テレビCMの世界にはたくさんの専門用語があるんですよね。パブリシティやスポット、GRPなどなど…
こういった事って一般の人やCMを出した事がないクライアントにはわからない事だと思うんです。
今回扱うのはCMを出稿する時によく問題になる「考査」なのですが、これもよくわかっている人って少ないのではないかと思います。
CMという広告手段を、幅広い層に使ってもらうという事は、弊社の理念ですが、中にはCMができないような会社もあるんですよね。
もちろん、そこには様々な基準があるのですが、その審査こそが「考査」というのです。
CMというものは公共の電波を使って流すもので、
だからこそ、そこには正確性や倫理性、企業の安全性というものが求められてくるのです。
今回はそんなCMにおける考査について、
CM代理店で働く私が徹底的に解説していこうと思います。
CMできない企業も存在する
テレビは許可事業と言って政府の許可をもらって行っている事業です。
放送エリアも各テレビ局で定められていますし、国民のためになる正しい情報を送るという大前提があります。
災害や、大きな事故があったような時は、番組が変更になって臨時ニュースに差し変わるのはそのためです。
テレビは国の許可事業であるので、そのテレビで流れるCMについても、お金さえ出せば誰でもできるわけではないのです。
基本的にはきちんとした会社であること、きちんとした団体であることが重要で、企業の考査があります。
これは当たり前だと思うんですよね。
怪しげな商品を売っている企業のCMが流れたら皆さんもテレビそのものに嫌悪感を抱きますし、信頼性が高いメディアであるがために、
極端な話をいってしまえば、詐欺商法まがいの会社のCMが流れてしまったら困りますよね。
だからこそ、CMを流す時には考査というものがあるのです。
ではきちんとした会社とは何で判断されるのでしょうか。
企業としての考査とそれに必要なもの
まず企業ホームページが見られます。
会社の登記簿謄本も必要です。
少し前までは会社のパンフレットが必要でしたが、最近はホームページがあるので、パンフレットを作らない会社が増えています。
そのためテレビCMをする際の考査に必要な物として、パンフレット、またはホームページでもいいです、と言われるようになりました。
今は会社を調べるときは、まずインターネットでホームページを見るという人が多いと思います。
企業考査も同様になってきているのです。
もしホームページが無い場合は、いったいどんな会社なのかが全く分かりませんから、考査は通りにくくなります。
CMをやるならそもそも宣伝効果を高めるためにも、ホームページは作った方が良いのです。
きちんとした会社なのにホームページが無い会社もありますが、その場合はホームページを作っていただく場合もあります。
CMの考査にはやはりホームページというものが必要になってきてしまうのです。
しかしながら、ホームページというのは、実は誰でも作ることができます。
ホームページを作っている会社にお願いすればいくらでも作ってくれますし
自分でも作ろうと思えば作ることができます。
ただ、ホームページさえあればいいかというとそういうわけでありません。
ホームページがあっても実態が見えずらい、よくわからない、というようなときは会社の決算資料を求められることもあります。
これを聞いて少しわかると思うのですが、意外にCMの考査ってしっかりとやっているのです。
皆さんもテレビCMをやっている企業というと、
信頼感を持ちますよね?これって、実は正しい側面があって、それだけ信頼性のある会社をCMで紹介していたという基礎事実があります。
だからこそ、然るべき信頼性が生まれたんですよね。テレビCMそのものが正しい考査によって、価値の高い媒体になっていったという経緯があるのです。
関連記事:テレビCMをする時ホームページも作りこんだ方がいい理由
企業の業態の考査
企業の考査がOKであればCMは出せるかというとそういうわけではありません。
ホームページがあり、決算もきちんとしているとしてもできない業態がいくつかあります。
例えば身近な例で難しいものの一つは「占い」関係です。
占いは科学的な根拠は無い業態なので、どうしてもCMをやるのは難しいのです。
しばしば占い関係の方からCMのお問い合わせをいただきますが、申し訳ありませんが、お断りしております。
テレビで、占いはよくありますけど、占いのCMというのは見かけないと思います。
占いの市場って実はとても大きいと思っています。皆さんも女性であれば、占いにいった事がある人も実はたくさんいるでしょう。
しかし、CMの考査に通るのか?というと、これは少し厳しい側面があるわけです。
また、訪問販売の業態もなかなか通りません。
訪問販売がすべて悪いわけでは決してないのですが、
問題があるものがあるため、考査がどうしても厳しくなります。皆さんも訪問販売って最近は少なくなったと思いませんか?
というか、それ何?と思う若い世代もあると思います。
CMの考査もさる事ながら、やはり根本的に怪しい業者が残念ながら多かったのです。だからこそ、なくなっていったんですよね。
それから病院、医師の宣伝広告も基本的にはできません。
ただ、医院の開店の告知CMはできます。
医療法人系のCMは「人によって意見が分かれる表現」は禁止されていますが「事実」を伝えるものであれば問題ないんです。
例えば「親切丁寧な診察をします」というCM文言はNGですが
「駅から徒歩5分、4月開院」などといった事実を伝えるものなら問題ないんですね。
美容整形のCMがよく見受けられますが、あくまでイメージCMになっていると思います。
整形でこんな風に良くなるとか、変わるとか、病気が治るというような表現はCMで使っていないんですね。
もしも、そんなCMが考査に上がってきても、はじかれてしまうのです。
CMは、漠然と見ている人がほとんどだと思いますので
こういった状況って知らない事が多いのですが、
CMを注意深くみると、CMの考査というものの意味もわかってくるかもしれません。
これは薬や健康食品にも言えることですが、CMするものの効果が誰にでも該当するような表現でないとNGになってしまうんです。
例えばダイエット商品などは特に厳しいですね。
ダイエット商品は使えば誰でも同じように痩せる、というわけではなく、人により効果が異なって来るものだからです。
このように、CMをする際の表現等のアドバイスを行っていくのも、
実は広告代理店の仕事なんですよね。
だからこそ、広告代理店というものがあるのです。
関連記事:化粧品の広告を出す時に絶対に注意しなくてはいけない薬事法の規制
CM表現の考査
企業としての考査が通るとCMができますが、どんなCMでもよいかというとそういうわけではありません。
そのCMの内容も考査の対象になります。
CM考査は何をチェックされるのか
いろんな業種があり、それぞれの法律(たとえば、宅地建物取引業法、食品衛生法などなど)に違反していないかなど細かく言えばきりがありませんが、
わかりやすく言うとCM考査でチェックされるわかりやすいポイントは以下のようなものです。
- 陰湿、暴力的な表現をしていないか
- 射幸心をあおっていないか
- 過大(最大級)表現をしていないか
- 性的に問題のある表現をしていないか
- 他を誹謗中傷する内容は無いか
などですね。
この中で、射幸心(幸福を得たいという願望)に関係するのはパチンコ業界や競馬などが該当します。
これらのCMは企業イメージをよくするイメージCMであることが多く、
「お金を儲けよう!儲かる!」というような射幸心をあおるCMにはなっていないはずです。
どちらかというと上品なCMになっているのではないでしょうか。
こういった事もCMをみていると、わかってくるものだと思いますよ。CMの考査では、意外と様々な視点から判断されるという事なのです。
関連記事:テレビCMの価格はどうやって決まるのか
医薬品のCM表現は難しい
特に注意が必要なのは、医薬品や、サプリメント、健康食品、ダイエット用品などのCMです。
例えば便秘薬の場合人により効果の出方は様々ですから、
- 必ず効く
- お腹が痛くならない
- お腹が張らない
といった言い切りの表現は、100%誰にでも必ず出る効果ではないので、CMでは言ってはいけないのです。
基本的には説明書に書かれていること以外はCMでは言えません。
「必ず治ります」ではなく「スムーズなお通じを促します」とか「お手伝いします」
といった微妙な表現になるのです。
ダイエット製品やサプリメントについても同様で必ず効果が出るというような表現はCMでは使えません。
CMの考査についてご存知ないクライアントさんとお話させていただくと、
驚かれてしまう事があります。
またこれらの商品をCMするには通常保健所や県庁の薬務課にチェックしてもらう必要があります。
これらの公的機関ではかなり細かく厳密にチェックされますので、時間もかかります。
もしこのような商品のCMをお考えの場合は時間的に少し余裕を持ったスケジュールにすることをお勧めします。
関連記事:テレビcmの効果には「信頼」もある
CM考査の方法
では実際にはどうやってCMの考査がされるのか、ということを説明したいと思います。
まずCMを作るときは【絵コンテ】という4コマ漫画のようなものを作ります。
それ【絵コンテ】をテレビ局に見てもらうのが最初のCMの考査になります。
最近は絵コンテを動かすVコンテというのもありますが、考査はそれでももちろん大丈夫です。
CMが出来上がりそうになったら、できれば粗編集の段階でもう一度考査してもらうのがいいでしょう。
納品用のCMを作る前に最終VTRをテレビ局に考査してもらい、OKが出れば、あとは納品用のVTRを作ってテレビ局に納品です。
最終VTRのチェックは広告代理店を通じてメールのやり取りで行いますので、最近は素材の形式はMP3やMP4などが多いですね。
関連記事:cmをやりたい時の広告代理店の選び方
まとめ
いかがでしたでしょいうか。
テレビにCMを出すにはいろいろ考査がありますが、テレビCMをすることにより会社の信頼度が高まるのはこれらのCM考査が厳密に行われているからとも言えます。
厳しいCMの考査がテレビの信頼性を支えているのです。
きちんとした商品を売るきちんとした会社であることが重要であって、会社の規模は関係ありません。
大企業でなければいけないなどは全くありませんので、テレビも一広告手段として上手に利用してもらいたいですね。
という事で、今回はCMの考査についてぺんくり運営のライズアドバート社員が書いてみました。CM、考査、販売戦略のご相談等あれば、
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関連記事:CM制作費の相場はいくらか
では今日はこのあたりで。