視聴率の計算方法や録画が視聴率に含まれるのかどうか、ということを知らない人は結構多いかと思います。
視聴率に録画での視聴は含まれません。
テレビ局や番組制作会社は視聴率がどのくらいか、ということを常に気にしながら番組を作っていますが、
そもそもどうしてそこまで視聴率が大事なのか、というところからも知らない人は多いでしょう。
今回は視聴率の仕組みと、どうして視聴率が大切なのか、
また録画と視聴率の関係について話してみたいと思います。
視聴率はなぜ大切なのか
視聴率が大切な理由はそのテレビ番組が面白いかどうか、ということが視聴率によって測られるから、という単純なものではありません。
他のテレビ番組に比べて視聴率をとりたいから視聴率の数字をあげようとみんなが躍起になっているわけではないのです。
もちろん表面的に見たらそういうことなんですが、視聴率というのは「どれだけの人がその番組を見ているか」という指標になります。
つまりその番組の中でCMを流したらどれくらい効果が得られるか、というスポンサー側の指標になるわけです。
視聴率の低い番組でCMを流すよりも視聴率の高い番組の中でCMを流した方がよりたくさんの人にそのCMを見てもらう事ができますよね。
だから視聴率の高いテレビ番組にはスポンサーがつきやすいんです。
スポンサーがつきやすい、ということはそれだけその番組の予算が高くなる、ということであり
その番組を作るのにお金をかけることができる、ということなんですね。
テレビは広告収入で儲けを出している業界です。
だからスポンサーにたくさんついてもらうために視聴率を上げる、ということが大切なのです。
また、スポンサーがついてからも視聴率はとても大切です。
スポンサーがついてくれるのはあくまでクールでの契約ですから、
もし視聴率が下がってしまったらスポンサーがテレビの改編期(放送番組が一斉に変わる時期。基本的には3ヶ月ごと。)のタイミングで離れてしまうかもしれません。
スポンサーがお金を出してくれる代わりに、その番組はそれ相応の視聴率でお返しする、というのが視聴率の仕組みなのです。
視聴率の測り方
視聴率は具体的にどうやって、誰が測っているのか。
またその計測方法の抜け道についても少し話して見たいと思います。
近年テレビの視聴方法が拡大し、視聴率計測方法には疑問の声が多数あがっているのが実際のところです。
視聴率計測方法
視聴率というのは基本的にビデオリサーチ社というところが計測しています。
特定のテレビに視聴率を計測する機械が付いていて、それでどの番組を見ているか、という視聴率を計測します。
東京都にあるテレビの中で視聴率計測器がついている世帯数は600と言われています。
つまり600世帯のテレビのうち、どれくらいのテレビで見られているのか、という割合がそのまま東京都における視聴率になる、ということですね。
これはもちろんリアルタイムで視聴している世帯の視聴率になるので録画は含まれません。
視聴率計測方法の問題点
ただ最近ではテレビを録画して視聴する人が本当に増えています。
逆にテレビをリアルタイムで見ていてもながら視聴をしていてテレビの内容そのもの自体を注視しているか、というとそうではない、という場合もよくありがちです。
関連記事:テレビのながら見とCMの関係
今後は視聴率ではなく視聴質の方を計測するべきだ、という声も高まっています。
視聴質とは
視聴質(しちょうしつ)とは、テレビ番組の質、視聴者の質、視聴の質などを測る尺度として実現が期待されているもの
2003年の日本テレビ視聴率買収事件以降、それまでの視聴率への疑問の高まりと共に注目を集めた。
Wikipediaより
ただ、ビデオリサーチ社の視聴質の基準は
- 誰が見ているか(視聴者構成)
- どのように見ているか(ながら視聴など)
- 番組の内容はどうだったか(番組評価内容)
- CMの表現内容はどうだったか(CMの質)
という風に定義されており、
何を基準に視聴質を計測したらいいのか、ということが曖昧すぎてなかなか視聴質計測をするのは難しいとされています。
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タイムシフト視聴率
ビデオリサーチ社では2012年からタイムシフト視聴率(録画再生率)の計測を試験的に始めています。
テレビ番組を
- ハードディスク
- DVD
- ブルーレイディスクレコーダー
などで録画して再生している世帯で、レコーダー自体に計測器を設置し、どの番組を録画して再生しているのか、ということを計測して出す数字です。
しかしこれは視聴率を測定している世帯と同じ世帯ではないので視聴率と比較したり合算したりすることはできません。
また、視聴率の場合はリアルタイムでの再生になるのでCMを確実に見ている、ということがわかります。
視聴質の観点から言うと「見ている」と一概に言うことも言えませんが、少なくともその世帯でそのCMが流れている、ということと同義ですよね。
しかしタイムシフト視聴率の場合はその番組内で流れているCMがそのまま視聴されているか、というと多くの場合が早送り機能などを使ったりして見られていないのではないかと思います。
なのでタイムシフト視聴率の場合は視聴率と同じようにスポンサーの指標にはならないのです。
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視聴率計測の難しさ
テレビ番組がいろんな端末で視聴できるようになり視聴方法もいろいろ変わってきました。
そんな中で何を基準に「この番組でCMを流せば効果が得られる」ということを判断すればいいのか、ということはとても難しい問題です。
今のところは視聴率がテレビ業界での主な指標ですが、
録画も含まれませんし、テレビ以外の端末での視聴も含まれませんから、視聴率の計測方法は大きく変わっていくでしょう。
むしろ視聴率、という概念そのものが何か別のものへと変わっていくのかもしれません。
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では今日はこのあたりで。