弊社ライズプランニングは、テレビ局出向型の番組制作会社です。
主に情報・報道番組の制作に携わっています。
今回は、テレビ番組を見ていると度々見かける水中撮影について、考えてみたいと思います。
水中撮影はどんな時に必要?
例えば情報や報道番組だと、
- この海に今、異変が起きています…というナレーションとともに生態系の変化について特集するコーナー
- 地元の漁師さんの熱い思いに密着するコーナー
などといったコーナーが思い浮かぶかなと思います。

それ以外でも、教育番組で水中生物に関するものを扱ったり、旅行番組で沖縄の海にダイブ!なんていう番組も見かけたりしますね。
普段なんとなく見ているテレビ番組ですが、意識して考えてみると、意外に水中撮影のものも結構あることに気付かされます。
ではこういった水中撮影はどのように行っているのでしょうか?
関連記事:【初心者向け】テレビカメラ撮影をする時のチェックリスト
水中の撮影をする水中班
テレビ局にもよるのですが、局の中には水中撮影を専門に扱う水中班と呼ばれるチームが居たりします。
日常では見られない、全国の水中の景色を撮影することを専門とするチームなんですね。
ですが、水中での撮影はいつも危険と隣り合わせ。
水中班は水中での撮影を安全に行うために、撮影の訓練や日常的な機材の点検を念入りに行っています。
水の中だからこそ通常の撮影よりも必要な機材が増え、さらに精密機械は水には弱いので、細やかな点検が必要です。
もちろん機材のセッティングも水中では大変なのですが、
水中ではスタッフ同士のコミュニケーションも取りにくい、という難しさがあります。
例えば普通のロケであれば、
ちょっと位置が微妙なので、〇〇を上手側に動かして!
といったように、口で説明して位置を調整したりすることが可能ですが、水中ではそうはいきません。
ちなみに上手とは、カメラの画面を通して見た時の右側のことを指します。
撮影現場で使われる専門用語については別の記事に詳しくまとめていますので、そちらをぜひご覧ください!

水中では声を発することができませんので、カメラマンが意図した画角になるように、スタッフ同士の呼吸を合わせて画角作りをしていく必要があります。
水中訓練はどんなことをやる?
水中撮影はいつも危険と隣り合わせのため、水中訓練を定期的に行うというお話をしましたが、実際どのような訓練をやっているのでしょうか?

水中訓練では、プールを使用して、効率的な泳ぎ方や筋力強化の訓練などを行っています。
もし撮影中に何かあったら、自力で泳いで戻ってこなくてはいけない時もありますからね。
撮影では「もしも」の時のことを考えて行動をしていく必要があります。
当然泳ぐ練習もたくさんしますし、ダイビングに必要な器材を外しても陸上まで戻ってこれるか、というような訓練もします。
例えばフィン(足につけるヒレ)を外して泳いでみる。
フィンをつけて泳いだことがある方はわかると思うのですが、フィンを付けるだけでものすごく泳げるようになるんですよね。
フィンを付けた状態に慣れていると、フィンを外した時の心許なさにびっくりします。
結構泳げている気になっていたのに、泳いでも全く進まなくなってしまうのです。
さらには、ゴーグルを取って目を開けて泳ぐ、というような練習もします。
プールの場合は消毒された水ですが、海の場合は海水なので塩水になります。もちろんとても目が痛くなります。
それでも、「ゴーグルがなければ泳げない」となってしまうと、有事の際の生存率が低くなります。
あとは重りを身体につけて泳ぐ練習なんかもしたりしますね。
撮影機材を持って潜るとやはり重くなるので、機動性が悪くなります。
それらの機材が自分に巻きついて身動きが取れなくなる、というような事態も想定できます。
そういった時も、自力で泳げるように、訓練を日頃からしっかりしておくことが大切です。
こういった水中撮影をされる方は、プライベートでもダイビングなどを嗜まれている方が多いです。
関連記事:ドキュメンタリー番組の制作。ディレクターはどう撮影しているの?
水中撮影スタッフになるには
大手テレビ局であれば水中班が局内にあることもありますが、狭き門ではあります。
技術スタッフの場合、技術力はもちろん必要ですが、それに加えてダイビングの技術も必要になるからです。
ほとんどの企業では、ダイビング技術をイチから育てていくということはできません。
求められるのは「即戦力」です。
どうしても水中撮影スタッフになりたいのであれば、まずはダイビングスキルを身につけること。
テレビ局以外であれば、水中撮影専門の制作会社などでも募集があります。

