今回は歯磨き粉の効果的なCMについて、現状と一般の人の意識の差などをもとに、今後の効果的な戦略を中心として書いてみたいと思います。
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歯磨き粉の種類、効能と一般の人の認識の差について
日本の歯磨きについては基本的に種類は
- 化粧品
- 医薬部外品
- 一般医薬品
に分かれていますが、一般医薬品は基本的に普通のスーパーやドラッグストアでは購入できないためほとんどの人は化粧品の部類、または医薬部外品の歯磨き粉を購入していると思います。
また、この二つについても、医薬部外品という認識よりも、「薬用」と書かれているかどうかで購入する人もかなりいるようです。
薬用とは医薬部外品のことで医薬品とは効能が異なりますが、このあたりの認識も一般的には曖昧で「なんとなくよさそう」という漠然としたイメージで購入している人が多いようです。
ただ、これを一般の人がはっきりと認識できるように導くことのが良いかどうかは賛否も有り、とりあえず薬用という言葉は医薬品であるかのような印象があるので
それがイメージよく使われているというところではないでしょうか。
歯磨きの購入場所はどこが多い
ではまず歯磨きをどこで購入しているかについてですが、
- ドラッグストア
- スーパー
- ホームセンター
- 生協
のような順になっており約50%の人たちがドラッグストアで買うということがわかっています。
また誰が買うかについては
約70%の人が自分で買うと答えており、次に妻が買うのが約17%で
男女とも自分で購入している人が多いことはちょっと意外な結果ではないでしょうか。
これは気軽に買える値段帯であること、場所を取らないことなどが手伝い、ひとつの家庭に複数本あっても不思議ではないという様子が見えてきます。
歯磨きを買う際何を重視して買うのか
歯磨きを買う際は何を重視しているのかについては
- 歯垢を落とせるか
- スッキリ感
- 虫歯の予防
- 口臭を押さえる
- 歯肉炎の予防
- 安さ
- 白くする
などの答えが上がっています。
一方で価格が気になるという人は約55%いるので、やはり価格が重要なところではあるようです。
歯磨きの価格帯はどれくらいが良いのか
ではどれくらいの値段なら良いのかについては全体では
約半数程度の人が1本300円以下と答えており
- 300円~500円…約2割
- 500円以上…約2.5割
のようになっています。
一方で50代以上になると単価が高くなりはじめ、60代以上に絞ってみると、約半数以上の60代以上の人が300円以上の歯磨きを使用していることもわかっています。
年齢が上がるほど高い商品を購入しているということですね。これは主に歯周病、歯肉炎対策で値段を惜しまないというところでしょう。
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若い世代はホワイトニングの意識が高い
一方、300円以上の歯磨き粉を使っているのは高齢者だけではなく、20代の多くも300円以上の商品を使っているという意外な結果がわかっています。
実は若い世代の8割以上の人達が歯の色が気になると答えており、
さらに9割以上の人がホワイトニングに興味があると答えています。
日本では歯を白くする過酸化水素系の配合をする歯磨き粉をスーパー、ドラッグストア等で売られる商品には認められていないのですが、この認識が比較的浸透しておらず、
なんとなくホワイトニングに効きそうな表記、高めの値段の商品が売れているという構図やネットで高めのものを購入するということがあるようです。
海外は事情が異なるので、安易にネットで手に入れているというケースもあるようですね。
これについてクリニックで行うようなホワイトニングと同等のものを市販に求めるのは無理ですが、とはいえそれをはっきりということは必ずしも得策ではなく
実際きちんと磨くことは本人次第でホワイトニング効果につながることでもありますから
CMするにも非常に微妙なのがこのホワイトニング効果に関するところだと思います。
特にCMでは必ず効果がある、などのような決定的な表現はできないので、若干ボヤっとした効能表現になってしまっているのが現状だと思われます。
このためテレビの視聴者の主体が高齢者であることもあり、比較的値段が高くても売れる高齢者用の歯磨きの方に力をいれ、生パブや、生CMなどで丁寧な説明をしているという現状が見えてきます。
そして、一般的な歯磨き粉の方については名前を知ってもらう、ブランド力を高めるということしかなく、それもやりつくした感もあるというのが実際のところではないでしょうか。
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医薬部外品のホワイトニング歯磨き、使い捨て歯磨きを押し出していく
若い人の9割以上がホワイトニングに興味を持っていること、
歯磨き粉にかける金額が比較的高いことを加味すれば、
医薬部外品の範囲でホワイトニング用の成分が入っている歯磨き粉を今後もう少しCM等で押し出していくのは有りではないでしょうか。
この場合注意しなくてはならないのはCMの考査の問題で、治る、効果がある、白くなるというような断言する言葉はほとんど使用できません。
成分について少し詳しく説明することで、買いたいと感じる人は多くいると思います。
歯は白くしたいけどクリニックまで行きたくないという多くの層の興味を引き付けるようなCMです。
歯は大事な体の一部ですから、信頼できる商品を買いたいという気持ちは全体に強いので、その場合CMという手段は信頼を得る重要な手段になると思います。
繰り返しになりますが、表現の考査が厳しくなるので、十分代理店と相談しつつ言葉選びをしていくことが重要です。
また歯磨きの回数についてですが1日2回磨くと答えた人が約半数います。
女性では1日3回以上磨くと答えた人が約3割います(男性も2割以上)
特にここでも20代の意識が高く3回以上磨く人が多くなっています。
また、女性のうち約4割近い人は持ち歩くと答えており、外でも歯磨き粉の需要が高いことがわかります。
一方で、歯ブラシは早めに取り換えなければいけないという面倒さ、歯ブラシセット入れが意外に汚れるという意見も聞かれるので、
使い捨て歯磨きにもう少し力を入れてみるというのも一つの方法ではないかと思われます。
使い捨て歯磨きセットは主にホテルで使われますが、小さいチューブがついている使い捨て歯磨きより、粉がもともとついている歯ブラシだけの商品も良いと思います。
かつてこのような歯磨き粉が最初から付着している歯ブラシは安価なホテルで使われ、かつ健康を害する物質が含まれているということで問題になった経緯がありました。
その後このような粉付き使い捨て歯ブラシはあまり日の目を浴びなくなってしまいましたが、
一日3回磨く人にとって、頻繁に歯ブラシを取り換える手間と、ケースが汚れるという手間を考えると、粉付き使い捨て歯磨きはおそらくめんどくさくないという点ではとても重宝になるでしょう。
またプレゼントに10本20本、100本セットなどもありでしょう。
やりつくした感がある歯磨き業界にそろそろ新たな形の歯磨きが表れてもいいのではないでしょうか。
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