医療形の広告はどうしても規制が厳しく、CMで放送することができるものとできないものが分かれます。
ですがしっかりと広告ルールを理解した上でCM制作を行えば、修正はいろいろ入るかもしれませんが全く広告を行うことができない分野、というわけでもありません。
最近は新型コロナウイルスの影響もあり、医療や健康に関する関心が高まっている時期だと言えます。
先日関東エリアではPCR検査を行っている医療機関のCMが放送されました。
今回は医療検査のCMについて、広告代理店である弊社ライズアドバートが解説していきたいと思います。
医療系のCMが厳しくなる理由
まず医療系のCMがどうして広告規制が厳しくなってしまうのか、ということについてです。
医療に関わる広告については厚生労働省から「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」、通称「医療広告ガイドライン」というものが出されています。
これによると、医療の広告は以下のような考え方に基づいて、広告の規制がなされています。
- 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により見る側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べ著しい。
- 医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される 実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難。
簡単に言えば、「人体の健康に関わることだから、誤解を与える表現があると大変なことになる」「専門的なことだから、一般の人には正しい判断ができない」ということですね。
こういった理由から、どうしても一般的なCMに比べると医療系のCMは難しくなってしまいますが、「全くできない」というわけではありません。
広告代理店やテレビ局と相談をしながら制作を行っていけば、CMを放送することができる内容に仕上げることができます。
関連記事:テレビCMのルール!広告主が知っておきたい基礎知識
医療系のCMにおけるNG表現
簡単にではありますが、医療系のCMにおいて、どのような表現がNGとなるのか、解説していきたいと思います。
- 安さを強調するような表現(例:無料キャンペーン中!今なら○万円オフ!)
- ベター表現(例:他の豊胸手術とは違い…)
- 治療結果の保証(例:絶対に治る!)
- 審美的表現(例:アンチエイジング)
- 比較表現(例:エリア一番の…)
- 安全、無痛(痛みに配慮した、などの表現はOK)
- 優位性(例:最先端治療)
- 永久脱毛
- キャッチフレーズなどを使った無料診断の強調はNG
- 最新、最先端
詳しくは厚生労働省から出ている医療広告ガイドラインを参考にしてみてください。
とは言っても、これらのことを全てチェックしながら映像制作をしていく、というのは難しいと思います。
そこで広告代理店がそれらの内容をサポートします。
テレビ局には考査と呼ばれる審査のようなものがあり、この考査で「視聴者に誤解を与える表現が使われていないか」といったことが判断されます。
ここで「この表現がダメ」というようなことは指示してもらうことができるので、相談しながら映像制作を行っていけば、きちんとテレビCMとして放送することがdけいる内容のCMを制作することができる、というわけです。
絵コンテと呼ばれるCMを制作する前段階でのイメージイラストがあるのですが、この状態でも考査にかけることができます。
撮影をする前に表現のNGが分かれば、それに沿って制作をしていくことができるので余計な手間やお金をかけずに制作を進めていくことができます。
なので、できれば映像制作をする前に広告代理店に依頼をしていただいた方が良いのです。
PCR検査のCMについて
関東エリアで放送されたPCR検査のCMですが、いくつか特徴的なところがありましたのでご紹介したいと思います。
これを機に、こういった検査関連のCMがもう少し増えて行っても良いのでは無いかなと感じています。
来院不要
今回は関東エリア全域でのテレビCM放送でした。
通常医療機関のCMの場合は来院が必要な場合が多いので広告対象エリアは狭めるのが一般的ですが、PCR検査が郵送でできるので、来院不要ということをCMの中で表現した上で、広範囲でのCM放送となっていました。
こういった検査であれば、エリアが広くても放送することができますね。
検査の正確性
CMの中で以下の様な記載がありました。
※本検査の精度は、検査結果の正確性・完全性を100%保証するものではありません。
これはおそらくテレビ局側から、この文言を入れるよう指示があったと思われます。
上記で述べた通り治療結果の保証などはCMでは表現できません。
PCR検査を受ければ陽性か陰性かが正確にわかる、と視聴者に思われてしまってはいけないので、このような記載が入ったのだと思います。
保険適用外の検査
またCM全体を通して以下のような記述も見られました。
※保険適用外の自由診療です。
医療系のCMにおいては、自由診療について、保険適用外であることと標準的な費用がわかるように記載することが必要とされています。
そのため、このような記載がされている、ということですね。
関連記事:CMの表現考査とは?放送する映像を作る時に知っておきたいこと
規制はいろいろと多いものの、全くCMができないというわけではないので、広告代理店、テレビ局と相談しつつ行っていけたら良いのではないでしょうか。