テレビの仕事や映像制作の仕事を目指す人は最初はAD(アシスタントディレクター)から始まりますが、
その先はディレクターになるのか、それともプロデューサーがいいのかと迷う人もいるようです。
そんな人のために今回はADから始まってディレクターになるのが良いのか、プロデューサーが良いのかについて書いてみます。
先に決めるものではない
先に結論を言ってしまうと
「ディレクターを目指すかプロデューサーを目指すか」というのはごく稀な例を除き、働き始める時には決めなくていいということです。
と言うより働く前に決めるのはかなり難しく、
実際にテレビや映像の仕事をやってみないと自分に何が向いているかはわからないと思うのです。
稀な例というのは親が制作会社をやっているので行く行くはプロデューサーになるつもりであるとか、言われているとか
最初から制作会社を作ろうと決めているというような場合だと思いますが
なかなかそういう人はいないと思うんですね。
就活生の中には
- アシスタントディレクター
- ディレクター
- プロデューサー
という順序で昇進していくものだと思っている人もいるようですが、このルートで進む人はそういう人は少ないです。
そもそもディレクターは数が多いのですがそれに比べてプロデューサーというのは数が少なめで仕事の内容も異なってきます。
関連記事:アシスタントディレクターはその後どんな役職に就くのか?
ディレクターの仕事
このサイトでもディレクターの経験談などいくつか掲載していますが、
一言で言うとディレクターというのは現場監督です。
実際に番組を作る現場を取り仕切る現場責任者です。
例えばドキュメンタリー番組を撮影する場合は、
どこでどんな風に撮影し、
どんな手順で進めていき、
撮影した後の編集をどのようにするか
など、番組を実際に制作する現場の監督です。
時には自分で企画を立てたり、カメラを持つこともあり、現場でのタレントさんやスタッフへの配慮も必要なので、とても責任のある仕事であります。
それと同時に番組作りのセンスはディレクターの手腕によってかなりセンスや個性がでますから
腕のいいディレクターかどうかは番組を見ればわかるもので、ある意味ディレクターというのは職人技の域と言えるでしょう。
テレビや映像制作の仕事をやりたいという人達がイメージしている仕事はまさにこのディレクターという仕事になると思います。
ディレクターは現場での仕事であり、番組や映像という成果物ができあがるのですが、これで完璧・満足という作品はまずできないものです。
予算の都合やスポンサーの意向やテレビ局の意向、そしてタレントさんの意向、さらにはロケの天候や場所の良し悪しなど、実に様々な要素も絡み合いますからそれは致し方のないことです。
そのためディレクターの仕事には終わりがなく良いものを作るために技術を向上させ、周りのスタッフにうまくに動いてもらうよう、ディレクターとしての腕を磨いていくことになるんですね。
映像制作の仕事を選んだ人の大半はこういうディレクターとしてずっと働く人が多いと思います。
中には70歳になっても活躍しているディレクターが多々います。元気ですよね。
ただしディレクターの働き方はその人によりいろいろ変わっていくと思います。
テレビの番組を制作したり、企業用のPV制作をしたり、結婚式用の映像、またYouTubeの映像などいろいろな活躍の場があるからです。
そんなディレクターが映像制作をする際に金銭の変更、つまり当初の予定より予算がかかってしまう時もあります。
ある程度の采配はディレクターも持っていますが、金銭的な変更・特に増額は利益に直結するため、勝手に進めるわけには行かずそんな時相談するのがプロデューサーという存在です。
プロデューサーの仕事
プロデューサーというのは映像制作をする際にトータル的に采配をとる立場で、ある意味もっとも責任のある立場にあると言えます。
制作会社の例でいくと、
- 企画を立てる
- 企画を元に番組・映像制作などの仕事を取ってくる
- 利益を残しつつ制作にいくらかけるか細かい予算を立てる
- 実際の制作はディレクター主体で進める
- 出来上がってきたものの内容を精査
- 納品
これを見てわかるようにプロデューサーというのはロケや撮影現場にはあまり携わらないんですね。
その代わり金銭的なことを全般に管理し、クライアントやテレビ局との交渉も大事な仕事のうちなので、
プロデューサーはスーツの仕事ともいわれたりしていました。(最近はクールビズなどが浸透しプロデューサーもあまり服装は気にしない傾向にありますが)
テレビの仕事をする人の中には現場の仕事が好きだという人が多いのに対し、
プロデューサーは一般企業の営業に近い仕事なので、現場に携わっていたいという人達にはディレクターをずっとやりたいという人が多くいるのです。
また仕事の内容でわかるようにプロデューサーというのは総責任者になるので、誰でもなれるわけではなく、ディレクターに比べ人数も少ないです。
映像の仕事をしていくうちに自分がプロデューサーの仕事が向いていると感じた人が進むか、もっと言えば徐々にプロデューサーとしての手腕が認められれば自ずとそういう仕事が回ってくるようになると思います。
ただしそれが実現できる環境にいるかどうか、チャンスがあるかどうかというのも関係してきます。
プロデューサーの種類
実はプロデューサーにもいろいろあるので、大きく分けて制作会社のプロデューサーとテレビ局のプロデューサーについて書いてみます。
制作会社のプロデューサー
制作会社の場合、仕事を取ってきて制作して利益を得るというのが基本になります。
ディレクターが企画を作ることもありますが、クライアントやテレビ局の意向に合うような企画を立てて仕事を取ってくるのは主にプロデューサーの仕事で
制作会社の規模にもよりますが、大きな制作会社を除き大抵の場合は社長がプロデューサーを兼ねていることが多いでしょう。
プロデューサーは現場の仕事がほとんどなくなるとはいえ、どんな映像をどれくらいの予算をかけて作るかということを社外の人に説明できなければいけませんから
現場の仕事を熟知している方が絶対に有利だと言えます。
そのためアシスタントディレクターも経験し、ディレクターもある程度経験してからプロデューサーになるというのが望ましいルートだと思います。
中にはディレクターをやりながら営業もして予算管理もすべてやるというように
プロデューサーとディレクターを兼ねてやる人もいますが、それは短めの映像の場合がほとんどだと思います。
テレビ局のプロデューサー
テレビ局にもプロデューサーという仕事があり、大まかなところは制作会社のプロデューサーと同じで、局員と言えどもやはり
アシスタントディレクターから始まってディレクターをやったことがある人がプロデューサーになっています。
ただし、制作会社のプロデューサーと異なるのは「営業をやらない」ということです。
テレビ局には営業マンは他にいますから、局Pと呼ばれる局員のプロデューサーは、対外的な営業などはやりません。
その代わり、予算の中で仕事や番組を割り振るのは制作会社のプロデューサと同様です。
またテレビは国の許可事業なので、放送倫理に則り、かつ趣旨にあったきちんとした番組になっているかという最終チェックはプロデューサーの責任が大きいですね。
関連記事:放送倫理を守るためのBPOって何?番組制作者が知っておくべき知識
プロデューサーになるにしてもまずディレクター
このようにプロデューサーとディレクターは仕事の内容が違いますが
何れにしてもディレクターの経験はプロデューサーにも必要です。
アシスタントディレクターからディレクターになっていくうちにプロデューサーの仕事が自分に向いていると思ったらそちらを目指すと良いと思いますし、
その人が向いているかどうかは自ずとわかるものですから、プロデューサー的な仕事が任されるようになるかもしれません。
または、自分で仕事を取れると思う人は独立して自らプロデューサーとして活躍するケースもあると思います。
何れにしてもまずは良いディレクターになることが大事ではないかと思います。
関連記事:テレビディレクターには、いつなれるの?
