急速なスピードで進化を遂げるAI、
巷ではもっぱらAIで生成されたコンテンツが話題で、最近は映像までAIで作れるようになってきたようです。
AIによるクリエイティブ領域のアップデートスピードが本当に速くて、
置いていかれないようにしないと!と毎日情報を追いかけるのに必死です!笑
今回は、AIを使ったテレビCM制作について考えてみたいと思います。
現在、映像を全てAIに任せる、というのはまだ無理がありそうで、
AIにも得意不得意があるようですね。
もしテレビCM制作の現場でAIを導入するとしたらどんなことができそうか?ということを考えてみたいと思います。
まだまだAI領域は進化途中だと思いますので、
現時点で考えられること、を考えてみています!
見出し
AIにCMの企画を考えてもらう
テレビCMを制作するときは、実際に放送するCMの企画を考えるところから始めていきます。
この企画、最初から闇雲に考えれば良いというわけではありません。
まず最初に、ターゲット層を明確にするところから始めます。
学生をターゲットにする場合と、高齢者をターゲットにする場合では全然内容が変わってきますよね。
そこがブレていると、テレビCMもよくわからないものになってしまいがちです。
そのため、ターゲットを明確にする、ということはCM制作においてはとても重要なことなのです。
- 性別
- 年齢
- 職業
- 趣味
- 休日の過ごし方
など、なるべく細かく設定していきます。
ちなみにマーイケティング用語では、このターゲット層に合致する架空の人物をペルソナと呼んだりします。
これらが出来上がったら、CMの企画を考えていくことになりますが、
ここはもしかしたら、AIにお願いできる部分かもしれません。
試しにChat GPTに「新発売のスポーツドリンクのテレビCM企画を考えてください」と問いかけてみました!
なるほど、オーソドックスな内容な気はしますが、かなり細かく企画を考えてくれています。
さらに、
「対象は学生、部活の時や部活が終わった後に飲むスポーツドリンクとして売り出したいです。それを踏まえてもう一度企画を考えてください。」
と問いかけてみました。
対象が変わり、先ほどと映す映像がかなり変わったのが分かります。
このように、企画を考える際に、ターゲット層などの条件を入れ込んで、壁打ち相手になってもらう、というのは良いかもしれませんね。
ただし奇抜なアイデアを提案してもらう、というのは期待できなさそうです。
Chat GPTが提案してくれるものをヒントに、制作側がアイデアを足していく、という方向性の使い方ならできるでしょう。
何もないところからアイデアを考えるのは大変ですが、こうしたベースのものがあると考えやすいという人も多いのではないでしょうか。
ターゲットを明確にすることができていれば、より細かい企画を提案してもらうことができそうです。
関連記事:CM制作をする時にヒアリングさせていただく5W1H
モーションアクターが必要なくなる!?キャラクターや人外の表現が簡単になるかもしれない
Wonder Dynamicsは実写→3DをAIの力で簡単に生成できてしまうツールです。
動画を見ていただければばかりますが、実写で撮った人物に3Dモデルを簡単に被せることができます。
これまではモーションアクターという、モーションキャプチャーでの動きを記録するために、センサーや目印などをつけて、身体の演技をする俳優がいました。
この動きに合わせて3Dのキャラクターを作り上げていくので、これには莫大な予算がかかっていたのです。
それが、このAIツールを使えば簡単にできてしまうというわけですね。
すでに最初から用意されている3Dモデルもいますが、オリジナルの3Dモデルも投入することが可能なんだそうです。
オリジナルの場合は、元になるモデルを作るところにお金はかかると思いますが、
それを動かす部分はAIがやってくれるので、かなり費用を抑えてこういった表現ができるようになるでしょう。
3Dキャラクターを動かしたり、
モンスターやロボットなど、人ではないものを表現したいときに簡単にその表現ができるようになりそうです。
関連記事:CM制作の見積もり!どういうものにお金がかかるの?
背景やイラストの生成が簡単に
AIの得意とするのが背景やイラストの生成。
画像を説明する単語を入力すると、それに沿った画像を生成してくれるAIツールはたくさん出てきていますが、
ここではBing Image Creatorを紹介してみたいと思います。
Bing Image Creatorは指定した言葉で画像を生成してくれるAI
試しに「fantasy, forest, afternoon(ファンタジー、森、午後)」という単語を入れて画像を生成してみました。
うーん、なかなかイメージ通りに出来上がってしまいました笑
なんとなく1枚背景が欲しいな、という時に、これは使えちゃいそうですね。
特にAIが得意とする領域だと思います。
AIの商用利用について注意したいこと
実際にAIツールをいくつかご紹介しましたが、これらのツールを使って制作をするとなったときの注意点を最後にご紹介しておきたいと思います。
全てをAIで作る、というのはなかなかまだ難しそうですが、部分的にAIを使うことはできそうなので、これからはこういったものもどんどんCM制作の現場で取り入れられていくかもしれませんね。
どんなものでもテレビCMとして放送できるわけではない
CMの企画を考える、という部分でAIが使えるのでは、というお話をしましたが、
実はテレビCMというのは放送ルールに則って放送されているものであり、どんなものでも放送できるというわけではありません。
特に医療や人体の健康に関わる部分に関しては審査が厳しくなります。
使えない表現などもありますので、AIに提案してもらっても実現不可な場合があります。
CMルールをAIに学習させれば良いのかと思いますが、現状では、そのチェックは人の手が必要なことになります。
権利については細心の注意を払う必要がある
Bing Image Creatorの画像出力はDALL·Eで行っているようですが、
こちらは一応現在商用利用可となっています。
ですが、AIイラストの商用利用が可能なのかどうか、というのは現在とても線引きが難しいところでもあります。
ネット上にアップされている画像から情報を集めてイラストを生成しているわけですから、著作権がイラストレーターに帰属するものも含まれていると考えて良いでしょう。
中には、「自分の描いた絵が盗用されている!」と主張しているクリエイターもいるので、AIでの画像生成に関してはまだまだ注意が必要になりそうです。
権利的に問題がないか、ということはCM制作をする上では常に考えなくてはいけないことです。
これからのAIの進化が楽しみです!