「サブリミナル効果」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
昔テレビCM業界で使われたものなのですが、今は禁止されている手法です。
今回はこのサブリミナル効果について解説してみたいと思います。
サブリミナル効果は視聴者の無意識に働きかける手法
サブリミナル効果とは、
CM映像の中にほんの一瞬、視聴者が気づかない程度にメッセージを入れ、視聴者の無意識に働きかけるという手法です。
もともと20世紀半ばのアメリカでは広告の黄金時代で、その頃に心理学を広告に取り入れるという考えが広まっていました。
サブリミナル効果の実験結果により、大衆が無意識のうちにマインドコントロールされているのではないかという話題がスキャンダルとなり、このサブリミナル効果を使った広告手法はタブー視され、衰退していったのです。
確かにCMを見ていて無意識のうちに自分の考えが洗脳されているかもしれないと考えたら怖いですよね。
これまでにサブリミナル効果が使われた例
これまでにサブリミナル効果を使ったCMを放送した例としては、
- J-one
- 映画『ピクニック』
- ソニーモバイル
- KFC
などが挙げられます。
J-oneはアルバイト情報誌で、CMの中で、
「買え、買え」「買うんだ、買うんだ」「買って、買って」
という文字を表示させるという手法を使っていました。
これは認識できないほどの長さではなく、文字もきちんと読める長さのものだったのですが、
それでもサブルミなる効果が使われたCMとされています。
文字の必死感というか、命令口調なのが少し怖い印象がありますよね。
また、映画『ピクニック』の上映前に流れたCMで、
- 「コカ・コーラを飲め」
- 「ポップコーンを食べろ」
というCMが放映されたこともありました。
これは短時間にフラッシュ表示をさせたものとのことでした。
ですが、このサブリミナル効果を使用したCM実験は嘘だ、とも言われています。
とはいえ、実際には何が真実なのかわかりません。
映画を見に行ったら無意識のうちにコーラやポップコーンを買うように操作されていた…なんて思うと怖くなってきます。
ソニーモバイルでは新機種のプレゼント企画のための情報が一瞬表示されるCMを流したり、
ケンタッキーフライドチキンでも、無料で商品がもらえる秘密の番号を流したりというのがあったそうです。
実際に放送されたことがあったものではありますが、現在はこれらの手法は禁止されています。
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テレビCMには考査がある
現在、テレビCMを放送する時はテレビ局の方で事前に考査(こうさ)と呼ばれる審査を通さないとCMの放送はできないようになっています。
テレビ局ごとにこの考査のルールは決まっているので、局によって基準が少し異なる場合がありますが、おおむねは同じで、一番大切にされているのは「視聴者に誤解を与えるような表現が使われていないこと」です。
例えばCM内容に対する但し書きを画面の端っこに表示させたりしますが、
それが小さすぎると「この一瞬では読めない但し書き」とされて、もっとフォントサイズを上げるよう修正依頼が来たりします。
他にも修正依頼の実例をまとめた記事がありますので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
このように細かくチェックがなされて、それに従って修正をおこなったCMでないとテレビCMとして放送されません。
科学的根拠を証明することができないような内容もテレビCMでは取り扱えません。
また、テレビCMを出稿する企業がきちんとした企業かどうか、ということも業態考査という考査によって調べられます。
過去に大きな事件を起こしていたり、信頼が担保されない企業に関してはCMを放送することができないのです。
このように、テレビ局がテレビCMを厳しく取り締まるのは、テレビというメディア媒体のブランド力・信用を守るためです。
YouTubeの広告動画を思い浮かべてみてください。テレビCMとはかなり内容が異なると思います。
テレビCMも流してYouTubeでもCMを流している企業さまもあるので、きちんとした企業もあるのですが、
YouTubeのCMはお金を払えば基本的に誰でも簡単に流すことができます。
なので過激な表現が使われたり、誤解を与えるような内容だったりすることが多々あります。
このように、ルールが決まっていないと、その媒体の信用を下げることにもなるのです。
それを守っていくためにも、テレビCMはルールがしっかり決まっているというわけですね。
サブリミナル効果が使われたという時代は確かにあったのですが、
テレビは受け取り手がコンテンツを受動的に受け取る媒体であり、一度に多くの人に情報を届けることができるメディアです。
だからこそ、安心して見てもらえるように、ということをとても大切にしているのです。
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