弊社ライズプランニングはテレビ局出向型の番組制作会社です。
主に情報、報道番組の制作を行っています。
今回はテレビ業界で最近特に厳しくなっているコンプライアンスについてです。
昔はテレビを見ていて、映ってはいけないものが映っていたり、内容が過激だったり…といったことがよくありました。
夜の深い時間になってくると、家族でテレビを見ていて気まずい気持ちになったりもしたものです笑
しかしあれもダメこれもダメ、という状態になったテレビに対して
「最近のテレビはつまらなくなった」
というような声も多く聞くようになりました。
どうしてここまでコンプライアンスが厳しくなってしまったのでしょうか?
コンプライアンスって何?
テレビ番組は、視聴者である全ての人の人権を侵害しないように、ということを考えて作られています。
例えば、そのために定められているのが放送禁止用語です。
差別的(人種・民族差別や職業差別、性的、身体的差別など)であったり、侮蔑的な言語や卑猥である言葉・表現を放送しないように、放送禁止用語が定められています。
各局それぞれでルールが決められており、それらに配慮してたくさんの人がコンプラアンスチェックを行った上で番組が放送されています。
例えば以下のようなワードが放送禁止用語とされています。
- 魚屋…職業差別になるので、「〇〇屋」という言葉は「〇〇屋さん」「〇〇店」と言い換えられています。
- 看護婦…性差別にあたるので「看護師」と言い換えます。
- 外人…自国の外の人、という意味になってしまうので「外国人」と言い換えられます。
- OL…Office Ladyで女性のみを指すので性差別にあたるとされます。
- 化学調味料…元々は良い意味で使われていたのですが、マイナスなイメージで使われることも多いため、「うま味調味料」という言葉が使われることが多くなっています。
ちょっと挙げただけでも、「そんなことが差別になるの?」と思われる方もいらっしゃるかと思います。
このように、実はさまざまなことに配慮して作られているのがテレビです。
テレビは不特定多数の方が受動的に見られるコンテンツです。
ネットの場合は検索をして目的の動画に辿り着き、視聴をする、という経路が多いですが、
テレビの場合は「点けたら見たくないものまで見えてしまう」という特性があるのもあって、
多くの人が不快な気持ちにならないように、配慮して作られているんですね。

90年代のテレビと放送倫理
テレビが初めて放送されたのは1953年のことです。
当時は白黒テレビで、テレビそのものも高級なものでしたので、一般家庭に普及するまでに時間がかかりました。
カラーテレビの放送が始まったのは1960年のことです。

今はテレビがある生活が当たり前になっていますが、テレビが放送されるようになってから、まだ70年ほどしか経っていません。
その短い歴史の中で、より良いコンテンツを作っていくために、コンプライアンスが厳しくなってきたんですね。
例えば1990年代、クリーンなイメージの歌手やタレントが相次いで覚醒剤取締法違反で逮捕される事件が起こりました。
これまで事務所に守られていたタレントも、大きく報道されることになりました。
今でもそうですが、タレントはCMに出演したりしていると、企業イメージを背負うことになります。
そのタレントが何かしらの不祥事で問題になると、企業イメージもまた損なわれるため、問題になるわけですね。
これはテレビ局がCMスポンサー料金から収入を得ている、というテレビ業界のビジネス構造から来る問題でもあります。

また、番組制作の手法について大きな批判が上がったのが、1993年のNHK「ムスタンやらせ事件」です。
ネパール奥地の少数民族に迫ったドキュメンタリーだったのですが、多くのシーンで「やらせ」があったとして問題になりました。
さらには、1995年に「地下鉄サリン事件」も起こりました。
事件発生前から新興宗教団体「オウム真理教」の代表をワイドショーに出演させるなど、テレビも宗教団体の認知度を高めてしまった背景があります。
事件前、テレビではずいぶん代表が取り上げられていましたよね。
このようなさまざまな事件があったのもあって、
2000年代に入ると、個人情報保護法の施行や放送法改正、BPO設立などが重なり、
テレビ放送における青少年への影響や人権侵害に対する意識が高まっていきました。

信頼してもらえるテレビを作るために
テレビ番組やテレビCMは誰もが放送できるものではありません。
必ず「放送しても大丈夫なものか」という厳しいチェックが何重にも入ります。
安心して見てもらえるように、テレビは努力をしていますし、
そのおかげで、ネットの情報よりもテレビの情報を信じてもらえるところがあるのだと思います。
それらの信頼を損なわないように、テレビはこれからも、厳しいチェックをした上で番組を放送していくでしょう。
ですが、その中でも面白いと思ってもらえる番組を作る、ということが永遠の課題ですね。

