テレビ業界の仕事というのはきっとテレビ関係の仕事をしていない方からすると未知の世界なのではないかと思います。
一般的な企業であれば、大学卒業とともに就職して、
仕事をした年数と比例して社内での立ち位置も上がって行き、定年になったら退職する、というのが大まかな流れでしょう。
ではテレビ業界はどうなのでしょうか?
今回は「ディレクター」という仕事に絞って、テレビ業界で働く人たちの年齢ごとの働き方についてお話してみたいと思います。
若い世代が中心だった昔のテレビ業界
20年以上前になりますが、私がテレビ業界に入ったころ、テレビマンたちは、30代が主流で、
40代のディレクターはあまりいなかったように思います。
40代になったら、ディレクターからプロデューサーに移行していました。
ディレクターの方が性に合っていると思っていても、周囲は、そこそこの年齢に達したら、プロデューサーになるものと型にはめていたものでした。
なので、「ディレクターは40代になったら、定年説」というのを聞いたような覚えがあります。
20代のディレクターは勢いがありましたが、30代後半あたりに差し掛かると、年齢的にこれからどうしようかな、と不安を覚える人も多かったように思います。
ディレクターはできるけど、ほかの仕事なんてしたことがない。
ディレクターは、ロケや編集では、自分の意のままに振るまうことができますが、
他の仕事では人の言いなりにならねばなりません。
それは自分のプライドが許さないのです。
「ディレクターは潰しがきかない。」とも言われていたし、自嘲気味に自ら嘆く人もいました。
50代のディレクターは、プロデューサーや作家、編集マンに移行していたか、業界から消えていくかしていたように思います。
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今のテレビ業界
では、今の時代はどうなのか?
今はどうかというと、50代も60代でもディレクターとして活躍しています。
バラエティ番組では、若手ディレクターの感性のほうが視聴者とマッチしていますし、体力的にも30代にはかないません。
ですが、人とじっくり向き合うような密着ものだったり、ドキュメンタリー番組は、30代の若手よりも、酸いも甘いも経験した年齢的にも経験的にもベテランのディレクターが求められたりします。
また、それまでの仕事で知り合った取材先とたえずやりとりをすることで、自分で企画をたてて、持ち込む人もいます。
さらに若い世代の人たちは、海外に行くことに消極的な世代だったこともあり、海外ロケに及び腰だったりします。
さらに50代60代に海外企画のオファーがまわってくることもあります。
今の50代60代の世代は、若いころテレビ番組の企画で海外ネタが多い時代だったこともあって、海外ロケに慣れている人が多いのです。
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自治体とテレビディレクター
50、60代世代になると、若いころよりもがむしゃらに稼がなくてもいい、という人も増えてきます。
子供が成人して独立した、とか、家や車のローンも終わったとかで、夫婦二人が生活できればいい、と考える人もいます。
かつては、夜は必ず飲みに行っていたという人であっても、健康を考えて、なるべく長く働きたいし、と無茶をしません。
地上波ですと、番組のスタッフはアシスタントディレクターで20代、ディレクターが30代、プロデューサーが40代と若いこともあり、
地上波での仕事は、得意分野がある人や何かに特化している人以外は年齢とともにだんだん仕事は少なくなってきます。
ですが、テレビ番組の制作をしていた技術というのは、テレビ以外のところで求められており、
例えば、自治体から「その地域の映像を配信してもらいたい、移住して、自分で企画・構成・撮影・編集をして動画をアップしていってもらいたい」という仕事を見つけて、移住した人もいます。
田舎暮らしをしながら、自分のテレビ業界で身につけた技術を活かして生活している人もいます。
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ITとテレビディレクター
ITの世界とテレビはなかなか融合していません。
テレビ制作をしている人にとって、自分で企画制作して動画をUPするというのは、別世界だと思っているようです。
これは、なぜなんだろう?と考えると、テレビ制作は、コンプライアンスががちがちに厳しい世界なので、
自分で映像を制作するにあたって、この場所で撮影していいのかどうか、この映像が悪用されたらどうしようか、炎上したらどうしよう、といったようなことを心配しすぎているような気がします。
それはさておき、
ITの業界にとって、テレビで制作していた、という経験、経歴は大変魅力的なようです。
IT業界へは、広告代理店やCM業界、映像制作をしていた人たちが映像コンテンツを制作しているようなのですが、
テレビ的な視点がほしいので、テレビディレクターいませんか、とご相談がはいることがあります。
広告代理店やCMの世界でやってきたディレクターは、短い尺の映像を作りこむ技術は高いレベルを持っているのですが、
長い尺を見てもらうには、テレビをやってきた人でないと見てくれないのだそうです。
60代のディレクターに入ってきた仕事の案件では、
取材交渉、構成、撮影、編集とグロスで制作して納品するというのが入ってきました。
テレビですと、番組プロデューサーからのプレビューでは、ビシバシダメ出しされるものですが、テレビ以外の場であれば、そこまで厳しいものは求められないようです。
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まとめ
私がこの業界に入った時代というのは、テレビ番組というのは、地上波とケーブルテレビしかありませんでした。
今では、BS、CSもあります。ネットチャンネルもあります。
自治体や企業がHPで映像配信をしています。
映像を提供するメディアが増大しました。
それなのに、制作できる人材は、減少しています。
映像制作の最初の入り口がテレビであれば、その先の仕事の場は、自分で選んでいくことができます。
20代の人たちが自分が60になったときに、どうなっているんだろうと心配されますが、
テレビ業界で経験を積んでおけば、映像制作分野で収入を得ることができなくなる、ということはないと思います。
テレビ業界で働くディレクターは成果報酬制の仕事が多く、フリーランスのディレクターもたくさんいるため
年齢的に制限がある、というような仕事ではないのです。
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では今日はこのあたりで。