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キャッチコピーに著作権はある?CM制作時に知っておきたい権利の話

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テレビCMを見ていて印象に残るキャッチコピーってありますよね。

  • 「すぐおいしい、すごくおいしい」日清食品 チキンラーメン
  • 「お、ねだん以上。」ニトリ
  • 「あなたと、コンビに、ファミリーマート」ファミリーマート
  • 「ひとの 時を、想う。」日本たばこ産業株式会社
  • 「ココロも満タンに」コスモ石油株式会社
  • 「ファイト!一発」大正製薬 リポビタンD

このキャッチコピーを見るだけでなんとなくCMの映像を思い浮かべることができるものも多いです。

弊社ライズアドバートはテレビCMをメインに取り扱う広告代理店ですが、

グループ会社でCM映像の制作も行っており、テレビCMを放送したいという企業さまからご要望をおうかがいして、CMの絵コンテをご提案するところから始めることが多々あります。

ある企業さまが「こんな風にテレビCMを作りたい」と資料を送られてきたのですが、

その中に「あれ、このキャッチコピー、なんだか聞いたことがあるな…」というのがありました。

えいぞーさん

これって権利的には大丈夫なのかな…?

と疑問に思ったんですよね。

真似しているという意識はなかったとしても、どこかで聞いたことがあるキャッチコピーだと自然とアイデア出しの時に出てきてしまう、ということもよくあります。

今回はキャッチコピーの著作権について考えてみたいと思います。

キャッチコピーに著作権が認められることは少ない

キャッチコピーやキャッチフレーズなどの短い文章は著作物として認められるケースは少ないんですね。

そもそも著作物というのは創作性があるもの、と定義されていますが、

キャッチコピーのような短い言葉は似たようなものが世の中に溢れているので、著作物を認めるのが難しいようです。

書作物として認められるものは?
  1. 小説、脚本、論文、講演そのほかの言語の著作物
  2. 音楽の著作物
  3. 舞踊または無言劇の著作物
  4. 絵画、版画、彫刻そのほかの美術の著作物
  5. 建築の著作物
  6. 地図または学術的な図面、図表、模型そのほかの図形の著作物
  7. 写真の著作物
  8. 映画の著作物
  9. プログラムの著作物
えいぞーさん

一応言語の著作物も含まれて入るのですが、キャッチコピーだと短すぎたり、言葉がありふれているというので著作権が認められるものが少ないんですね。

一応今までにもキャッチコピーが著作物として認められたケースはあります。

書籍「ゴロで覚える古文単語記憶術」の著者が作った古文単語の暗記の為のの語呂合わせに似ている語呂合わせが似ている書籍に掲載されていて著作権侵害であると裁判で争われたもの。

これでは、古文単語「あさまし」及び「めざまし」とその現代語訳「驚くばかりだ」の語呂合わせ「朝めざましに驚くばかり。」という覚え方について著作物だと認められた判例がありました。(東京高判平成11年9月30日)

また、チャイルドシートの普及キャンペーンとして使われた標語についての裁判もあり、

「ボク安心 ママの膝(ひざ)より チャイルドシート」というスローガンが真似されてしまい「ママの胸より チャイルドシート」と使われた件で、

元のスローガンには著作物性が認められています。

ただ、真似されたと訴えられていたスローガンに関しては、類似性は認められず、著作権侵害は否定されていました。

また、流行語対象になるようなかなり短い言葉や単語も著作物には該当しないとされています。

文化庁において著作権テキストが公開されていますので、ぜひそちらも確認してみてください。

関連記事:頭に残るCMのキャッチコピーとその共通点を広告代理店が解説

著作権侵害にはならないが、印象にも残らない

キャッチコピーが似ていても、それが著作権侵害になるケースは非常に少ないということがわかりました。

ですが、そもそもキャッチコピーをCMで使う目的を考えてみましょう。

そのキャッチコピーをつけることで、印象に残って欲しい、商品やサービスを覚えて欲しい、というが本来の狙いであるはずです。

それが他社のキャッチコピーと似通ってしまっていては本末転倒ですよね。

もしかしたらCMをした時に、その似通った他社の方が思い出されて記憶に残ってしまうかもしれません。

商品やサービスを覚えて欲しいからこそキャッチコピーをつけるのであって、

キャッチコピーが印象に残ればなんでも良いというわけではない、ということを今一度念頭におきたいところです。

関連記事:インパクトのある広告キャッチコピーのつけ方

CM制作時は権利の確認を

キャッチコピーに関しては著作物性が認められることも少ないですし、著作物性が認められても、著作権侵害となるケースはさらに少ないです。

そのためそこまで過敏になることはないとは思いますが、それでもキャッチコピーに関しては類似したものがないかということはネットで検索するなどして一度調べてみても良いかもしれないですね。

また、今回はキャッチコピーの著作権についてお話ししましたが、テレビCMに関してはさまざまな権利が絡んできます。

例えば音楽もフリー音楽を使う場合は商用利用OKのものじゃないといけないですし、

タレントさんも半年や1年など、契約期間がある方が多く、その契約期間を超えて素材を使用することは権利侵害にあたります。

こういったところは制作会社がフォローできる部分ではありますので、きちんと相談しながら進めていけると良いのかな、と思います。

テレビCMの制作をする時は、単純に映像制作会社を探すのではなく、テレビCM制作の実績がそれなりにある制作会社に依頼するのが良いでしょう。

関連記事:CM動画を制作する時に知っておきたい権利の話

ABOUT ME
長倉 さやか
ライズプランニング(広告部)」の長倉です。広告手段としてのテレビの使い方やテレビメディアの楽しさを多くの人に知ってもらえるように執筆しております。

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