テレビ業界で将来的に仕事をしていきたいと思っている学生さんはテレビ業界の動向をあらかじめ理解しておいた方が良いでしょう。
今回は就職する前に知っておきたい業界の知識について解説してみたいと思います。
テレビ業界の市場規模
まずはテレビ業界の市場規模について。
総務省が出している放送産業の市場規模(売上高集計)の推移と内訳によると、放送業界の市場規模は以下の図のようになっています。
市場規模は2003年からほぼ横ばいで、現在は3.9兆円の規模となっています。
テレビ業界は
- 公共放送のNHK
- 5局の地上波民放キー局
- 系列局
- BS及びCS衛星放送
- インターネット動画配信
- ケーブルテレビ
などから成っており、5局の地上波民放キー局は
- 日本テレビ(NTV)
- 東京放送(TBS)
- フジテレビ(CX)
- テレビ朝日(EX)
- テレビ東京(TX)
です。
地方系列局は「系列」という言い方をしていますが、キー局と地方局が同じ会社、というわけではなく、キー局が出資に入っていたりはするものの別会社扱いになります。
キー局で放送されている番組が地方の系列局でも見られるのは地方系列局がキー局制作で作った番組を購入して放送しているからです。
これを業界では番組販売と言ったりしています。
もちろん地方局でも自社制作を行なっている番組はあって、そういった番組はそのエリアでしか見られない番組なので、地元に密着した内容を放送していることが多いです。
最近ではネットでもすでに放送された番組が配信されているサイトやサービスがありますが、
あれもテレビ局などが共同でサイトやサービスを運営していたりします。
関連記事:地方局のテレビ放送が一週遅れて放送されるのはなぜ?
テレビ業界の平均年収ランキング
平均年収ランキング1位~3679位の企業一覧【2020年最新版】によると、テレビ業界の年収ランキングトップは以下のようになっています。
順位 | 企業名 | 平均年収 |
1位 | TBSホールディングス | 1632万円 |
2位 | 朝日放送グループホールディングス | 1479万円 |
3位 | 日本テレビホールディングス | 1432万円 |
4位 | テレビ東京ホールディングス | 1392万円 |
5位 | テレビ朝日ホールディングス | 1377万円 |
やはりキー局が圧倒的に上位を占めていますね。
テレビ業界全体での平均年収は1139万円となっています。
年収をなるべく上げたいのであればやはりテレビ局への就職が一番でしょう。
ただしテレビ局の番組は必ずしもテレビ局内の制作部が作っているわけではありません。
全体の8〜9割ほどの番組が下請けとなる番組制作会社で制作されているのが現状です。
テレビ局はアナウンス部は分かれていても、それ以外の役職は「一般職」という形で募集されるので
制作希望でテレビ局に入ったからといって制作の仕事をすることができるわけでもありません。
番組制作の仕事がしたいのであれば、テレビ局に比べると年収が下がってしまうと思いますが
番組制作会社で制作の仕事に必ず就きたいのであれば番組制作会社へ就職した方がいいでしょう。
近年のテレビ業界の動向
YouTubeをはじめ、動画配信サービスが多数台頭してきており、家にテレビがないという人も増えました。
それに合わせて若者のテレビ離れもよく話題に挙がります。
とはいえ、動画配信サービスでも多くのテレビ番組が見逃し配信という形で見られたり、バックナンバーも追えるようになっています。
こういった動画配信サービスはテレビ局側がサービスを運営していたり、サービスに対して出資していたりします。
そのため最近ではそういったネット関係に媒体を広げられる人材がテレビ業界では求められるようになってきています。
テレビ業界というと番組制作のイメージが強い方が多いと思いますが、
テレビという形にこだわらず、多くの人にコンテンツを届けられるようにプラットフォームを拡大していけるように動き始めているテレビ業界では、新しい人材が求められていると言えるでしょう。
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これから業界に求められるもの
広告市場も大きくネット業界が成長している今、テレビ業界はコンテンツ制作だけでなく、コンテンツをどのように届けるかということを考えなくてはいけない局面になってきています。
番組などのコンテンツがテレビだけではなく色々なプラットフォームで見られるようになってきている今、
映像制作という仕事がなくなることはないでしょうから、制作に携わる人材は引き続き必要とされるでしょう。
さらには、そのコンテンツをどのように届けていくか、
どのようにネットなどの新しいメディア媒体とテレビを融合させていくのか、ということが考えられる人が求められていると言えます。
よりたくさんの人にコンテンツを届けるためにはどうしたらいいか、どんな番組を作ったら多くの人に熱狂してもらえるのか、ということを好奇心旺盛に考え、チャレンジしていくことができる人が求められているように思います。
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