弊社ライズアドバートはテレビCMをメインに扱う広告代理店ですが、今回は鉄道のCMについて書いてみたいと思います。
鉄道CMの種類
鉄道のテレビCMについては鉄道の種類や意義、使われ方などにより主に3つのCM方法があると思います。
- ブランド力を高めるJR、メトロなど大企業向けの鉄道CM
- 瑞鳳、ななつ星等、富裕層向け高級鉄道のCM
- 温泉、渓谷、紅葉等地域と連動した観光用の鉄道CM
最初のJRやメトロ、東急などに代表される大手鉄道会社のCMは鉄道のCMとしては最もよく目に付くところだと思います。
これらは国民の重要なインフラとして現在なくてはならない存在ですが、そのCMはブランドの維持の意味あいだけでなく、昨今新たな交通手段が生まれつつある中、今後は単にブランドイメージアップにとどまらず、使ってもらうためのCMを打ち出していく必要も出てくると思います。
2番目の瑞鳳やななつ星などといった走る高級ホテルともいわれる鉄道は、インフラというより、高級娯楽としての意味合いがあるので、効果的な夢のあるCMを打ち出していくことが必要不可欠な要素でしょう。
最後の、大井川鉄道やわたらせ渓谷鉄道に代表される観光と密着した鉄道の場合、鉄道に乗ることが目的となる瑞鳳のような高級鉄道とはちがい、地域がらみのコラボCMが向いているでしょう。
次にそれぞれについて効果的なCM方法について書いていみたいと思います。
ブランド力を高める大手向け鉄道CM
JRやメトロ、東急電鉄などの大手鉄道会社は、社会への貢献の一環として様々な案件やイベントのスポンサーになることも企業の使命となっており、テレビにおいても番組のスポンサーになることは使命とブランド力の表れだと思います。
また、それ以外に商品の存在を変わらず認識してもらうことも重要で、
鉄道も一般の商品と同様ブランド力を定着させて、数ある移動手段の中から選んでもらうための無意識の心理に訴えていることは間違いないでしょう。
これら大手の鉄道CMはすでにブランドイメージはついているので、イメージを維持するよう、コンスタントに流していくことが信頼を得続けていくことになりますが
それとともに昨今では、航空業界の値段が下がってきていること、シェアカーの普及など、あらたにインフラの種類も増え、顧客が選びたいものを選ぶように変化していることへの対策も必要になると思われます。
既存の大手鉄道と言えども、今後はこれまでのようなイメージCMだけでなく、新しいインフラに取って代わられないよう、テレビCMで安全性、便利さ、季節限定のサービスなどを改めてCMで打ち出していくのもありではないでしょうか。
関連記事:環境CMを放送して企業のイメージをアップ!広告代理店が解説します
富裕層向け高級鉄道のCM
瑞鳳やななつ星に代表されるような富裕層向けの高級鉄道は、現状利用者の多くが40代~60代となっており
- 40代が約30%
- 60代で約25%
- 50代が約20%
のようになっています。寝台系の場合は20代等の若い世代も増えているようですが、おおむね40代以上の世代と考えて良いでしょう。
現在は60代もほとんどがネットで検索するようになっているため、直接代理店に足を運ぶ人はわずかになりつつあります。
このような現状を踏まえ、高級鉄道については、認知のためにテレビCMでの広告や、少し長めの広告枠を取って車内の特徴を紹介していく努力は顧客獲得に欠かせないところになっていくと思われます。
ある調査では高級鉄道の公式サイトへの訪問者が多いのは
- 4月後半から6月まで
- 9月から10月まで
となっています。
利用するきっかけとしては、
- 退職祝い
- 金婚式
- 子供たちからのプレゼント
等の他、今後は新型コロナで海外に行きにくくなった事情から新婚旅行にも多く使われるようになるのではないでしょうか。
高級鉄道についてはもともとインバウンドは少なく、日本人向けのサービスが主軸となっています。
夢を与える手段としてテレビCMという手段は向いている商品であると思います。
できれば富裕層が多い東京を中心とした首都圏や大阪周辺、愛知周辺の他、
比較的高齢の視聴者が多いBSのCMで全国にCMを投下していくのが良いでしょう。
また4月~6月、9月~10月だけでなく年末年始のゆったりとした時間にピンポイントでCMをスポットで流す、特別番組にスポンサーとしてCMを流してみるという方法も良いのではないでしょうか。
また高級鉄道の場合、移動手段ではなく車内で過ごすこと自体を楽しむので、冬の景色を車窓から見るという穴場の冬期のCMもありではないかと思っています。
誰もが知っている豪華な鉄道、という認知は高級鉄道の場合重要な要素なので、CM素材も夢がある素材を投下できると良いですね。
関連記事:全国でCMをする3つの方法とそのメリットデメリット
登山、渓谷、紅葉等地域と連動した観光用の鉄道CM
大井川鉄道や箱根登山鉄道、岩手三陸鉄道などの鉄道は現在それほどCMをしておらず、一つには費用がある程度かかるCMは地方鉄道単独でのCM露出はなかなか難しいところであるという理由があるでしょう。
このような観光と密着した場所は、特に他県の観光客を誘致したいところなので、広告の範囲が広くどこに投下していいか限定しにくいということもあると思います。
例えば、静岡の大井川鉄道については、もともとは木材輸送が目的で開発された鉄道でしたが、その後SLの運転を観光の目玉にしたことや、温泉の開発もありその後観光客が絶えず、定期的に足として利用する人以外の客が全体の約7割も占めていると言います。
しかもグッズや関係商品もあり、収益でみると定期外利用者からの収益がさらにウェイトを占めているという状況になっています。
また、長野の観光地の利用者数をみると、県内の客が約35%なのに対し、県外の客が約65%となっており、県外客の消費は県内者の消費額に比べ2倍以上と言われています。
この数値は平均であって、細かく地域別に見ると、県外の比率は様々ですが、県外者の中でも日帰りが少なく泊まりが多いほど観光地で消費する金額が多くなっているのはある意味当然ともいえます。
県外からの観光客を誘致することは市や県の経済の活性化にとても役立つことは明らかで、そこにインフラとして名物鉄道が加わることは、観光意欲を助長する強い材料になることは間違いないでしょう。
紅葉を見る、渓谷を走る、桜を見るなどがある地方のローカル鉄道はまだまだ知られていない路線が多く、知らないから使っていない、乗っていない、知っていれば行くという潜在的な顧客がまだ多数いるといわれます。
これらのローカル線は温泉地等、観光全体の誘致の一環として、市や県とコラボしてCMしていくのが最も効果的でしょう。
千葉県が5分のCM枠を定期的に購入して千葉のおすすめの店や場所を紹介していっていますが、そのようなやり方も良いかもしれません。
15秒では短いので30秒あるいは60秒の長尺CMにして近隣の県に順番にCMを流して観光客の増加を検証していくのも良いでしょう。
ローカル線は一部の鉄道マニアだけでなく多くの人が乗りたいものです。
まだまだ伸びしろが無限にあるのではないでしょうか。
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