弊社ライズプランニングはテレビ局出向型の番組制作会社です。
弊社が制作に携わっているのは主に報道・情報番組ですが、これらの番組を制作する際、番組内で使用される映像素材にはパターンがあります。
今回は新人のADさん向けに、
映像素材の取り扱い方について、解説してみたいと思います。
自分たちで撮影した映像素材
自分たちで撮影した映像素材については、撮影段階で許可取りをしっかりしていれば、使用する段階でどこかに許可をもらったりする必要はありません。
例えば、
- 発生した事件・事故の現場などの取材、リポート
- 流行りの店や商品の取材
- 識者・関係者へのインタビュー
- イメージ映像
- 再現映像
- 物撮り
などなど。
「街の声」を撮りに街頭インタビューに出かけることをテレビ業界では「街録(がいろく)」などと呼んだりしますが、
この街録も必ず、インタビューに答えてくださる方に出演同意をいただいてから行います。
同意をもらえなかった人の映像を勝手に使用することはできません。
インタビューに快く答えてくれる人というのは少ないものなので、実はこの街録の仕事は体力仕事だったりもします笑
撮りたいものが撮れなくて2日、3日と粘ることも。
さらに、撮影しても良い場所かどうか、映りこんでいるものに放送してはいけないものは含まれていないか、など、撮影時に確認しておくことはたくさんあります。
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別の部署が撮影・管理する映像
テレビ局の中の別の部署が撮影したものや管理している映像を借りることもあります。
例えば、
- 報道局の社会部・政治部・経済部などが取材した映像
- 外報部が取材したり映像や、CNNやAP、ロイターなど海外配信の映像
- 系列のネット局が取材した報道素材
- スポーツ局が取材した競技映像や、海外版権のスポーツ競技映像
- 芸能班が取材したイベント映像や、CM・映画・PVなどの納品素材
といったもの。
報道局の別部署が取材した映像
報道局などが管理している映像素材を使う時は、申請書や素材リストを作り、許可(ハンコ)をもらう必要があります。
これをハンコ回りと言うこともあります。
海外配信の映像
さらに、海外通信社が配信した動画は、テレビ局とその通信社の契約内容によって使用条件が変わってきます。
すべての通信社の映像が使えるわけではなく、使える期間や条件があることもあります。
ネット局の報道素材
ネット素材は、ネット局とやりとりしているデスクを通し申請書を送ります。
ネット局の場合はキー局と違いスタッフも少なく、退社時間も早いので、夕方ニュースが終わって1時間ほどで担当者が帰ってしまうこともあります。
早い時間帯であれば、地方局だけで放送した「ローカルニュース」の映像や素材、原稿を送ってもらうこともできる(素材伝送)ので、ネット局の素材が必要なら早い時間帯に対応した方がいいですね。
スポーツ局の素材
今注目を集める大谷翔平選手などMLB素材は、番組内の使用尺にも制限があります。
版権を管理するメディアサポートからの色々な条件の中で映像使用が可能となります。
スポーツニュースや報道番組、バラエティー番組など、番組によって使用条件が変わることもあります。
特に最新の試合ではないものは事前申請と使用料が必要となります。
CMや映画など、作品映像
CM素材や映画の抜き素材は、「PRのため」に納品されているので、無断使用やPR以外の使用はできません。
芸能人の事件など、ニュースでの使用は申請しても許可がおりないんですよね。
訃報の時に「そのCMがその人物と切り離せない」場合は、許可が下りるかもしれないのですが、そういったものはなかなかないです。
過去のCMは「ACC」に申請し、関係各所の権利をクリアし料金を支払って使用することもできます。
過去の映画(邦画)は配給会社に申請して許可をもらうこともできますが、有償でかなり高いです。
監督と脚本家が所属する協会にも使用料が発生します。
過去の洋画は、DVDなどのパッケージが出ていれば、申請しクレジットとジャケット写真を入れることで使うこともできます。
ただし、昔の物は国内の版権が他に移っていたり切れていることも多いです。
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他者が権利を持つ素材
YouTube動画や、XやインスタグラムなどSNSで公開されている動画や写真、
取材相手などから提供された動画や、防犯カメラ・ドライブレコーダーの映像など、
ネット上に公開しているからと言って無断で使用できるわけではありません。
一般の人がネットにあげる動画は、その相手に連絡を取るところから始まるので、XなどはDM(ダイレクトメッセージ)で使用確認をするのもアシスタントディレクターのお仕事です。
今回は報道・情報番組で使われる映像素材について解説してみました。