2017年9月に政府から「電波オークション」の導入を検討する旨の発表がありました。
この案は今に始まったことではなく数年前にもありましたが、当時は閣議を通らなかったんですね。
今回は前回に比べ主にネット上で話題になっているようですが、
それはネットニュースの広がりが数年前より格段に広がっているからではないでしょうか。
電波オークションの意味
電波はもともと国のものです。
この電波の使い道はというと、よく知られるところではNTTドコモやソフトバンクの携帯用の電波
そしてテレビの放送用の電波ですね。
これらの電波はこれまで政府が許可する決められた企業で占めていました。
今後はこれにオークション形式を導入することにより、幅広く新規の企業にも利用してもらうという事になるのかもしれません。
なぜこのタイミングで再びこの話が出たのかわかりませんが、いくつか要因はあるように思います。
そもそも電波のオークションは日本以外の先進諸国ではほとんどの国で取り入れられていること。
また、現在では極端なことを言えば携帯端末さえあれば、ニュースの配信も出来るような時代になってきているため、
これまでのように国の許可事業として、業者を選定し、その代わり公平な情報発信を義務付けるという事にあまり意味がなくなってきていること。
多くの企業が参加できるようになることで、市場に競争原理が入り、悪い企業は淘汰され全体の質が上がっていくこと。
そして何より電波のオークションによる、政府としての増収を見込んでいるのだと思います。
電波オークションはテレビ・新聞には不都合?
さて、この電波のオークションについては、テレビや新聞が自社に都合が悪いので全く報道しない、
という内容の事がしきりにネットで書かれているようですが、そうなのでしょうか。
主にテレビについて考えてみたいと思います。
政府は電波のオークションを検討すると言っていますが、実際の細かいやり方までは明言していません。
現在テレビの電波はUHF帯と呼ばれる周波帯を使っていますが、すべて使用しているわけではなく、実はたくさん余っているようですね。
今後も電波の需要が増えていくことを考えると、有効利用することは当然の考えではないかと思います。
これにより既存のテレビ局の放送電波がなくなるとか、取り上げられる、という事では無いと思います。
むしろ、テレビ局が持っていて使用していない電波を政府が買い取って他に売るとしたら、テレビ局にとっても政府にとっても収入になりますし、
アメリカの例を見ると、使用していない電波を他の企業に貸すことで、使用料としてテレビ局に収入となる可能性もありますよね。
なんでもそうですが、改革を進めるにあたっては、どちらにも何かしらの利点がなければ、うまくいかないと思います。
ネットでささやかれているような、オークションの導入によって既存のテレビ局の電波が奪われてしまう、などという事は普通に考えて有り得ないことです。
テレビについにメスがはいる、といわれるのはおそらく最近のテレビは面白くないとか、報道に偏りがあるというような意見が多く言われているからというのもあると思います。
かくいう私もネットニュースはよく見ますし、テレビの情報については、掘り下げ方に疑問を持つことも多く、
偏向というか、情報が少ない、と感じることは多々あるのも残念ながら事実です。
関連記事:宣伝広告メディアを比較してみた。
電波のオークションがテレビに打撃だと言われる理由
電波オークションがテレビに打撃を与える。
そういったことが言われる原因はおそらく
- 大手通信社の電波利用料金が年間100億~200億であるのに対し、民放のテレビ局はたったの4~5億であること
- 安い代わりに利権が絡んでいるのではないか、官僚からの天下りがあるのではないかという疑惑があること
- テレビ局は衛星局まで含めて、関連会社で占めていてほとんど報道の寡占状態ではないかと思われていること
- テレビ局の偏向報道や、番組の内容、面白くないなど常々ネットで批判されていること
このような背景が実は大きく影響しているような気がしています。
大手通信会社とテレビ局の利用料金が二桁も違う事は、確かに驚きではありますが、
そもそも大手通信会社は数千万人の人が使っており、2014年のデータですら、
KDDIの基地局数が10万箇所、ドコモで6万箇所程度もあり、それに対し、テレビ局の基地は数十カ所程度です。
電波の用途も異なりますし、単純に値段の差だけで比較するのもどうかと思います。
ただ、確かに売り上げから見てもテレビ局の使用料金は安いことは確かではありますね。
また、テレビ局が衛星BSも子会社で運営し、また新聞社とテレビ局が同資本なので、どうしても寡占と言われても仕方がないような気はします。
ちなみにアメリカでは新聞とテレビは切られていますね。
同じ地域で資本が同じテレビ局と新聞社が同居しないようになっています。
今は、ネットを通じて報道や情報が様々な形で流されるようになってきて、既存のテレビのあり方が大きく問われている時代になっていると思います。
電波オークションが本当に導入されれば、そのまま頑張って続けるテレビ局もあれば、
複数合併して使用電波域も減らすという局も出てくるかもしれません。
いずれにしても現在以上にチャンネルは多くなっていくと思いますので、個性が求められる時代になるでしょう。
関連記事:【テレビの変化】テレビはなくなるのか
これからのテレビに求められること
現在の19歳以下の世代はデジタルネイティブ世代などと呼ばれています。
20歳以上の世代とはまた少し違うんですね。
1998年より前に産まれた20代は、最初から携帯電話やインターネットに接していたわけではなく
途中から触れてきた世代です。
テレビを見てきたけど、SNSやネット世界の方がおもしろくてそちらに移行してきた世代というわけですね。
ところが主に1998年以後に産まれた世代は生まれた時から携帯やネットに触れているデジタルネイティブ世代なので、
テレビもSNSもネットもすべて同列に並んでいて、自分で見て、自分で選んで、自分で判断する世代と言われています。
たくさんの起業家が出るとも言われています。
これまでのテレビは他局の動向やどんな番組で視聴率を取っているか、を見て番組を作ることが多く、
他局で当たれば似たようなことをやる事が多かったように思います。
もちろん新たな試みや、斬新な企画も多々ありますが、テレビ局には視聴率を取らなければいけない宿命がありますから、
新たなことをやるリスクより、他局で当たっているものをやれば、少なからず視聴率は取れるという安全策をとる傾向に陥るのは、どうしても仕方がなかったような気がします。
加えて、制作費を抑えたために、テレビ業界が一頃、3K(きつい、汚い、危険)と呼ばれ敬遠されて、良い人材が育成されなかったことも大きいと思います。
しかしながら、現在はかなり労務環境も改善されてきています。
特にテレビ局内での仕事は年々良くなっているのを目の当りにしています。
もともとテレビは影響力も強く、大変クリエイティブな仕事ですよね。
実はテレビというのは無料で見られてきたため、その映像制作は誰でもできそうな気がしている人が多いと思います。
ところがテレビの映像制作技術というのは一朝一夕で身につくものではないんですね。
デジタルネイティブ世代に選ばれるような、個性のある番組を作り、特色を出していくことがこれからは必要不可欠になると思います。
アメリカもかつては
- ABC
- CBS
- NBC
といった3代ネットワークが主流でしたが、1980年代ころから多チャンネル時代となり、
現在では百以上のチャンネルがあり、ほとんどの人が有料チャンネルに加入していると言います。
日本もそのようになっていくのかもしれないですね。
個性的なチャンネルが求められる時代になっていくのでしょう。
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関連記事:テレビ局にはどんな仕事があるのか
では今日はこのあたりで。
