テレビ番組には、映像に合わせてナレーションがついていますよね。
ナレーションに着目して番組を見られている方は少ないと思いますが、実は映像とナレーションのバランスというのは非常に重要で、
番組内の映像だけでは伝わらない部分をナレーションが補助し、またナレーションだけでは伝わらない部分を映像が補助し…という具合に、絶妙なバランスでテレビ番組は成り立っています。
ナレーションがなくても成り立つ番組もありますが、ナレーションを入れるという手間をかけることによって、より番組がわかりやすく、視聴者に届きやすくなることが多々あります。
ではこのナレーションはどのように作られているのでしょうか?
そして入れる入れないの判断はどのようにしているのでしょうか?
ナレーション原稿は誰が書いている?
ナレーションの原稿は基本的には映像を作っているディレクターが書いています。
ある程度映像がざっくり繋がってきて、話しの流れもできていて、完成形が見えてきた時、「この映像にどんなナレーションをつけたら、よりわかりやすくなるか」ということを考えていくんですね。
ナレーション原稿の書き方講座のようなものがあるわけではありません。
ADのうちから少しずつ映像に合うテロップを考えたりして、映像を補助する言葉を考える練習をしていきます。
最初は先輩のADやディレクターに確認してもらいながら、訂正訂正の連続です。
そういったトライ&エラーを繰り返して、ディレクターになる頃にはナレーション原稿を一人で考えて構成ができるようになっていくんですね。
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ナレーション原稿はどのように考えていく?
ではナレーション原稿はどのように考えていけば良いのでしょうか?
まず映像にナレーションをつける時に大切なのが、ナレーションはあくまで脇役である、ということを念頭に置く、ということです。
主役である映像を引き立たせるもの、補足するもの、より良いものにするものです。
なので映像の主旨から外れるようなナレーションであってはいけません。
だからこそ、映像が何を伝えたいものなのか、どんな人に見てもらいたいのか、ということをしっかりと理解している上で原稿を考えていく必要があります。
あまりにもナレーションが過剰すぎると、逆に視聴者に「うざい」と思われてしまうでしょう。
適度なバランスで映像を引き立たせるために、「この部分にナレーションが必要かどうか」というところから考える必要があります。
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ナレーション原稿を書く時のコツ
ではここからは良いナレーション原稿を書くためのコツを紹介していきたいと思います。
テレビ番組内で使われるナレーションの原稿は「読み言葉」です。
例えば今ここに書いている言葉は「書き言葉」ですね。
読者のみなさまに読んでもらって理解していただけるように書いている言葉です。
ですがナレーション原稿で求められるのは視聴者の方が「聞いて理解できる言葉」です。
その違いもまた意識したいところですね。
とにかくわかりやすく、誰が聴いても理解できるように
テレビ番組というのは子供からお年寄りまで、多くの方が視聴されます。
なので、「小学生でもわかるように作る」というのが根底にあります。
もちろんそれぞれの番組のカラーがありますので、ある程度振り幅はあるものの、
基本的にはどんな人が見ても理解できるように番組を作ろう、という精神のもと作られているんですね。
そのため、ナレーションの原稿を作る時もできるだけ難しい言葉を使わないように、小学生でも理解できるような言葉にする、ということが大切になります。
視聴対象によっても多少の違いはあるものの、とにかく「聞いてわかりやすい」と大事にします。
例えば
- 的確に→正しく
- 複数の→いくつかの
- 難解な→難しい
というような作業ですね。
一度自分が思うままにナレーション原稿を書いてしまって、あとから難しそうな言葉を簡単に言い換える作業をしてく、というようなやり方で書かれている方も多いです。
文を短文化する
読み言葉では、書き言葉に比べるとより一層、文章の長さが長いほどわかりにくくなります。
例えば英語で考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
最初は「This is a pen.」のような簡単な文章から始まり、そこから関係代名詞を学んでいろいろな文章を作れるようになっていきますよね。
この関係代名詞が入ってくると一気に英語がわかりにくくなります。
私もしっかり関係代名詞でつまずいた一人です笑
日本語も同じで、一つ一つの文章が長くなれば長くなるほどわかりにくくなってしまいます。
書き言葉でもそうなのですが、読み言葉ではさらにわかりにくい。
なので、文章をなるべく短文にするよう心がけます。
これも先ほどと同じように、ナレーション原稿をとりあえず書いてみて、わかりにくいところは文章を分けていく、というような作業をすると作っていきやすいかと思います。
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読んでみる
原稿を書く時は映像に合わせて読んでみることも大切。
尺が合うか、という確認はもちろん、
映像とナレーションを合わせた時に、その言葉が本当に適切か?
うざったくないか?
映像をより良いものにできているか?ということを確認することができます。
ある程度原稿が固まったら全部通しで読んでみるのも良いでしょう。
もちろん本番はナレーターの方がしっかりと読んでくださいますので安心です。
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番組制作に興味のある方は、ぜひナレーションにも注目してテレビ番組を見てみてください!