みなさんご存知かと思いますが、広告ではさまざまな心理学的仕掛けがしてあります。
と言っても、「心理学的仕掛け」と意識して作り込まれているというわけではなく(もちろん一部はそういった意図的なものもあると思いますが)、実際には「どのような内容にしたらたくさんのユーザーの心に残るか、ということが一番に考えられて作られている、というだけです。
私は自分が学生の頃に心理学を学んでいたこともあって、テレビCMを見ていると思わず「うまいな〜〜」と呟いてしまうことがあるんですよね。
これはもう職業病ですね笑
今回はテレビCMの中で使われている心理学、という切り口でCM表現やCM放送戦略のことを考えて見たいと思います。
これからテレビCMを制作しようとされている広告主さまへ、少しでもヒントになったら幸いです。
単純接触効果
ザイオンス効果とも言われることがある単純接触効果は何度も繰り返し接触することで印象がよくなる・興味を持つという心理的現象のことを指しています。
これは人でも同じで、何度も繰り返し会ううちに相手のことがどんどん好きになっていく…というのも単純接触効果ですね。
テレビCMも同じで、何度も繰り返し見てもらうことで、印象に残ったり興味を持ってもらうことができます。
一般的には、3回以上は同じCMを見ないと記憶に残らないと言われていて、
これを目安にCMの放送回数を決めたりします。
テレビCM業界では延べ視聴率をGRPという指標で表します。
例えば視聴率10%の番組があって、そこに1回CMを流したら10GRP。
5回流したら50GRP、10回流したら100GRP、というように、延べ視聴率なのでどんどん視聴率を加算して考えていきます。
多くの企業さまが300GRP〜400GRPを目安にテレビCMを投下するように予算を組みます。
エリアによって視聴率1パーセントあたり、つまり1GRPあたりの価格が異なり、
視聴可能人口が多いところほど、金額も高くなるようにテレビ局は料金設定をしています。
関連記事:CM予算ごとに、できることを紹介します!
クレショフ効果
クレショフ効果は「無意識の関連付け」を意味します。
テレビCMでは匂いや味など、映像では伝えることができないものを紹介したいことがありますよね。
そういった時にこのクレショフ効果がうまく使われていることが多いです。
例えば柔軟剤のCM。
フルーツやお花などが飛び出してきたり、爽やかな青空が映ったりするものが多く、
それらが匂いを表現するのに役立っています。
映像では匂いをそのまま伝えることはできませんが、この手法を用いることで、匂いの印象を伝えることが可能になるわけです。
このクレショフ効果を使用したテレビCM制作をする時は、
ターゲットユーザーを明確に、さらにユーザーにどのようなイメージを持って欲しいのか、ということを具体的にすることが大切です。
非常に曖昧で映像では伝えにくいものを、何か別のものと関連づけて見せることによって印象を強く与えるのがクレショフ効果を使った制作ですので、
何を伝えたいのか、ということがハッキリしていないと、ぼやけたCMになってしまいます。
また、テレビCMでは必ず考査と呼ばれる審査のようなものが入ります。
視聴者に誤解を与えるような表現が使われていないか、ということを審査するのが表現考査と呼ばれるものです。
あまりにもトリッキーな内容にしすぎると、この表現考査の段階で「この表現は使えません、他の表現に変更してください」という改稿依頼がきてしまうので、そこら辺は広告代理店やテレビ局と相談しながら進めていくようにしましょう。
関連記事:CM考査で改稿依頼になった事例を紹介
カリギュラ効果
カリギュラ効果とは1980年にアメリカとイタリアが合作した映画である『カリギュラ』が語源となっている心理学用語です。
この映画はローマ帝国の皇帝であるカリグラをモデルにして作られており、内容があまりにも残忍で過激だったので、アメリカのボストン州では公開禁止になりました。
ですがそれが逆に話題になり、人気が高まったんですね。
こういった経緯から、「禁止されたらやりたくなる」という心理的現象をカリギュラ効果と呼ぶようになりました。
テレビCMでもカリギュラ効果はよく使われており、
有名なのは「モンスターストライク」のテレビCMで使われた「年末年始はモンストやるなよ!」というキャッチコピーでしょう。
これは大成功したキャッチコピーです。
ただし、このような「禁止キャッチコピー」というのはよく見る手法でもあり、
乱用すると「うざい広告」と思われてしまう可能性もあります。
何事もバランスが大切ですね。
関連記事:うざいCMってどんなCM?コマーシャル表現を深掘り
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