テレビを見ていると、海外ロケの番組があります。
海外ロケの番組を見て「テレビ制作者になりたい」「ディレクターになって海外ロケをしてみたい」と思ってくれる方もいます。
そのためか、「アシスタントディレクター(AD)でも海外に行くことがありますか?」と質問されることがあります。
今回は海外ロケについてお話します。
海外ロケをしている番組
民放でレギュラーで放送されている番組のなかから海外ロケの番組を抜粋してみます。
- 日本テレビ「世界の果てまでイッテQ」「アナザースカイ」
- TBS「世界ふしぎ発見!」
- テレビ朝日「世界の車窓から」「世界の街道をいく」
- テレビ東京「世界ニッポン行きたい人応援団」
ほかにも、特別番組やTBS「情熱大陸」、テレビ東京「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」で主人公の同行取材として海外でのロケがありますし、
情報番組の1コーナーやスポーツ中継や野球のキャンプ情報などで海外ロケのVTRがあります。
NHKはレギュラーや再放送、イレギュラー番組で、たくさんあります。
一部を抜粋しますと…
- 「今夜の旅はドラマティック」
- 「世界猫歩き」
- 「行くぞ!最果て秘境×鉄道」
- 「お宝を掘り当てろ!アンティーク鑑定旅」
- 「怪魚ハンターが行く」
- 「グレートレース」
- 「グレートヒマラヤトレース」
- 「グレートネイチャー」
- 「コウケンテツの世界幸せゴハン紀行」
- 「世界はほしいモノにあふれてる」
- 「旅するイタリア語」
などなど。
NHKは本放送で2時間番組を制作して、30分の短縮バージョンを制作したり、地上波とBSで放送したりと再放送も多いです。
海外でロケするときのチーム構成
海外でロケをするとき、スタッフの構成は、
- ディレクター
- カメラマン
- 音声
- コーディネーター
- プロデューサーもしくはアシスタントディレクター
- ドライバー
- 通訳
です。
海外ロケならではの職種に、「コーディネーター」と呼ばれる人がいます。
このお仕事は、現地での取材先をコーディネートすること。
コーディネートするのは取材先だけではなく、現地での移動や宿泊先、食事なども手配します。
また、通訳を兼ねる場合もあります。
海外ロケでは、コーディネーターに頼る部分が大きいのです。
カメラマンや音声は日本から一緒に行く場合もありますし、現地の技術会社で手配する場合もあります。
海外ロケではコーディネーターが多くの仕事をこなしている!
コーディネーターは、現地の人で日本語が堪能な方もいますし、現地の言葉が堪能な日本人が現地在住してコーディネーターを生業にしている方もいます。
よく取材されているような国には必ずコーディネーターの会社があります。
彼らの仕事は、リサーチ、取材交渉と撮影申請、日本からのスタッフが空港に到着したら迎えにきてくれて移動、ロケのときの撮影だ段取り、取材先との打ち合わせを代行、インタビュー時に通訳、移動・宿泊・食事のケア。
日本からのスタッフがその国を離れるまで、面倒を見てくれます。
リサーチャーであり、制作進行であり、ときにはプロデューサーであり、旅行時のツアーコンダクターの役割も担っています。
コーディネーターなくして、海外ロケは成り立ちません。
ちなみに日本にも海外からのテレビ局の撮影をお手伝いするコーディネート会社があります。
関連記事:街歩き番組のロケ、撮影に許可は必要?公道と私道で違う対応方法。
どんな場合にAD海外はロケに行ける?
ロケのほとんどの業務はコーディネーターが担いますので「アシスタントディレクターの出番がないのでは」と思われるかもしれませんが、
撮影ができるADや、語学ができるADは同行する機会があります。
また、プロデューサー的な動きができるADや、まもなくディレクターになれるレベルのADは抜擢されることがあります。
環境が過酷な場合やスケジュールに余裕がないときは、プロデューサーよりも体力のあるADが同行することがあります。
誰を連れていくのかは、ディレクターとプロデューサーが決める場合が多いです。
一番現地で一緒に行動するのはディレクターですから、ディレクターと相性のいいADが選ばれることが多いのではないでしょうか。
いつもと違う環境ですし、海外ロケの場合は宿泊費が高く、しかもツインルームがほとんどでシングルの部屋がありません。
四六時中ディレクターと行動を共にしますので、相性は大事です。
海外では日本のようなビジネスホテルは少なく、物価も高いのです。
日本と同じように考えては予算がオーバーしてしまいます。
関連記事:【新人AD向け】テレビ撮影現場で使われている専門用語
海外ロケでADはどんな仕事をしているの?
海外ロケに同行したときに、アシスタントディレクターはどんなことをするのでしょうか?
全く経験がないADの場合は、英語がネイティブだったり現地の語学ができる場合に海外ロケのチャンスが巡ってきます。
それ以外では、まもなくディレクターに昇格するくらいのキャリアであれば一緒に行くことがあります。
その時のADとしての仕事は、
- ディレクターと別行動ロケがある場合、ディレクターを任される
- メインのカメラマン以外のサブカメラをまわす
- 収録素材を管理する
- 撮影した日の夜に、パソコンで編集をする
- 特殊な撮影をする場合に、機材運搬や機材組み立て、操作をする
- 街頭インタビューをする
- 現地での支払いや予約をする
- スタッフやスケジュールの管理や機材・荷物・書類・予算の管理をする
- 日本に残っている制作チームやプロデューサーに日々の報告と相談
などが上げられます。
海外ロケの場合は予想外のことが必ず起こりますし、環境や食べるものも変わります。
休みや休憩も取れないことが多いですし、頼れるスタッフも限定されています。
ADはもちろんのこと、制作スタッフは睡眠も十分にとることができません。
体力と精神力と言葉が通じなくてもなんとかしようとする気概が求められます。
国内ロケでは味わえない濃密な時間を過ごせる海外ロケ。
放送されたときは、いつも以上に嬉しいものです。
関連記事:ADになったばかりはどんな仕事をするの?3ヶ月目の新人さんにインタビュー!