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テレビ制作でDとADが苦手な仕事…3位精算、2位裏取り、1位は…?

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テレビ制作にはたくさんの工程があります。今回はディレクターとアシスタントディレクターが苦手な仕事について書いてみます。

テレビ制作の工程

テレビ制作の工程をざっくりと書いてみますと、

  1. 企画
  2. リサーチ
  3. 構成&キャスティング
  4. ロケハン
  5. ロケ
  6. 編集
  7. テロップ入れ
  8. 音楽入れ
  9. ナレーション入れ
  10. 事後処理

1つの番組を作るのにたくさんの時間がかけられており、関わる人も多いのがテレビ番組制作の特徴です。

アシスタントディレクターとして働き始めると、新人のうちから企画ネタの提出が宿題となることもあります。

もちろん内容が良ければ採用され、それが番組になります。

関連記事:バラエティ番組の制作期間は1ヶ月以上!制作する流れも紹介。

苦手な仕事 第3位は「精算」

苦手な仕事の第3位は「精算」です。精算は、制作工程の流れのなかでは、⑩の事後処理のひとつ。

制作を通じて、実費で支払いが生じることが多々あります。

例えば、

  • ロケハンに行くときの交通費
  • 打ち合わせするときの飲食代
  • 資料購入

など。

ロケのときには、

  • 高速道路料金
  • 駐車場代
  • ガソリン代
  • 小道具の購入
  • レンタル
  • ディスプレーカットを撮るための料理代
  • スタッフの食費

などなど、色々な出費があります。

最初にプロデューサーから、これくらいの費用がかかるだろうと想定される金額を渡されます。これを「仮払い金(かりばらいきん)」といいます。

制作が終わったら、決められた日までに、何にいくら使ったかと、その領収書、そして返金するお金(あるいは、不足した金額)をまとめて提出せねばなりません。

その書類を作るのが、とにかく面倒くさい!領収書を探さなければならない(一か所にまとめていればいいものを、財布やら名刺入れやら手帳やノートやらにバラバラに保管していたりする。つまり整理下手な人が多いのです)し、それをリストにして計算しなくてはならない。

こういう実務的な作業が苦手。やりたくない。という声を多く聞きますし、プロデューサーから精算が遅いスタッフの愚痴を聞くこともあります。

関連記事:ADの給料と仮払い、知っておきたいお金まわりのこと

苦手な仕事 第2位は「裏どり」

「裏どり」の作業は、アシスタントディレクターの主たる仕事のひとつです。

工程でいうと、最初から最後までどの工程でも「裏どり」は欠かせません。というのは、テレビで発信される情報は、「どこかの誰かが言っていること、思っていること」を取り上げるのはNGです。

「どこそこの、誰それが言っていた」と、特定できなければなりません。データを取り上げる場合は、公の機関が公表しているものでないと載せられません。

データのグラフやランキングが出るときには、画面の隅に小さく「出典」と書かれています。そういった資料を集めたり、確認したりするのは、ADやディレクターの仕事。

プロデューサーのなかには、コンプライアンスのチェックを専門にする担当者がいます。映像をみて、取材している会社や店舗や人物は、法律を守って営業しているのか、撮影は法を守って行われているか、をチェックします。例えば、取材したのが店舗なら、こういった法律が関わっています。

  • 食品衛生法
  • 景品表示法
  • 製菓衛生師法
  • 道路交通法
  • 薬事法
  • 建築基準法
  • 風営法

…などなど

そういった観点からチェックして、あやふやなところは、クリアにしておくように、と進言されます。

ときには、DやADが取材した企業や店舗に、こういう点を問われたのですが、どう対応されてますか?と連絡をとったり、管轄の省庁や保健所に問い合せをしたりします。

新人のアシスタントディレクターがびっくりすることのひとつは、この確認事項の多さ。役所に連絡したり、専門用語で書かれた資料を読んだり、と面倒なこともあるんですよね。そこが苦手という人は多いです。

しかし、面倒でも一つ一つ事実確認をすることで、放送の正確性や公共性が保たれているのですね。

関連記事:テレビ放送におけるコンプライアンスって何?

1位は…「プレビュー」

プレビューの前は軽ーく胃が痛くなったり、もっと先に延ばしたいと願ったり。できれば避けたい、と思っているディレクターは多いでしょう。プレビューによって、その作品の評価やディレクター自身の評価もされるのですから。

プレビューというのは、「試写」のことです。工程のなかでは、⑥編集 のなかになります。

編集には、オフライン編集(仮編集)オンライン編集(本編集)と2段階に分けられています。オフライン編集はディレクターがパソコンで編集していくのですが、オンライン編集はポストプロダクションという施設で行います。

プレビューは、オフライン編集とオンライン編集の間に行われます。プレビューをクリアしなくては、オンライン編集できないのです。

プレビューとは、プロデューサーたちの前でディレクターが仮編集した映像に合せて、ディレクターは仮のナレーションを読み上げていきます。プロデューサーがチェックするポイントは、

  • おもしろいか
  • 企画の意図通りの取材がされて、編集されているか。
  • 事実関係が整理されてわかりやすいか。誤解を与えないか。
  • 最後まで飽きずに見れるか。ストーリーとして成立しているか。

全体を通しでみて、全体の印象や、企画のコンセプトと映像があっているかどうかなど、プロデューサーからの感想や意見が出てきます。そして、もう一度最初から見てワンカット、あるいは、シーンごとに、詳細の修正点が指摘されます。

プロデューサーが3人4人とずらりと並んでいるなかで、映像を見せて説明するのは緊張します。ディレクターにとっては全行程のなかで緊張Maxなとき。番組の規模が大きいほど、プレビューするプロデューサーの人数も多く、アシスタントディレクターのなかには、このプレビューに立ち合い、指摘を受けるディレクターを見て、「これを乗り切るほどのメンタルは持ち合わせていない」と、転職を考える人もいます。

プレビューはだいたい3回行われますが、最初に見せるときが一番苦痛です。1回目でダメ出しをされて、修正をして、2回目のプレビューでは、尺調整をして、3回目のプレビューで全てがクリアになっているか確認をされます。

ダメ出しが多かったからといって、出来ないディレクターというわけではありません。1回目のプレビューででた修正ポイントが、2回目でちゃんと直っていればいいのです。

なぜ修正が必要なのか、どうなおすのか、をプロデューサーとやりとりして、納得のうえで修正する。ときにはプロデューサーの指摘が間違っていることもありますから、そこで自分の考えを主張できる、それが”出来るディレクター”です。

プレビューは緊張するけど、プレビューこそテレビならでは、と言うディレクターもいます。多様性のある視点で見てもらうことで、面白さや分かりやすさが吟味されるのですね。

関連記事:オフライン編集とオンライン編集はどう違う?テレビ番組制作における編集過程

今回はディレクターやアシスタントディレクターが苦手な仕事について挙げてみましたが、逆に好きな仕事は「ロケ」「仮編集」「MA」です。

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imacharin
テレビ制作歴25年。テレビの業界の内側と、テレビ番組の裏側をわかりやすく発信していきます。


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