テレビ番組やCMは、中学生でもわかる言葉で作ると良い、と言われています。
そしてその内容は、F3と呼ばれる50代以上の女性に好まれる内容にするとよい、
というのがこれまでのテレビでした。それはなぜなのか。
幅広いターゲットが理解できる言葉
テレビ、中学生でもわかる正しい言葉、と聞くとまずアナウンサーが浮かぶ人もいると思います。
アナウンサーは言葉のプロですから正しい日本語を使う勉強をしていますが、
アナウンサーでなくてもテレビ番組の制作では基本的に中学生でもわかるように作る、と言われています。
そこで「中学生でもわかる」ってどれくらいのレベルなんだろうと思い、ちょっと調べてみました。
<中学生で習う漢字、熟語>
- 映画
- 体操
- 牛乳
- 収納
- 宇宙
- 誠意
- 演奏
- 効率
- 自画自賛、意志薄弱、奇想天外、温故知新…
<高校生で習う漢字、熟語>
- 舞う
- 腐る
- 誉
- 削減
- 卑下
- 擁護
- 趣旨
- 獲物
- 栄枯盛衰、一網打尽、神出鬼没、泰然自若…
どうでしょうか。
確かに高校で習う漢字だけ見ると、ちょっと難しくなっているような気がします。
だからといって、中学生で習った漢字もなかなか難しい。
今テストされたら情けないけど中学生で習った漢字も書けないかもしれない。
というわけで高校で勉強すると
(ちゃんと勉強すれば、ですが)
言葉のボキャブラリーは確かに増えるのかもしれません。
でも中学生まででも十分たくさんの日本語を習っていたんですよね。
日本の義務教育は中学生までですから、
テレビは中学生がわかる言葉にする、というのはもっともなことです。
番組・CMのターゲットは50歳以上の女性
中学生がわかるような言葉で50歳以上の女性に受けるような番組を作る。
このサイトで、以前ゴールデンタイムはもっとも消費力のある働く世代がテレビを見ていると書きました。
関連記事:CMの費用はパーコストで決まる
確かにそうなのですが、消費のカギを握っているのは、
実は50歳以上の女性達だと言われています。
テレビ業界では視聴者を大きく分けてM1,M2,M3,F1,F2,F3と呼びます。
- M1…男性20歳~34歳
- M2…男性35歳~49歳
- M3…男性50歳以上
- F1…女性20歳~34歳
- F2…女性35歳~49歳
- F3…女性50歳以上
ずいぶんざっくりした分け方ですよね。
ちなみにMはmale(男性)Fはfemale(女性)の略です。
寿命も延びているし、65歳くらいまでは働く人が多いので
65歳以上っていうのもあっていいような気がしますが…
それはさておきテレビ番組にとってのターゲットはF3層(50歳以上の女性)と言われています。
それはなぜかというと?
50歳以上の女性が実は日本の消費、お金の動きを牛耳っているからです。
ある家族を想像してみてください。
子供がまだ働く年齢ではないなら、必要なものは親に物を買ってもらいますよね。
たいていはお母さんにお願いして、買ってもらいます。
だから女性の意思が決定権となります。
また男性はどうかというと(独身の場合は別ですが)、
ちょっとした買い物をするときは、一応奥さんに相談する人が多いのではないでしょうか。
勝手に買うと妻がブツブツ文句を言うから…うるさく言われると面倒だから…という理由もあるとは思います。
または、奥さんが気に入ったから買うことにした、という男性も多いはず。
一方妻はどうかというと高額なものについては夫に相談するけど
そうでもない値段のものなら相談せずに買ってしまっている人も多いのではないかと思います。
普段から家族の日用品を買うなど、お財布を握っている人が多いですよね。
というわけで子供の背後にも、また男性の背後にも、F3層つまり50歳以上の女性の存在があって
買うか買わないかのカギを握っているわけです。
女性は強し…
とくに50代以上は金銭的にも余裕が出てくる時期です。
まして今の50代はバブル世代。
お金を使うことに慣れている世代なのです。
購買、消費のカギを握る50歳以上の女性がテレビ番組を見れば、
その番組で流れるテレビCMも目に入るわけです。
民放のテレビ局はCMなどの広告収入で成り立っているのですから
50歳以上の女性を意識するのは当然の流れと言えます。
新しいターゲット
最近、若い世代のテレビ離れが言われていますが、
その原因の一つは、
このように主に50歳以上の女性向けに番組を作っていたからということもあるのかもしません。
ただ、やはり若い世代にも見てもらいたいですよね。
そのカギを握るのは今後のテレビ局のネット配信番組だと思います。
テレビの地上波で築いた高いクオリティを活かして、
ネットの世界に新たなブームが起きるかもしれません。
2019年からのテレビのネット同時配信を前に、
おそらく今後、2019年を待たずにテレビ局からもインターネットの番組が多くできています。
そこではぜひ、若い世代をターゲットにした番組を多く作っていってもらいたいものです。
そうなれば、インターネットの番組には若い世代向けの商品を持つ企業、新たなスポンサーが付いていくことでしょう。
そうやって新たな市場ができているのではないでしょうか。
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