テレビ業界用語の中に「EED」というものがあります。
このEEDは「Electrical Editing」の略称で、映像の編集工程のことを指しています。
日本語では「本編集」と呼ばれることが多いです。
今回はこのEEDについて解説してみたいと思います。
テレビ番組制作の流れ
おおまかにテレビ番組制作の流れをご紹介すると、以下のような流れになります。
- ロケ・収録
- 素材のデジタイズ…仮編集をするために、ロケで収録した素材をPCに取り込みます。これらのデータの取り込みや整理を「デジタイズ」と言います。
- オフライン(仮編集)作業…編集所で編集をする前に、ディレクターがPCで編集する作業です。
- プレビュー…試写。修正箇所を見つければ適宜修正していきます。プレビューを何度も行うこともあります。
- 編集所にて本編集EED作業…これが今回解説するEED
- 危機管理プレビュー…表現に誤ったものがないか、裏どりできているか、局のルールに従っているか、など改めて確認するプレビュー
- 編集所にてMA作業…Multi Audioの略で、音に関する処理を行います。出演者同士のしゃべっている声を同じボリュームにしたり、ナレーションを収録して調整し、映像にドッキングしたり、音楽や効果音を調整してつけていきます。
- MIX・最終チェック
- 納品
EEDとは、編集所に入ってから行う編集作業のことを言い、
現在はパソコンである程度の編集ができるため、EEDの前に仮編集をあらかじめディレクターが行ってから編集所に入ります。
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本編集(EED)でやること
本編集はポストプロダクション(ポスプロ)と呼ばれる、専門のスタジオで行われます。
制作スタッフはポスプロのことを「編集所」と言ったり、「ハコ」と言ったりすることが多いと思います。
また、ポスプロで映像の編集を担当する人を「エディター」「編集マン」「オペレーター」と呼んだりします。
エディターはディレクターが編集したオフラインに対して、以下のような作業を行っていきます。
- 映像の色味を整える(カラーグレーディング)
- 画面が斜めになっていたら水平にするなどして調整する
- モザイクが必要なカットにはモザイクをかける
- カットとカットのつなぎめに動きをつけたり、観やすくしたりする
- テロップやCGを入れる
より映像編集の専門知識を持ったエディターが細かいところを調整していく作業、という感じですね。
映像全体を、台本に沿ったものに仕上げていくための大切な作業で、
ただ映像を組み合わせるだけでなく、ターゲットとなる視聴者に刺さる内容、飽きさせないで見続けてもらえる映像に仕上げるために様々な仕掛けをしていく作業でもあります。

ポスプロはなぜ必要?
ある程度映像編集をやったことがある人なら、
パソコン上で映像の編集っていくらでもできるし、なんでポスプロって呼ばれる編集所に入らなきゃいけないんだろう?
と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
たしかに細かな映像編集も個人が所有しているパソコンで十分できるようになっているのですが、
映像編集・完パケまでを最後まで個人で完結させ、やり遂げる、というのは機材面や技術面で難しいというのが現状となっています。
テレビ番組などのプロの現場では、最後に必ず専門のポストプロダクション・スタジオを使用します。
ポストプロダクションに所属しているエディターは映像編集のプロフェッショナルであり、ディレクターに専門的なアドバイスなどができるんですね。
頭の中で思い描いている番組を作るために、どんなことができるのか、ということを一緒に考えてくれるのがポストプロダクションです。
そして、最終的に完パケを求められる形式に書き出す、というのもポスプロの役割です。
これが意外と個人では判断がつかないところだったりするので、やはりテレビ番組として放送するものに関しては、必ずポスプロに入るのです。
たとえばMAなんかも、ナレーションを収録して効果音やBGMを映像につけていく作業ですが、
ナレーションを収録するにはナレーションを収録する収録ブースが必要になります。
無音で、音の反響が少ない防音室ですね。
使われているマイクは何十万円とするようなマイクだったりします。
こういった機材が全て揃っているのが編集を専門としている会社であるポスプロというわけです。

弊社ライズプランニングはテレビ局出向型の番組制作会社で、主に情報・報道番組の制作に携わっています。
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