弊社ライズプランニングはテレビ局出向型の番組制作会社です。
主に情報・報道番組の制作に携わっています。
情報・報道番組は生放送の現場がとても多いです。
コーナーでは事前収録をしたものを放送したりすることもありますが、スタジオは生放送、というのが典型スタイルでしょうか。
番組と番組の間に流れる短いニュース番組なんかも生放送ですよね。
視聴者のみなさまにも、どの番組が生放送で、どの番組が収録番組なのか、ということはなんとなくお分かりいただけるかと思います。
生放送の番組は画面上にも「生放送」「LIVE」という文字が出ていることが多いですね。
さて、情報・報道番組の生放送では、ニュースなどを紹介する時にナレーションがついていますが、番組が生放送であれば、このナレーションもまた生放送になります。
「生ナレ」と呼ばれることが多い生ナレーションですが、今回はこの生ナレーションについて、深く解説してみたいと思います。
生ナレとは
事前にナレーションを収録するのではなく、生放送内に流れる映像に直接ナレーションを当てることを生ナレ(生ナレーション)と言います。
もちろんナレーションも生放送ですので、噛んだり、言い間違ったりすれば、それもそのまま放送されてしまいます。
それは…すごく緊張しますね…!
そう、これはナレーターにとってもとても緊張感のあるお仕事です。
基本的には番組ナレーションというのは収録が多いですし、声優・ナレーターのお仕事全般、収録ものが多いです。
司会業やMCなどのお仕事をしているナレーターさんは生で読むことに慣れている方が多いですが、
一般的には声優・ナレーターは収録の仕事が多いので、「言い間違った時は録り直せる環境」でのお仕事です。
ですが生ナレーションはそうもいきません。
言い間違えれば、それがそのままテレビで放送されてしまう。
とても難しいお仕事であり、担当されているナレーターさんは経歴の長い方が多いです。
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ナレーターはサブで生ナレ
ナレーターが生ナレをする時は、サブと呼ばれる撮影スタジオの中にある「副調整室」でまず待機をします。
サブには小さいモニターがたくさん並んでいて、スタッフがどのカメラの映像を使うか決めたり、指示がたくさん飛んでいるところです。
生ナレーションのない番組では、ナレーターがサブに行くことはありません。
その後、生ナレは「ナレーションブース」で読まれます。
生放送では何が起こるか分かりませんので、スタジオ全体が見渡せるブースでナレーションを読みます。
特に情報・報道番組の場合はギリギリまで原稿が変更になることも多いです。
目まぐるしく変わっていく原稿を素早くチェックし、練習時間もほぼ取れないまま、ぶっつけ本番で原稿を読むことも多いです。
収録ブースにはディレクターも一緒に入ることがあります。
通常、収録ナレーションの場合は映像にタイムコードがついていて、そのタイムコードを頼りに「このタイミングでこの原稿を読む」というのを測っているのですが、生放送の場合はそれができません。
そのため、ディレクターが一緒にブースに入って、Q出しを行い、「ここで喋り初めてください」という合図をナレーターに出しているのです。
生ナレでナレーターに求められること
では、生ナレの現場でナレーターに求められることはどんなことなのでしょうか?
ノイズを出さない
生ナレーションでは当たり前ですが、編集をすることができません。
通常、収録もののナレーションであれば、ノイズをカットしたり、聞こえにくいところの音量を上げたり、といった音の編集をすることができます。
実は人は喋っているだけでもずいぶんとノイズが乗るものなのです。
これは業界用語ではリップノイズと呼ばれます。
ノイズを出さないように喋るには、マイクに対してどのような姿勢で座ればいいか、どのような口の動きにすればいいか、ということも理解していなければなりません。
これらは熟練のナレーターでないと、備わっていないスキルなのです。
噛まない/言い間違えない
噛んだり言い間違えたりすれば、それがそのまま放送されます。
情報・報道番組のナレーションで難しいのは「地名」や「人名」ですね。
読み間違えたり、アクセントが違ったり、といったことがよく起きます。
普段から調べる癖をつけて、学んでおかなくてはいけない部分です。
秒数を合わせる
想像以上に難しいのが、秒数をぴったり合わせるということ。
「ここから読み始めて」という合図はディレクターから出ますが、出演者と息を合わせてナレーションを読んだり、映像の流れに合わせて映像終わりにナレーションの終わりも合わせる、といった作業がとても難しいのです。