テレビ業界の裏話

テレビ番組の編集作業中、アシスタントディレクターは何をしている

アシスタントディレクターはディレクターを補佐するのが仕事です。

ディレクターが編集作業中、ADは何をしているのでしょうか。

編集の流れは、

  1. 仮編集
  2. プレビュー&修正
  3. 本編集

と、3ステップになります。

それぞれについて詳しく解説しながら、そのとき、アシスタントディレクターは何をしているのか、書いてみましょう。

①仮編集

仮編集は、粗編集、略して「あらへん」とか「オフライン」とも言います。

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撮影した映像を構成に沿ってつなぎ、決められた放送尺へ近づけていきます。

仮編集では、編集ソフトを使って、ディレクターは使えるカットを選び、流れに沿うように並べていきます。

撮影した映像は放送尺の10倍以上になることもありますから、一回目で放送尺になることはありません。

1回目の仮編集では、ざっくりつないで放送尺の1.5倍くらいになり、2回目でほぼ尺になり、3回目でわかりやすくなるように整えていきます。

ざっくりと”あらく”編集するため、「あらへん」というのかもしれませんね。

その頃アシスタントディレクターは?

ディレクターが仮編集をする前に、アシスタントディレクターは準備をします。

撮影した映像をパソコンに取り込み、

撮影した映像をファイルに分類し、

ファイルに名前をつけておきます。

こうすることで、ディレクターが編集するときに、使いたいカットがどこにあるのかすぐに探し当てることができるのです。

さらに、編集で使用するための資料映像映像や画像、資料を探したり手配したりします。

例えば…

  • 過去の映像をテレビ局のライブラリーで探し、使用できるように申請、映像をダビングしてもらい、パソコンに取り込む
  • 創業者の写真を取材先に提供してもらい、スキャンしてパソコンに取り込む
  • 映像素材を提供するサービスにアクセスして、イメージ映像を探し、使用規定を読み、料金を確認してダウンロードする
  • 新聞記事や雑誌の記事などを挿入するため、図書館などで現物を探しコピーしたり借りてくる。新聞社や雑誌の出版社に連絡をとり、使用許可申請をする
  • イメージをイラストで挿入するため、ラフ案を書いてイラスト会社に発注する

などなど、撮影してきた映像以外の挿入する写真や記事、イメージ画像、イラストなどを集めます。

集めるときの注意として、それらはテレビ番組で使用しても問題のないもの。

使用するための条件をクリアしたものに限られる、ということです。

アシスタントディレクターの最初の躓きで多いのは、ここの部分。

テレビ番組で使用する許諾をとらずに使ってしまったため、番組を見た関係者がテレビ局に指摘をして発覚する、というケース。

関連記事:テレビ番組制作の撮影では許可申請がなぜ必要?その書き方について

②プレビュー&修正

仮編集で放送尺に近づいたら、プロデューサーや構成作家などを交えてプレビュー(みんなで映像チェックをすること)をします。

そこで、分かりづらいシーンや誤解されそうなシーンがあれば、映像を足して補足するのか、それともナレーションでフォローするのか、前後を入れ替えるのか、もしくは外してしまうのか、を検討し、どのように修正するのか決めます。

アシスタントディレクターは、どこをどのように修正するのかをすべてメモしておき、ディレクターが修正作業するときに一緒に確認していきます。

ディレクターが修正作業をしている間、アシスタントディレクターは事実確認をします。

例えば、

  • 登場人物の名前・年齢・所属
  • 店舗や企業の正式名称や地名
  • 商品やサービスの正式名称・値段
  • 記事やデータの出典名
  • 出演者がアドリブで話した内容が事実に反していないかどうか
  • 言い回しが適切かどうか
  • 誤解をされそうな映り込みがないか
  • 取材している作業は適切な場所や手順になっているか

など、多岐にわたります。

これらは、テロップを入れたり、ナレーションを書いたりするときの大事な資料になります。

③本編集

本編集とは…

ポストプロダクションと呼ばれる編集所で映像と音声の総仕上げをする作業です。

パソコンでできるよりも複雑な動きをつけたり、モザイクなど加工をしたり、テロップの書体も多くあり、出し方のバリエーションも豊富にあります。

仮編集で仕上げた映像をベースにして、映像のトーンを整えたり、画角の調整をしたり、カットとカットのつなぎ目を派手にしたり、と映像をつくりあげ、テロップを入れていきます。

この作業中にADがやることは、すべての最終確認

修正するなら、本編集の作業中にしなくてはなりません。

テロップの字の間違いがないようにしなければなりませんし、疑わしいことはその都度、辞書やネットで調べます。

映像が完成したら、音声を入れていきます。

音声を編集する作業はMA(えむえー)といいます。

映像に入っている音はマイクで録ったメインの音声と、カメラマイクが拾った雑音の両方が入っていますから、それぞれを調整していきます。

音の素地ができあがったら、音楽を入れてナレーターにナレーションを読んでもらいます。

最後に音関係をミックスして完成です。

MAでのADの仕事

ここでのADの仕事は、ナレーションのチェック。

  • ナレーションで読まれている情報が間違っていないか?
  • 読み間違えていないか
  • 聞き取りづらい発音ではなかったか
  • イントネーションは合っているか

などをチェックし、あやしいところはリプレイしてもらって、その場にいる全員で確認をとります。

関連記事:番組制作さいごの工程『MA(エムエー)』について解説します

本編集が終わったら…

本編集が終わったら、映像の完成版と最終のナレーション原稿と番組フォーマット(本編の尺とCMの尺が時系列でわかるもの)そのほか各局で決められている資料を揃えて納品します。

これらは、テレビ局内で最終チェックが行われ、確認事項や修正箇所が出てきたら、すみやかに回答しなくてはなりません。

番組ホームページに載せるための情報や画像を局の担当者に提出して、やっと終了です。

テレビ番組は、正しい情報を伝えなくてはならないメディアですが、その正しさを支えているのはアシスタントディレクターさんたちなのです。

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テレビ制作歴25年。テレビの業界の内側と、テレビ番組の裏側をわかりやすく発信していきます。


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