テレビを見ていると、「あれ?このお店、前も出ていたな」と思うことがありませんか?
チェーン店や大型の店舗ではなく、個人経営や家族経営の小さなお店なのに、頻繁に目にするお店が少なからずあります。
テレビで取り上げられたい人から「なぜ、あの店ばかり出ているんだろう。どんな手を使っているのか」と尋ねられたこともあります。
私たち制作スタッフは、どうやって、小さいのに魅力的な店を探しているのでしょうか。
取材する店を探り当てていく工程を見ていくと、そのヒントがあるかもしれません。
私は普段、情報番組で飲食店を取り上げる番組に携わっているので、いつものやり方を辿っていきましょう。
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①番組と企画の整理
最初に、番組と企画の整理をします。
番組の基本情報である、放送時間や放送エリアを確認します。
そうすることで、視聴者層が絞れることと、取材するエリアがイメージできます。
どんなに面白いネタであっても、視聴者層とエリアがズレていては、無駄に終わってしまいます。
例えば、10代~20代の女性が視聴者層だと、流行のメニューやビジュアル的に魅力のある料理が好まれます。日本初出店や、季節感のあるものも興味をもたれます。
30代~40代の男性が視聴者層だと、職場の近くやターミナル駅近くの定食、洋食、ラーメン、大盛り、ガッツリ系が好まれます。
50代以上ですと、料理+店主のストーリーにも関心がもたれます。料理や店の情報、店主のキャラクターだけではなく、どんな工夫をしているのか、どんな苦労があったのか、という舞台裏や背景があると納得度が高いようです。
どの視聴者層に、どんな情報を届けるのかは、企画書を読み、ディレクターやプロデューサーと打ち合わせをして企画意図を理解する必要があります。
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②こんな取材ができるといいな、と想像する
そして、こういう場所でこんな料理を出す店があって、こんな店主がいるとおもしろいだろうな、こういうシーンが撮れるといいなあ、と想像します。
調べ始める前に、できあがりを想像しておくことで、できあがりのイメージを描いておくのです。
そして、実際に探し始めます。最初の工程はネットで検索です。
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③キーワード検索でリストアップ、SNSで客観的情報をチェック
こんな店があればいいな、というイメージを言語化して、キーワードを書き出します。
検索ワードに、「探している場所」×「料理の分野」×「キーワード」を入れて検索します。キーワードは具体的かつ明確なワードでなければなりません。
お店のホームページと、口コミサイト、ツイッターなどを見て、基本情報やメニュー、最新情報を見ます。
お店が発信したいことは公式のホームページに掲載されていますが、それが取材サイドがほしい情報とは限りません。
お客目線で書かれた料理やお店、店主の特徴や個性、雰囲気や魅力、店主とのやりとり、エピソードなどに、こちらのセンサーが動くときがあります。
口コミサイトには、「注文した料理が出てくるのが遅い」とか、「あまりおいしくない」など、ネガティブなことが書かれているときがありますが、そういうところはあまり重視しません。
④電話で下取材
そして、企画にハマると感じたところに、電話をかけて詳細な話をききとります。
電話でお話しするのは、30分ほど。
まずは企画を説明して、その趣旨にあっているかどうか、実際にどんなシーンが撮れそうなのかを聞きだしていきます。
経験が浅いと、何を聞いていいかわからなくなったり、肝心なことを聞き洩らすことがあります。
そのためにも、聴き手が企画を理解して、何を撮りたいのか、を理解しておく必要があります。
取材先の方は、いつもやっていること、自分にとっては日常のことを聞かれるので、それが特別なこととか、こだわっていることと気づいていない場合があります。
制作サイドにとって響くことが、当たり前のことだったりしますので、こういうことをしていないかな、とイメージしたことをそのまま質問することがあります。
誰が取材先を探しているのか?
ネットで検索するのは、アシスタントディレクターやアシスタントプロデューサーが多いです。
こうしたネタを探すのが専門の、リサーチャーが行う場合もあります。
20代から30代の若手スタッフが多いのですが、ディレクター自らが探すことも増えています。
取材先を探すのは、プロデューサーやディレクターからのトップダウンよりも、制作スタッフのなかでも若手の人たちのボトムアップのことが多いです。
誤解されることが多いのですが、観光協会やPR会社、コンサルティング会社から紹介してもらっているんじゃないか、と言われることがあります。
ですが第三者から紹介してもらうことはありません。
紹介が入ると、紹介者の意向が番組に反映せざるを得ないことになりかねないからです。
あくまでも、企画があって、それに沿った店や対象者を探す、というスタンスを守っています。
番組が面白くなるかどうかは、取材先次第。
見たことのない映像やシーンを撮りたい!というのは制作サイドのプライドでもあります。何度も取り上げられているお店であっても、テーマや視点が違うと、取り上げるポイントも違ってきます。
実は番組制作者は、テレビをみて情報を収集している
テレビ番組を真剣に見ているのは、番組制作者です。
この店、面白いな、と思ったら、自分の担当している番組にどう演出しようか、どういう視点で撮ろうか、と自然に考えるもの。
ニュースや情報番組をみて、自分の番組に使えそうな取材先を探しています。一度、テレビに出た店が連鎖的に出るのは、そういう理由があります。
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取材先からよくされる質問
さて、取材されることになった場合の、ちょっとした疑問に回答します。
テレビに取り上げられることで、費用はかかるもの?
電話でお話しを伺うときに、断られる一つの理由で「お金がかかるんでしょ」と思われているフシがあります。
いくらかかるんですか?と聞かれたこともあります。番組で取り上げる場合、金銭のやりとりはありません。
撮影で出した料理の代金はどうなるの?
撮影のために作っていただいた料理のお代はお支払いしています。
もちろん、作っていただいたお料理はスタッフでいただきます。
お店が取り上げられる番組ってどんなのがある?
小さな店が取り上げられる番組は、情報番組か情報バラエティ番組が多いです。
タレントがグループで町を散歩したり、バス旅したりする番組。
東京キー局では、
- 日本テレビ「途中下車の旅」
- テレビ東京「アド街ック天国」
- TBS「王様のブランチ」
- テレビ朝日「じゅん散歩」
などがあります。
ほかにもバラエティ番組では、グルメ系がありますし、経済系の番組でもお店のしくみや取組みを紹介することがあります。
ローカル局では、地元密着型の町歩き系、居酒屋のみ系がありますし、BSでも旅番組があります。
意外と小さなお店、あまり知られていないお店を求めている番組はあるのです。
タレントが訪れる番組が多いですが、タレントが来ない番組の方が、お店のリアルな姿が伝わる映像に仕上がります。
今回は、テレビ制作者が取材先をどうやって見つけているのかを書いてみました。
取材したお店から、テレビに出てお客さんが増えた!と言われるのも嬉しいですが、店主さんたちが、自分が考えていること、思っていることを映像にしてくれた、と言われると、もっと嬉しいものです。
視聴者が楽しんでくれること、取材した人が喜んでくれることが、制作者のモチベーションになっています。
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