最近動画を見ていると、CCという表記を見かけることがあると思います。
これはクローズドキャプションの略なんですね。
今回はこのクローズドキャプションについて解説してみたいと思います。
クローズドキャプションとは
クローズドキャプションは、視聴者がリモコンやボタン操作によってオン・オフの操作をすることができる字幕のことを指します。
聴覚障害の方々や聴力の弱い高齢者の方を中心に、テレビ番組が音声なしでも楽しめるように付けられているものなんですね。
動画にもこのクローズドキャプションをオンにすることができる機能がついているものが多いですが、
音声を流せない時や何か別のことをしながら動画を見ている時などは役立つと思います。
あとは病院や空港の待合のところに、クローズドキャプションがオンになっており、音声が消音(あるいはかなり小さい音)に設定されたテレビが置かれているのも目にしますね。
動画の場合は、さまざまな言語に対応しているものもあり、
聴覚障害のある方や高齢者の方のためのものではなく、グローバルにコンテンツが楽しめるために、欠かせないものになりつつあります。
ちなみにクローズドキャプションは「クローズド」と付いていますが、
これに対してオープンキャプションと呼ばれるものもあります。
オープンキャプションはニュースやバラエティ番組などの画面上に表示されるスーパーやテロップの方で、これは視聴者側でオン・オフができないものですね。
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テレビ番組制作におけるクローズドキャプションの歴史
このクローズドキャプションは1970年代初めからアメリカで研究が始まったものです。
最初は聴覚障害がある方、耳の聴こえが悪い方のために研究がスタートし、日本でその研究が始まったのは1990年代です。
2000年からはニュース番組でアナウンサーが話している内容が、音声認識システムによって自動的に字幕となるようにまでなりましたが、
実はクローズドキャプションを使うためには専門機器が必要だったため、あまり普及しなかったという背景があります。
2003年から始まった地上波放送のデジタル化により、
字幕受信機能を備えた地デジテレビが普及して、現在ではほとんどの地上波番組にクローズドキャプションが付くようになっています。
収録済みの完パケについては、字幕を制作する専門の会社もあります。
映像素材を送って、その素材から字幕を作成し、字幕放送用のデータ(NABデータ)で納品したり、 XDCAMと言われる番組の納品テープに字幕を重畳したものを納品したりもしているんですね。
生放送番組に関しては、タイピング、つまり人の手によって字幕がつけられています、
高速入力に適した特殊なキーボードがあるんですね。
事前に入手してあるニュース原稿などから、固有名詞の感じ変換がスムーズに行われるように辞書登録などを行なって、とにかくタイピングスピードを優先し字幕を作っています。
ただここ最近はリスピークと呼ばれるAI技術による音声入力システム採用されています。
スポーツの生中継や情報番組において、別室でアナウンサーが内容を読み上げ直し、それを自動認識させて、流し込んでいるんですね。
アナウンサーさんの声はとっても聞き取りやすいですもんね!
この方式だと、ほぼ100%、自動で音声が認識されテキスト化されます。
最近は多方面で音声入力が飛躍的に進化していますよね。
私もGoogleドキュメントで音声入力を使ったりしますが、精度が年々上がっているな、と感じます。
これからこの音声からテキスト化する、という技術はますますクローズドキャプションにおいて重要になっていきそうですね。
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ADの仕事も楽になる?
ちなみに情報・報道番組においては、
取材した内容をいち早く番組に反映させるために、映像素材に含まれる音声情報をテキストに起こし、制作スタッフに共有する、というお仕事があります。
これは主にアシスタントディレクターの仕事になるのですが、この文字起こしが本当に大変な作業なんですよね。
何か新しいものを作る作業ではありませんし、映像を見ながらただひたすら文字に起こしていくという作業ですから、どうしても単調で辛い仕事になりがちです。
そして情報・報道番組ではスピードも求められます。
しかしこの文字起こしが自動音声認識システムによって可能になれば、この分のお仕事はAIに任せることができるようになります。
テレビ番組制作の現場でも、取り入れられる最先端技術は少しずつ取り入れられ始めていて、
番組の見逃し配信もネットで見られるのが当たり前になってきましたし、今は業界の過渡期なのかな、と思いますね。
任せられる部分はAIに任せて、よりクリエイティブな部分に人間の力を注いでいくことができるようになれば、さらに良い番組作りができるようになるのではないかと思います。
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