集の説明会を開催することもあります。
説明会では、視聴の傾向や視聴者属性などの説明や、局としてどんな番組を求めているのか、を説明してくれます。
制作会社はそれに基づいて企画書を作成。締め切り日までに提出します。
④制作会社から持ち込む
制作会社によっては、特別な人脈をもっている会社もあります。
スポーツ選手やアーティストなど知名度が高く、有名であればあるほど、自身のプライベートは気心知れた人にしか見せません。
例えば、アントニオ猪木さんの病床の密着や故立川談志さんの晩年のドキュメンタリー。
これらは、長い間、彼らと過ごした制作会社のプロデューサーやディレクターが制作しています。
撮りためていた映像を番組にしたい、とテレビ局に企画として持ち込むこともあります。
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既存の番組をマイナーチェンジするときは…
番組が回数を重ねるにつれて、原型から形を変えていくことがあります。
例えば、日本テレビ日曜日に放送されている「行列のできる相談所」。
始まったときは、「行列のできる法律相談所」でした。法律のクイズバラエティだったのですが、今はその要素はあまり残っていません。
朝の2時間の情報番組では、新しいコーナーが突然開設されたりします。
既存番組のマイナーチェンジや新コーナーを開設する場合は、番組に関わっているディレクターやアシスタントディレクター、構成作家がアイデアを出すことが多いです。
視聴率が上がっているコーナーをプロデューサーや構成作家がより面白くなるように少しずつアレンジをしていって、名物コーナーへ育てたり、ゲストとして呼んだタレントがレギュラーになるにあたって、コーナーをつくったりします。
そういうマイナーチェンジの企画は、番組に関わるスタッフが会議室に集められて、企画を出し合って決めていくことが多いです。
テレビ番組の企画は、番組に関わるだれでもが出すことができます。アシスタントディレクターでも出すことができるんです。
ADが思いついた「こんな人に、あんなことをさせてみたい」というアイデアであっても、プロデューサーやディレクター、構成作家が磨き上げていって番組になる。そういうこともあるんです。
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