東日本大震災の時にテレビCMが一斉に差し変わり、公共広告機構ACジャパンのCMがずっと流れていたことはまだ記憶に新しいと思います。
ずっと同じテレビCMばかりが流れていたことを疑問に思った人もすくなくなかったのではないでしょうか?
テレビCMを出稿すると決めた企業様には必ず毎回ご説明しているのですが、
大きな災害が起きた時は番組編成が急遽変更になったりしてテレビCMが流れなかったり、別のCMへと差し変わる、というような事態が想定されます。
テレビというメディア媒体を使用する以上、これはどうしてもCMを出稿する際にご留意いただきたい点です。
マスメディアの性質上、優先されるべき情報が先行して放送されるからです。
今回は災害時のテレビCMの対応などについて、広告代理店である弊社ライズアドバートが解説したいと思います。
テレビは報道が優先される
放送法108条では以下のように定められています。
基幹放送事業者は、国内基幹放送等を行うに当たり、暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、又はその被害を軽減するために役立つ放送をするようにしなければならない。
災害が発生した時に多くの人が自分の命を守るために必要とするのは「正確な情報」です。
ラジオやテレビといったメディアは、迅速に正確な情報をなるべく多くの人に届けることができるように、いつ災害が起きても即座に対応ができるような準備を日頃から行っています。
今でこそテレビは娯楽としてのツールの一つのような扱いとなっていますが、
その本質は「緊急時の報道」です。
そのため、災害時などの緊急の際はあらかじめ放送する予定だった番組を変更して報道番組を組むようになっています。
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災害時のテレビCMへの対応
災害が起きた時、番組内容を変更して報道番組が流れるとお話ししましたが、
これによってもともとテレビCMを流す予定だった企業は大きな影響を受けてしまいます。
災害発生時はテレビCMを全て一旦止めて、報道番組が組まれます。
少し状態が落ち着いてくると本来流す予定だったテレビCMを流すこともあるのですが、多くの企業が企業側の意向でテレビCMの差し替えを行います。
そこで使われるのがACジャパンのCMなんですね。
災害時の物資が足りない状況にあるような人がいる中、商品やサービスのCMを放送しても、企業に対するネガティブキャンペーンになってしまう、という判断なのです。
一般的にはテレビ局側がCMを止めて報道番組を放送している場合は放送料はかからず、
放送することができるけれどACジャパンに企業側の意向で差し替えを行った場合は放送料はかかってくる、という認識で良いと思います。
とはいえ、災害の規模や状況によって変わってくるので、返金があるかどうか、返金があるとしたらどれくらい返金されるのか、ということはその都度相談していくしかありません。
テレビ局はそれぞれのテレビ局が別会社という扱いになりますので、同じエリアで複数のテレビ局での放送をしていた場合は、局によって対応内容が変わることもあります。
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ACジャパンとは?
ではテレビCMの差し替えを行った時によく使われるACジャパンとはどのような組織なのでしょうか?
ACジャパンは国民の公共意識を高めるために公共広告を行っている民間の団体です。
公共広告機構、と聞くとどうも堅苦しい感じがしますが、
国や政府が関与していない民間組織なんですね。
このACジャパンは
- 一般企業
- 放送業界
- 新聞業界
- 広告業界
などが会員なっており、その正会員社数は1000社を越えています。
また、運営はこれら企業の会員費によってなされています。
運営が民間組織であること、また公共マナーの意識を改善するために作られている広告である、ということから
CMを差し替えたい時にこのACジャパンのCMが使われる、ということですね。
東日本大震災の時はCMの差し替えを行った企業がとても多かったので、必然的にテレビCMのほとんどがACジャパンのCMになってしまい、
視聴者からは「同じCMがずっと流れていてナーバスになってしまう」というクレームも多く上がったようです。
そういった理由でACジャパンのCMのメロディアスな部分は差し替えを行ったりして、なるべく視聴者にストレスを与えないような配慮がされました。
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災害時はどうしても報道の方が優先されてしまうので、テレビCMという広告手段を選ぶ以上、こちらは理解しておいていただきたい部分ではあります。
とはいえ大規模な災害であれば、出稿料金をどのような扱いにするのか、ということはテレビ局でもきちんと協議されます。