弊社ライズプランニングはテレビ局出向型の番組制作会社です。
主に情報・報道番組の制作に携わっています。
今回はテレビ番組の字幕放送について。
番組にはテロップがついているものが多いですが、字幕はテロップとはまた違います。
テロップについては別の記事で詳しく解説していますので、そちらもぜひご覧ください!
字幕放送とは
字幕放送とは、もともと聴覚障害のある方を対象に、テレビ番組で流れている音声の全てを文字にして画面に表示する放送サービスです。
最近は音を出せないような場所でテレビを視聴するために使われていたりすることもありますよね。
たとえば病院の中に設置してあるテレビなんかは、消音+字幕放送にして置かれていたりすることが多いです。
病院の待ち時間は手持ち無沙汰で、つい字幕放送のテレビをずっと見てしまったりします笑
セリフやトーク部分だけでなく
“パトカーのサイレン音”や“ドアをたたく音”などを字幕(文字)で表示させることで、聴覚情報を全て視覚情報に落とし込んでおり、耳が聞こえない方でも番組を楽しんでいただけるよう工夫されています。
地上デジタル放送対応のテレビであれば、ほとんどの機種で、リモコンに「字幕放送」「字幕」といったボタンがあり、これを押すだけで、字幕放送にすることができます。
仕組みとしては、テレビ番組の音声を字幕データ(文字コード)にして、映像と一緒に同期させて送り、それをテレビ(受信機)側が読み取り、文字(字幕)にして画面の上に出す仕組みになっています。
関連記事:テレビ番組制作の現場で使われるフォント、画面作りの話
テロップとはどう違う?
テロップと字幕は、どちらもテレビ画面上に表示される文字ではありますが、全く異なるものです。
字幕放送はクローズドキャプションと言い、テレビ画面場に字幕文字を出すか出さないかを視聴者が自分で決めることができます。
それに対してテロップ文字や映画の字幕スーパーなどは、オープンキャプションと言い、文字を出すか出さないかを視聴者が決めることはできないですよね。
ここに大きな違いがあります。
字幕放送が見られる番組は、放送開始直後や放送中頃あたりで、画面上に字幕放送という告知スーパーが出ます。
字幕放送で番組を見たことがない人でも、この字幕放送のスーパーは見たことがあるでしょう。
さらに、字幕放送はもともと聴覚障害がある方向けに作られたものですので、会話や音の情報がシンプルに伝わるように、派手な文字装飾はされません。
それに対してテロップの場合は、映像内で強調したいところや演出の手法の一種としても使われます。そのため、文字の装飾がしてあったり、テロップが動いたりすることもありますね。
画面上の文字、という意味では字幕放送もテロップも同じなのですが、
その役割から考えると、違いが分かってきます。
字幕はどうやって作っている?
収録番組(完パケ番組)の場合は、完成した番組の映像を字幕制作装置に取り込んで、字幕制作者が会話部分や効果音などを聴き取りながら、字幕データを作っています。
字幕制作者が完成させたデータはチェッカーと呼ばれる校正者がきちんとチェックし、間違いがないかも確認しています。
誤字・脱字がないか、ということはもちろんチェックしなくてはいけないのですが、
文字を入力するだけでなく、文字の色や字幕の背景色を設定したり、映像と字幕の出るタイミングが合うように調整したり、
画面上のテロップなどと重なって字幕が見づらくならないよう、字幕を出す位置を上下左右調整したり、と色々な設定をしながら制作しています。
つまり、完パケ番組では、完成が遅れれば遅れるほど、字幕制作者にも皺寄せが行くということです。
責任重大ですね…!ドキドキ…
生放送はリアルタイムで字幕を打っている!?
近年では、収録ものの番組だけでなく、ニュースや情報バラエティ番組などの生放送でも字幕放送が見られるようになっています。
ですが、生放送番組は、放送される瞬間まで内容が分からないところがたくさんあります。
スタジオにいる演者がどんな発言をするか、というのはある程度台本があったとしても、全てが台本通りというわけではありません。
では生放送番組の字幕放送はどうしているのか?というと、
実は、人が直接スタジオの音声を耳で聞き、キーボードで打ち込んでいます。
これを生字幕と言います。
こういった生字幕を入力するスタッフは、放送中の音声を聞き取りながら2秒程度で文字化し、テレビ局にデータを送ります。
そこから字幕放送データに自動変換して送り出すため、生字幕の場合は喋った内容がテレビ画面上に4〜5秒程度遅れて表示されています。
たまに字幕が遅れてる!と思うことがあったのですが、そういうことだったんですね!
しかしたった2秒で聞いたものを文字化できるなんてすごいです…
単にタイピングが速ければ良いというわけではなく、
ニュースなどの生字幕スタッフは、政治や経済、社会やスポーツ芸能などに出てくる単語や固有名詞を間違えずにタイピングしなくてはいけません。
そのため、すぐに固有名詞が変換ミスなく入力できるよう、辞書登録機能などを駆使しています。
ニュースの生放送の場合は原稿があらかじめ決まっているものもありますので、原稿をあらかじめ取り込んでおいて字幕データにしておくというやり方もあります。
生字幕とこういった事前字幕制作を組み合わせて作っている番組もあります。
さらに、1人が30文字程度打って、次の人に交代する、というようなやり方で複数人のスタッフで生字幕を担当している現場もあります。