「ドラマの制作に関わりたい!」
「だけどどんな仕事があるの?」
「資格は必要なの?どうやったらその仕事に就くことができるの?」
と聞かれることが増えました。
バラエティ番組や情報番組とは違い、ドラマはフィクションの世界を作りあげるため、制作のしくみも違いますし、関わるスタッフも違います。
ドラマならではの役職もありますので、解説をしていきます。
演出に関わる仕事
演出に関わる仕事は、脚本家と監督です。
脚本があって、監督が決められることもありますし、監督と脚本家で共同で書き上げる場合もありますし、監督が脚本も書く場合もあります。
脚本家と監督が、シーン・セリフ・ト書き(登場人物の動きや表情など)をシナリオに落とし込んでいきます。
助監督
助監督は、監督のアシストをする役割です。
バラエティ番組や情報番組などのテレビ番組制作では、アシスタントディレクターというポジションと同じように思われて、監督のアシスタントが助監督でしょう?と認識されている方が多いのですが、そうとも言えません。
監督と脚本家が書き上げたシナリオをもとに、映像を作りあげていくのが助監督たちです。
テレビ番組の場合、ディレクターに、一人のアシスタントディレクターがつく、つまり1対1なのですが、助監督は4人います。
その4人のなかで序列があります。
上から
- チーフ
- セカンド
- サード
- フォース
です。
それぞれ、担う仕事も違います。
チーフ助監督は、ドラマ全体のスケジュールや撮影のスケジュールを組んだり、撮影・照明・録音・美術など、それぞれの責任者(撮影監督、美術監督などと呼ばれる場合もあります)との打ち合わせをしたり、
撮影では、俳優さんたちに直接、演技指導をするときもあります。
台本の読み合わせでは、チーフ助監督がその場を仕切ります。
チーフ助監督がしっかりしてないと撮影は破綻します。
それくらい撮影の権限があるのがチーフ助監督です。
監督とはもちろんのこと、それぞれの責任者と同等に渡り合えなくてはなりません。
ドラマはシナリオの流れ通りに撮影する(順撮りといいます)のは効率が悪いです。
同じセットを使ってまとめて撮影する場合の方が多いので、撮り漏らしがないように、また、つながりがおかしくならないように撮影するなど、シナリオ台本を頭に叩き込み、限られた時間のなかでスケジューリングしていく手腕が求められています。
休憩時間であっても、台本と首っ引きで、その日の撮影スケジュールを調整しているのがチーフ助監督。
セカンドは、衣装やメイクのやりとりを主にします。
また、主要ではない脇役やエキストラへの演技指導をするのはセカンドの役割。
ドラマは出演する俳優さんの人数も多く、その衣装やメイクの指示も細かくせねばなりません。
俳優さんの衣服の乱れやメイクの崩れは、ドラマの出来上がりを左右します。
モニターを見て、少しの乱れを見落とさないように確認したり、メイクさんに指示したりします。撮影現場を走り回っているのは、セカンド助監督です。
サード助監督は、美術やセットの装飾品、小道具などを準備します。
美術チームや小道具を揃える担当はいますが、そちらと連携をとってシーンにあう道具を揃えます。
装飾品の配置や向きなど間違えないように写真で撮っておき、別日に撮影する場合でも、同じ配置にしなくてはなりません。
通行人やお客さんなどエキストラを使うシーンの場合は、セカンド監督と手分けをして演出する場合もあります。
ドラマの中で使われている、アルバムや部屋に飾られている写真、遺影、新聞や雑誌、レポート、パソコンに映し出されている画面、ポスターなどはサードが作ったり、発注したりしておきます。
フォースは、おもにサードのアシスタントです。
美術やセットの道具で足りないものを倉庫に取りに行ったり、小道具さんに見繕ってもらったりします。
美術や小道具を置いている場所は、スタジオから離れていることもあり、ここでいちいち取りに行っては、撮影が止まってしまうことも。
助監督は、現場の撮影が終われば、そこで仕事も区切りがつくため、すぐに別の現場へ移行することができます。
監督よりも助監督の方が、責任や権限も大きく、仕事をこなすこともできるため、監督よりも稼いでいる人がいます。
あえて監督にはならず、チーフ助監督としてやっていく人もいます。
監督や助監督になるためには、ドラマの制作会社に入るのがいいでしょう。
監督やチーフ助監督、セカンド助監督のなかには、フリーランスの人も多くいます。
監督が助監督を指名することもあります。監督と助監督、監督と撮影監督は密接な関係であり、ときに監督の名前をとって、〇〇組(例えば、黒澤明監督は、黒澤組などと呼ばれる)と言われるのは、監督が多くを指示しなくとも、その監督のカラーが分かっている、感性がわかりあえるというチームなのです。
記録
演出に関わるほどではないのですが、監督をささえる仕事があります。
それは記録さん。
それぞれのシーンのタイムを計って、全体的に尺が足りているのか足りていないのかの判断をします。
そして、衣装やヘアメイク、小道具、美術セットや装飾品の配置などを記録しておきます。監督のパートナー的な存在が記録さんです。
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制作にかかわる仕事
演出は表の動線とすれば、裏動線を作るのが制作の仕事です。
役者さんはもちろん、スタッフをそろえて、スケジュール管理や予算の管理。
撮影時の移動の手配、弁当など食事の手配と回収。
撮影場所の確保や申請など。
撮影隊がその場所に到着したら、すぐに撮影セットが組まれて、時間内に撮影を終了させて、撤収させる、準備をして後片付け(原状復帰が原則です)をするのが制作進行の役割です。
現場がスムーズに進行できるかどうかは、制作進行の腕にかかっています。
目立つ仕事ではありませんし、もしかすると、誰の目にも触れないことかもしれませんが、演出と双璧をなす仕事であり、どちらが欠けても成り立ちません。
技術にかかわる仕事
一番実権のある照明
技術は、撮影・録音・照明があります。
ドラマのなかで一番実権があるのは照明さんです。
照明を作ってくれないことには、撮影できないからです。
スタジオセットでの撮影の場合、照明で、時間帯や天気、季節、都市部なのか地方なのか、などあかりで表現します。
一番早く撮影現場に来るのは照明さんです。
俳優さんに近い仕事
衣装さん、ヘアメイクさんがあげられます。
時代や設定、役柄に合せて衣装を用意したり、ヘアメイクしたりします。
ドラマに関わる仕事を説明してみました。このなかに興味のあるお仕事はありましたでしょうか。
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