テレビ業界の裏話

テレビ番組に欠かせない作業、ポストプロダクションとは

映像配信をしている学生さんから、「テレビの映像って、クオリティが高いんですね!自分で映像を編集してみても、テレビっぽくならないんです。テロップの入れ方とか、色使いとか、真似したんですけどうまくできません」と聞きました。

テレビで放送されている番組は、番組タイトルが派手に画面に飛び込んできたり、アニメだったり、CGで動きがつけられていたりと、凝っています。

テロップもコメントに合わせて字体が変ったり、何重にもエッジがついています。

シーンに合わせて音楽が変わったり、感情を代弁するような効果音が入っていたり、観客の笑い声がおおげさに、あるいはシニカルに入っています。

それらは全て、編集の最終仕上げの作業で行われており、その部分を担っているところがポストプロダクションです。

このポストプロダクションで作業することで、テレビらしく仕上げられると言えるのです。

今回は、ポストプロダクションについて、くわしくお話しします。

ポストプロダクションでは、大きくわけて2つの作業をになっている

 

ポストプロダクションに入る前の映像は、『白素材』と呼ばれます。

白素材は、ディレクターや編集マンが編集ソフトを使って編集した映像です。

放送フォーマットに合せて、CMや提供が入る位置も決まっており、この段階で、放送時間ほぼピッタリです。

 

その白素材をベースにして、仕上げていくのですが、大きくわけると、『映像の編集』と『音の編集』をしていきます。

映像の編集

 

映像の編集は、V-Vと呼ばれます。Video to Video の略です。ここで行う作業は、

①白素材の画質を整える

色調整をしたり、画角を整えます。

②モザイク処理をする

モザイクは、映像をはっきり見せたくないところをぼかすこと。

例えば、密着取材のとき、ご自宅に伺うシーンなどの場合ですと、場所が特定されないように、自宅近隣の様子や外観にモザイクをかけます。

バラエティ番組の場合では、外でロケをすることがありますが、通りがかりの方や居合わせた人にモザイクをかけることがあります。

③映像のつなぎ目を加工する

シーンがかわる、シークエンスがかわる、ネタがかわるとき、ここからは新しい話題に入りますよ、と視覚でもわかるように、つなぎ目を加工します。

ページがめくれるように画面がめくれたり、飛んで行ったり、ゆっくりと次のカットと重なっていくような加工をしていきます。

④ワイプを入れる

画面の隅っこに、小さな四角や丸抜きで、補足情報をいれることです。

バラエティ番組だと、スタジオにいない人のトークで盛り上がることがあります。

そのシーンに、ワイプで写真やイラストをいれたり、教養番組だと資料やイラストをワイプで入れたりします。

スタジオとVTRで構成されている番組では、スタジオのリアクションをワイプで入れることもあります。

スタジオが生放送の場合、スタジオのリアクションは生で入れますので、ワイプが入る場所を考慮して、テロップの位置を考えねばなりません。

⑤テロップをいれる

テキストデータやイラストを一枚一枚加工しながら入れていきます。

テロップの内容によって、オシャレな字体を使ったり、ド派手な色を付けたりしていきます。デザインセンスや色のセンスが発揮できる工程です。

音の編集

 

音の編集は、MAといいます。Multi Audio(マルチ オーディオ)の略です。

①音の整理をする

シーンごとに、聞かせたい音があります。

タレントさんたちのしゃべっている声なのか、取材を受けている人のコメントなのか、料理や作業で出る音なのか、風景の自然の音、あるいは雑音。聞かせたい音が際立つように、調整をしていきます。

②音楽を入れる

ほとんどの番組で、BGMがついています。

再放送やネット配信で80年代90年代の番組も見られるようになりましたが、過去の番組は、今ほどBGMが入っていません。

過剰に入っていると感じた制作者もいて、あえて、音楽を入れない番組も登場していますね。

例えば、「夜の巷を徘徊する」(テレビ朝日)や「ノーナレ」(NHK)です。

③効果音、SE、アタック音を入れる

番組のタイトルや、コーナーのタイトルが入るときに、盛り上げるような効果音を入れます。

効果音は、SE(sound effect)ともいいます。

本編中も、ポイントとなるテロップが入るときは、強調するような効果音を入れます。

バラエティ番組では、視聴者のリアクションを代弁するような、笑い声や「へ~~」という納得するような声などを入れます。

④ナレーションを入れる

ナレーターによって、ナレーションを入れます。

ナレーターは、アナブースと呼ばれる徹底防音された個室に入って、ナレーションを読みます。

テストをして、声の調子やイントネーションを確認。

映像にナレーションが当てはまっているかどうか、尺のなかで収まっているかどうかなどを確認します。

言葉が合っているか、情報が合っているか、などの最終確認ができるタイミングです。そして、本番で録音していきます。

⑤ナレーションの微調整

録音してから、ナレーションのタイミングを映像に合せて、微妙に調整していきます。ほんの一拍、1フレ2フレ(フレームは、1/30秒のこと)の微調整をしていきます。

⑥ミックスする

音の素材は、映像に入っているオリジナルの音、音楽、効果音、ナレーションがあります。

バラバラにあるそれらの音を、デジタルのある領域に、一本化していきます。

 

映像と音の編集といっても、細かい工程や作業があります。

1時間番組ですと、V-Vに1日、MAに1日かかります。

ポストプロダクションの機材は、専門の機器で、操作が複雑なのでそれぞれの会社に所属しているオペレーターが操作します。映像の場合はエディター、音の場合はミキサーと言います。

関連記事:テレビ番組制作の「編集」はどれくらい期間をかけている?

 

ポストプロダクションの作業はどこでするのか

 

ポストプロダクションの作業は、それを専門とした会社がありますので、そこで行います。

ポストプロダクションを短縮して、「ポスプロ」と呼ぶときもありますし、「スタジオ」というときもあります。

テレビ局の周辺には、ポスプロがたくさんあります。

局内にももちろん、ポスプロの作業をする場所があります。

関連記事:新人ADが知りたい!テレビ制作の動画編集時に使われる専門用語について解説します。

 

ポストプロダクションで働くための資格や学歴は?

 

ポストプロダクションで働きたい場合は、放送関係の専門学校で学ぶか、最近は経験や知識がなくても、ポスプロに入ってからアシスタント業務をしながら技術を学ぶという人もいます。

どのポストプロダクションも自社のホームページに採用情報を掲載していますので、求める人材についても書かれています。

 

白素材を作る工程までは、撮りたいシーンが撮れずに頭を抱えたり、プロデューサーから小言を言われたり、時には朝まで作業してふらふらになったりしてきましたが、

ポストプロダクションでの作業にはいると、ひとつひとつの工程をクリアしていくごとに、テレビらしくなっていきます。

 

それが、制作マンとしては純粋に楽しい作業でもあります。

ここまで来たら、あともう少しでオンエア!というゴールも見えていますので、テンションも上がってきます。

ディレクターにとって、いちばん楽しめる作業かもしれませんね。

関連記事:バラエティ番組のディレクターってどんな人?何が求められる?

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テレビ制作歴25年。テレビの業界の内側と、テレビ番組の裏側をわかりやすく発信していきます。


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