テレビ局は番組を作って放送し、その番組の中でCMを放送したいスポンサー企業に放送枠を販売して収入を得ています。
このビジネスモデルに関してはご存知の方がほとんどだと思いますが、実は他にも色々な放送外収入があります。
イベント事業などもそのうちの一つですが、そういった放送外収入の一つにキー局がローカル局に番組を販売する番組販売(番販)というものがあります。
キー局で放送されている番組が、ローカル局では一週間遅れて放送されたり、
別の時間帯に放送されている、というようなことがよくありますよね。
あれも番組販売です。
また、最近では海外のテレビ局へ番組だけでなく脚本や番組演出を販売する、という販売も行われています。
今回はこの番組販売について、解説してみたいと思います。
テレビ局での番組制作の仕組み
実はこれも知らない人多いのですが、テレビ局で自社制作をしている番組というのは意外にも少ないです。
テレビ局社員でも制作に携わることができる人はほんのわずか。
好きなテレビ番組があって番組制作の仕事をしたい!とテレビ局に就職しても、思うように制作局には行けず、営業や編成などの仕事ばかりしている…という方も少なくありません。
ではどこが番組制作をしているのか、というと番組制作会社です。
テレビ局社員が数人入って、共同で番組を制作している場合もありますし、
番組制作会社が丸々全部番組を制作している、というケースもあります。
なので、番組制作に携わりたくてテレビ業界を目指すのであれば、
番組制作会社に就職した方が、必ず制作に携わることができる、ということなんですね。
ちなみにローカル局の場合は、地元のスポーツを特集したり、地元のイベントやお祭りに密着したり、など
地域に根ざした番組作りが心がけられていることが多く、こういった番組は全国で流してもあまり意味がないので、自社制作で、地元でのみ放送されている、ということが多いです。
そういった枠は地元企業にも好かれるので、スポンサーに地元企業が入っている、というこもまた多いですね。
地元を出ると見なくなるCMが出てきて「あ、あれは地元だけで流れていたCMだったんだ」と気付く、という経験をされたことがある方も多いのではないでしょうか。
テレビを見ているだけだと気づかないですが、実はそういったローカル枠というのはたくさん存在するのです。
キー局で作った番組をローカルの系列局で流している、というのが多く見られるかとは思いますが、
テレビ局は全体の2割程度は自社制作で番組を作っています。
番組販売で販売される番組
先述したようなローカル枠に放送できる番組を販売するのが番組販売で、
例えばローカル局が自社で制作している番組などもありますし、過去に東京キー局や関西(大阪)のテレビ局ですでに放送された番組を全国の放送局へ販売する、ということもあります。
番組ジャンルも、
- スポーツ
- 情報
- バラエティ
- ドラマ
- アニメ
とさまざまです。
また最近は系列のローカル局だけでなく、
- BSやCS局
- 独立局
- ケーブルテレビ
などへの販売も行っています。
フォーマット販売
さいきん活性化しているのは番組の演出方法や企画内容などのフォーマットを海外に販売する、という事業です。
これは諸外国から「日本の番組を自国版にして放送したい」という要望があった場合に行われる手法で、もともとはアメリカのラジオ番組で始まった販売方法でした。
日本でも、海外のテレビ番組のフォーマットを購入して「日本版」として放送することはよくあることです。
もともとはアジア諸国で日本の番組の盗作が横行していたという背景があったそうです。
それでも「わざわざフォーマットなんて無形のものを販売しても、お金がかかるから勝手に盗まれて放送されてしまうのではないか?」と考える方もいらっしゃると思います。
ですが、実際フォーマットを購入してリメイクをすれば、本場の番組を作品の宣伝文句に使えるのです。
例えば「アメリカで大ヒットしているクイズ番組○○の日本版!」というような謳い方ができる、というわけですね。
勝手に盗作をすることももちろんできるはできるのですが、
こういった謳い方ができる方が広告をしやすい、というメリットがありますので、フォーマット販売も有効なのです。
これからさらに変わっていくテレビ番組の形
さて、ここまで番組販売について解説してきましたが、国外への番組販売はこれからも続きそうなものの、国内のテレビ局間での番組販売は今後は縮小していくと考えられます。
これはTVerの出現によるもので、全国どこでも番組放送直後にネット上で番組が見られるようになりましたので、
わざわざ一週遅れた番組がローカル局で放送されるのを待つ必要がなくなったんですね。
とはいえ、懐かしの番組の再放送などはこれからも行われるでしょうから、
全く番組販売がなくなるということはないでしょうけど、テレビ業界も今大きな過渡期にあるな、と日々感じます。
関連記事:地方出身者がADとして東京に上京してきて働く苦悩と乗り越え方
![](https://pencre.com/wp-content/uploads/2017/02/1486369289147.png)