最近テレビ局のスタッフルームで感じるのは、女性スタッフが多いということです。
どの業界においても女性の進出や活躍というのは増えてきているとは思いますが
では「テレビの仕事ってそもそも女性に向いているの?」ということについて書いてみたいと思います。
もちろん個人差があるのですが、
個人差の他にアシスタントディレクターかディレクターかによっても女性に向いているかどうかの違いがあることは意外に知られていないのではないかと思います。
そもそも女性に向いている仕事ってどんなものがあるの?
よく男性脳、女性脳という言葉も言われるように、男性と女性というのは考え方や得意なことが異なると言われますよね。
ではそもそも女性に向いている仕事ってどんなものがあるのでしょうか。
女性の比率が多い職業を見てみると
- 保育士
- 歯科衛生士
- 美容師
- 栄養士
- 看護師
- 一般事務
など。
これらほとんどの仕事はなんと全体の98%近くが女性担っています。
ただ、一般事務の仕事は女性の仕事のイメージが強いかもしれませんが、保育士や歯科衛生士と比べると、男性の比率もかなり多くなっている仕事です。
これを見ると、栄養や、歯科医の補助的な存在、栄養を考える仕事などのきめ細かい仕事が女性に向いていることがわかりますね。
これに対して男性の比率が多い仕事は何かというと
- 電子技術者
- 建設業、土木
- 消防士
- 測量技術者
- 通信技術者
- IT関連技術者
など。
これらの仕事の殆どは男性が占めています。
これを見ると技術や、力仕事など測量や数値に関すること、またものづくり関係の仕事が多く、まったく女性と仕事の傾向が異なることがわかると思います。
よく男性は左脳で判断し、女性は感情の右脳も使って判断するといわれますが、
男性は数値をもとに理論的に判断、問題を解決するので、上記のような技術系、ものづくり系の仕事に向いているようです。
その他男性は一つのことにのめりこむタイプが多く、それも仕事に表れているのではないでしょうか。
良い意味でオタク気質という感じですね。
一方女性は数字より感覚を重視、共感性が高いので適応能力が高く、マルチタスクも可能ですが理論的に問題解決するのは苦手、
というような特徴が見受けられます。
ではテレビの仕事に女性は向いているのでしょうか。
かつてはテレビの仕事は男性中心だった
実はテレビの歴史はそれほど長いわけではなく50年~60年ほどのものです。
2020年は東京でオリンピックが開催されますが、テレビが広まったのは前回の東京オリンピックつまり1964年の時でしたから。
それから一気にテレビ時代になっていき、番組制作に携わる人口もどんどん増えていったんですね。
1970年代以降から1990年頃まではテレビの仕事に就いていた人は圧倒的に男性が多かったと思います。
テレビの仕事と言えば男性に向いていると思われていたんですね。
その理由は、
- 時間が不規則
- ロケなど地方に行くことが多い
- 徹夜もある
- 力仕事もある
というように女性が入りにくい要素が確かにありました。
その結果男性が多くなり、男性に向いている仕事というイメージができてしまい、女性が入りにくくなったということもあったように思います。
ところが1990年頃からテレビの制作現場に急激に女性スタッフが増えてくるようになりました。
徐々に男性だけに向いている仕事ではなく、実は女性にも向いているということが浸透して来たのだと思います。
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テレビの仕事がなぜ女性に向いているのか
テレビの仕事というと撮影をして、編集をして番組を作っていく、
そんな大まかなイメージがあると思います。
確かにそうなのですが、番組を作るには実は数多く細かい仕事があります。
- 撮影をするなら撮影場所の確保、許可申請。
- お店を取材するならお店探し、お店との交渉。
- 写真や、映像を使う時は許可関係の仕事。
- ロケに行くならタレントさんはもちろんのことすべてのスタッフへの連絡や、移動手段の確保、宿泊場所の確保など。
実にやることが多く、しかも困ったことにそれは毎回番組ごとに異なるので、マニュアルにできないということです。
マルチタスクとは同時に複数の仕事をいい、女性が得意とするといわれます。
必ずしもマルチタスクは効率がいいとはいえないのですが、
テレビの仕事の現場においては、取材先やオンエアの時間の制限もあるので、どうしても複数の仕事をこなすマルチタスクを求められる場合も多いのです。
テレビの仕事には許可申請の仕事も多く、これはほとんど事務作業と言ってもいいと思いますから女性に向いていると思います。
またはじめての人に取材を申し込むなどコミュニケーションや、相手に良い印象を与えることなども実は大事な要素になるんですね。
特にアシスタント・ディレクターの時代はこのような雑用の仕事がとても多くマルチタスクを求められてしまいます。
こうやって見ていくと、実は女性に向いている部分も多くあるんですね。
- 許可関係は事務作業に近いので女性に向いている
- 出演者や取材先に気配りができる方が良い
- 今必要なものを場の雰囲気や相手の気持ちになって考えることができるとよい
- 取材先などはじめての人とも感じよく話すことができるとよい
- テレビは複数の人で作業するのでチームプレイが得意な方がよい
- 一度に複数の仕事をこなせるとよい
どうでしょう。
やはり男性より女性に向いているんじゃないかと思うのではないでしょうか。
テレビの仕事はこまごまとした仕事が実にたくさんあるので、ちょこまかと気を配れる女性が実は向いているんですね。
特にアシスタントディレクターの間はこのような傾向が強いので女性に向いている仕事と言えると思います。
加えて最近は働き方改革で徹夜も無くなりつつあり、かつてのようなきつい仕事の現場ではなくなりました。
危険なことをやることもほとんどないはずです。
さて、アシスタントディレクターを数年経験すると、通常はディレクターになりますが、
ではディレクターになると女性は向いているのかというと、またちょっと違ってきます。
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ディレクターになると男性が目立つようになるけど女性も活躍
実は女性には苦手分野があります。
理論的に考えるのが苦手な人が多いので、
トラブルが発生した時に何を重点にして処理するべきかの順序や
理論的に判断して解決していくのが苦手な人が多いのです。
判断が遅れたり、どうやって解決していいのか理論的に考えられないという女性も出てきてしまいます。
これは最初に言った男性脳と女性脳の違いもあるので、仕方のない部分もあると思います。
実はテレビの制作現場にはトラブルはつきものです。
取材先とのトラブルや、映像に問題がある、著作権の問題、社会的問題、クレームなど言い出したらきりがありません。
特にテレビは国の許可事業ですから、厳しいチェックが常にかけられているんですね。
それでもアシスタントディレクターのうちはディレクターの指示に従って動きますから
トラブルや困ったことが起きればディレクターに相談すれば処理してくれたと思います。
ところがディレクターになると今度は責任が大きくなりますから、自分で判断、処理しなくてはいけない場面が出てくるんですね。
このためアシスタントディレクターはいいけどディレクターになりたくないという女性も中にはいます。
もう一つ、ディレクターになると自分で企画を立てるようになります。
ゼロからものづくりをするわけですが、それができないという女性もでてきます。
逆に男性がディレクターになって個性的な番組をどんどん作って頭角を表していくというケースが出てくるんですね。
一つのことにのめりこむ男性気質がマッチするのかもしれません。
だからと言ってディレクターになると女性が活躍できないのかというと全くそうではありません。
現にディレクターとして働いている女性がたくさんいます。
もともと男性的な気質があった人もいるでしょうが
もう一つ言えることは、理論的に判断したり、解決するという能力は経験値で伸びていく部分だということです。
アシスタントディレクターのうちに先輩のやり方を勉強し、理論的に判断する癖をつけていけば充分可能性があるということなんですね。
また、企画ということについてもいつもアンテナを立ててどんなことが企画になるかと考えるのは、いわば訓練で培われるものなんですね。
なので、女性であっても全く問題は無いわけです。
女性目線の企画は女性の視聴者には受けやすいので、今後も女性のディレクターにはどんどん活躍してもらいたいところですね。
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