仕事柄、テレビのcmとweb広告の両方を扱います。
最近はweb広告がやたら取りざたされますが、本当にweb広告が安くてテレビが高いのでしょうか。
cmの仕組みとは…
web広告のメリット
広告代理店をやっていると、様々なweb関係者からお声がかかります。
「テレビcmをやっているお客様に、一緒にweb広告も勧めてくれませんか」と。
その際の売りは何かと言うと
- テレビcmに比べて安いこと
- より興味のあるターゲットに対して広告を出せること
また結果を検証できること。 - 表示(インプレッション)することを保証して費用が発生、または
クリックしたら課金。
または実際に購入するに至った、資料請求したというような成果(クロージングと呼びます)に対して課金されるなど。
成果、料金がはっきりしている、わかりやすい。
といったことを売りにしているようです。
さて、この中で「1. テレビcmに比べて安いこと」については常々疑問に思っていました。
関連記事:飲料のCMをする時に効果的な方法とは?
web広告の仕組み
web広告といってもインターネット初期の時代からある
- バナー広告
(webページの上や横の枠に社名、商品やロゴなどを載せる広告、横長のものが多かった)から - よく耳にするリスティング広告(検索すると上部や右側に関連した広告が出てくるあれです)
- 最近多いアフィリエイト広告(商品のレビューを読んで→買うに至った人がいる場合、レビューした人(個人・法人)に成果報酬がバックするもの)
- 動画広告
ニコニコ動画や、Abema TV、You Tubeで流れるテレビCMのような動画広告。テレビと違うのは何人が見たかなど検証ができること。 - アドネットワーク配信型
(様々なブログやサイトに広告を出すやり方、形式はバナーや、テキストなど)
など、他にもありますが、
なかなか多くてその仕組みは難しいです。
何が言いたいかというと、
例えば
よく耳にするリスティング広告の仕組み一つをとると
かける費用は安くも高くもできるということ。
グーグルの検索エンジンを使うと上部や右側などに広告が出てきますが、
必ずしも1ページ目に出るとは限りません。
もしどうしても1ページ目に出したいならクリック単価を上げなければいけません。
そもそも検索されにくいワードであれば、単価は安くても1ページ目に出ますが、旅行とか不動産といったビッグなワードの場合、単価はかなり高額になります。
このリスティングについては
中小企業でも月額30万〜100万投資している会社はざらにあるはずです。
(余談ですが)
このリスティングはアウトソーシングしている会社が多いと思いますが、どんなキーワードにしていくか、結果を検証してキーワードや時間帯、エリアを変えていくなどは、かなりやり方により成果が違います。
適当にやることもできるし、がんばることもできます。
適当なキーワードを連ねれば、100万円は意味のないクリックにより瞬く間に無くなり、コンバージョン(最終目標達成:物販の場合購入)率は上がらないということも多いにあることは、理解しておいたほうが良いと思います。
アウトソーシングする場合はどんな風にやってくれるのか、信頼できるところにお願いし、できれば自社でもわかる人がいて、検証した方がいいと思います。
余談はさておき、一方でweb広告は安くすることもできます。
リスティングであれば、上限設定価格を低くすればいいわけですし、
その他の方法についても予算に応じてできるのは確か。だから安いといえば確かにそうでしょう。
関連記事:地域活性化方法としてのCM
テレビcmは本当に高いのか
このサイトでもCMは10万からできる
【テレビcmの料金が10万円】ってホント?
と書いていますが、上記のサイトではわかりやすく地方局を取り上げて説明しています。
「でも東京は高いでしょう」といわれます。では東京(関東)の
テレビcmは本当に高いのでしょうか。その仕組みはというと。
関東の視聴人口は約4000万人強。
通常テレビは人ではなく、世帯で考えるのですが、他の媒体を同じように考えやすくするために、人で考えてみます。
テレビcmのコストは基本的に視聴率1%あたりの値段でいいます。
値段は時期、時間帯によりかなり変わってきますが
仮に…そうですね、1%あたり8万円としましょう。
4000万人の1%は40万人なので
40万人に見てもらうのに8万円。つまり一人当たりは0.2円となります。
これは果たして高いのでしょうか。
テレビcmの場合、GRP(視聴率の積算)という数値を指標にすることが多く、GRP1000を目指すとか2000になればほぼ認知されるなどGRPのみに目が行きがちで、
なかなか何人の人が見るということに目を向けなくなっています。
GRP10や20くらいやってもたった15秒だし、一度見たくらいでは印象に残らない。
認知は上がらない。といわれます。
GRP10でも関東なら400万人です。これは決して少なくはないはず。
テレビも広告の一つに過ぎず、何人が見るかということではないのでしょうか。
折り込みチラシだって広告の一つです。紙だからといって15秒以上見るかといえばポイッとすててしまったら、1秒も見ていません。
また、
40万人しか見ないからといって折り込みチラシをやらないでしょうか。
雑誌に至っては最も読まれている雑誌でも40万部といったところなのです。
関連記事:アニメーションでCMをやるメリット
テレビのcm料金の誤解
つまりどういうことかというと、テレビcmは、たとえそれが東京の場合であっても
実はそれほど高いわけではないのです。
クリック課金型のweb広告で、一人がテレビcmを見る値段より高いものはズラズラあります。
テレビcmがなぜ高いかというと、少額では受け付けない、ある程度まとまったお金でないと受け付けないという暗黙の概念ができてしまっているのです。
極端な例ですが、もし企業が15秒のcmをたった1回だけやったとしたら、それは東京であっても数十万でできます。
一回でもできるならやってみたいと思う会社はきっと多いと思います。
ただ
1ヶ月のcmが全て違う企業のcmだとしたら膨大な企業数になり、
おそらくテレビ局のcm担当者は眠れない忙しさになってしまうでしょう。代理店としても負担は大きいです。
つまりやってられない!ということです。
だからまとまった金額でやってくれる企業があれば手間もはぶけるしそれにこしたことはないのです。
テレビというブランド力でクライアントを選べる立場にあったとも言えるでしょう。
ただ、これだけweb広告の割合が多くなってきた今、
テレビcmのあり方は今のままでいいのでしょうか。
テレビは実は高くないのに高いと思われていると今後はどうなっていくでしょう。
関連記事:男性脳と女性脳を考慮したCMの作り方
クラウド利用でcmの枠取りを公開する
これは私の個人的な考えですが、
番組スポンサー型のcm(タイムcmといいます)はとりあえず今のままだとしても
スポットcmについてはクラウド型にするとか自社でシステムを構築するなどして、料金を明確にして、埋めていく方式にすればいいと思っています。
常々スポットcm枠を取るときは、テレビ局に連絡して
cm打ちたいので
いつからいつまでで…
ターゲットは若い人なので、深夜帯で
予算これこれで…
取れますか?
といった実にアナログな感じで進めるのを、もっとどうにかならないのだろうかと思っていました。
もし、飛行機のチケットみたいなイメージで
空いていれば取れるし、いっぱいなら取れない。
そしてそれはどこからでも閲覧できる。
料金は人気の時間帯は高く早朝や深夜は安い(これも飛行機と同じですね)
全部とは言いませんがそんなやり方をしていけばおそらく
市場はぐんと広がるはず。テレビcmをやりたいけどできないと思っている会社は数多くあるはずですから。
ただ、テレビの信用性を引き続き維持するために
広告主となる企業は考査も必要ですし、登録制にする必要はあるでしょう。
もしそうなれば広告代理店の仕事は減るかもしれませんけどね。
テレビの安さは、実はweb関係者とかIT関係者は気づいていると思いますよ。
だからcmをたくさん打ってますよね。
もちろん初期の認知のためというのもあるでしょうが、
それだけではないと思います。
ライズアドバートでは、CMに関するご相談を受け付けおります。お気軽にご相談ください。また、下記フォームからもお問い合わせ可能です。
CMをしたいけど、何からすれば良いのかわからない。CMってどのくらいの予算でできるの?どこの局がおすすめなの?
そういった基本的なご質問から専門的な内容の質問まで受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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