航空会社がテレビCMを放送するときはどのような広告プラン、戦略で行っていけば良いのでしょうか?
90年代半ば〜後半くらいまでは「IATAカルテル」と呼ばれた「高額な料金体系」によって守られてきた航空業界。

航空機を利用する乗客はたとえ「高額」だったとしても、提示された運賃を支払う必要がありました。
そのため、その時代の航空会社はとても有利な状況で経営ができていました。しかし、それも変わります。ローコストキャリア、所謂「LCC」と呼ばれる航空会社が価格破壊を起こしたことにより、航空会社も競争の中で生き抜いていく必要が出てきたのです。
今では、航空各社、航空連合が努力してコスト削減、ラウンジの充実などの差別化をしていますよね?
当然、「新規顧客に乗ってもらう」には、広告戦略も考えると思いますが、テレビCMを放映する時には何をどう考えて放映すれば良いのでしょうか。
今回は広告代理店である弊社ライズアドバートが航空会社のテレビCMについて解説していきたいと思います。
航空会社のCM視聴質ランキング
TVISION INSIGHTSが集計・作成した「航空カテゴリ企業ランキング」によると、航空会社のCM視聴質ランキングとしては
- ANA
- エールフランス
- JAL
という順番になっていました。
この視聴質というのは以下のような定義となっています。
VI値とAI値をかけあわせた「VI値×AI値」の高い順に順位づけしたもの。これは専念視聴度合いを示す指標であり、数値が高いほどそのCMがより注視されていることを示している。
調査期間は2019年4月1日(月)–2019年9月30日(月)に放送された全CM。
航空会社のテレビCMを行う場合は競合となる会社のCMにも注目して、差別化が出来るような打ち出し方をしていくと良いでしょう。
ちなみに最近だと「エミレーツ航空のCM」なんかが話題にあがっていたりしますよね。
高所が苦手な人は閲覧しない方が良い動画ですが、これ、本当に登っているんですよね。
関連記事:頭に残るCMのキャッチコピーとその共通点を広告代理店が解説
航空会社は「安全」と「信頼」が大切
航空会社のテレビCMの難しいところは特定の商品やサービスなどがあってテレビCMをするわけではないというところです。
目に見えないものをアピールしなくてはいけないテレビCMで大切になってくるのは企業のブランド力です。
特に2014年マレーシア航空の事故などの「世の中の雰囲気を変えてしまう事故」が起きた時こそ、安全性、信頼というブランド力が支えになってくるのです。
特に航空会社の場合は、人の命を預かって提供するサービスになるので、「安全」と「信頼」を打ち出していくような内容になっていないといけません。
飛行機というものそのものに対して恐怖心を持っている人も一定数いるので、そういった気持ちを払拭できるような内容になっていると良いと思います。
そのためには、CMをする場合なるべく広告費用をかけるだけかけた方が良い、と言えるでしょう。
安い作りのテレビCMになっていると、どうしても「そこにお金をかけることができなかったんだ」と思われてしまいます。

広告はなるべく大々的に、内容に関しても有名タレントを起用するなどして、豪華さがあった方が良いでしょう。
イメージキャラクターとして有名タレントを起用している航空会社は多いです。
さらになるべく広告が目に触れる頻度が高くなるように、テレビCMだけでなく、様々なメディア媒体で広告を一斉に打ち出すパターンが多い傾向にあります。
CMを放送する時期
CMを放送する時期としてはやはり旅行が多くなる少し前あたりが一番良いと思います。
個人旅行で旅行が多くなる時期は
- ゴールデンウィーク
- 夏のお盆
- シルバーウィーク
- 年末年始
となっていますが、実は団体旅行の場合は
- 6月
- 10月
- 11月
が多くなる傾向があります。
これらの旅行を決める時期にテレビCMを放送すると良いでしょう。
特に海外旅行の場合は「どこの航空会社にすれば良いのか不安」という方も多いよ!
そういう人たち向けに「より信頼してもらえるような広告」を打ち出していくのは効果的。
経済活動が活発になる時期に照準合わせてテレビCMをする企業は多いので、どうしてもこの時期にテレビCMをしようとすると値段が高くなってしまう部分はありますが
航空会社に関しては、広告を打つ時期というのはとても重要なファクターになると思いますので、コストが高くなってもこの時期に集中的にCMをした方が良いでしょう。
放送エリアについて
航空会社のテレビCMとなると基本的には全国放送というやり方になるかと思いますが、
効果的なエリアについては厚めにテレビCMを放送するというやり方でも良いと思います。
海外旅行が好きな人が多い都道府県ランキングは
- 東京都
- 神奈川県
- 千葉県
- 愛知県
- 兵庫県
となっています。
(総務省統計局『社会生活統計指標-都道府県の指標-2017』より 海外旅行の年間行動者率(10歳以上)2011年の統計情報)
やはり人口の多い首都圏がランキング上位を占めるような形となっています。
ちなみに「パスポート保有率」という観点で考えると、東北の「青森、秋田、岩手」の3県は全国トップ3に入る「パスポート保有率の低い県」です。そのため、海外路線を宣伝するのであれば、東北エリアは避けた方が無難ではあります。

これに対して国内旅行が好きな人が多い都道府県ランキングは
- 滋賀県
- 神奈川県
- 愛知県
- 東京都
- 奈良県
となっています。
(総務省統計局『社会生活統計指標-都道府県の指標-2017』より 旅行・行楽の年間行動者率(10歳以上)2011年の統計情報)
意外と海外旅行と国内旅行だとラインナップが変わってくるのが面白いところです。
ただ全体を通していうことができるのは、関東・近畿・中京エリアが旅行者が多いというところでしょう。
テレビ局も関東・近畿・中京エリアは広域圏となっており、コストも高くなりますが人口が多く、効果は得やすいエリアでもあります。
このエリアでのCM放送は割合を高めるなどの工夫をしても良いと思います。
関連記事:CM広告のエリアの決め方について
ターゲット層とCM放送時間帯
一口に航空会社のテレビCMといっても、ターゲット層はケースによって異なることもあるでしょう。
例えば航空会社だと新規就航があるタイミングで、それに合わせたテレビCM行うことが多いですが
就航先によってターゲット層は異なってくると思います。
例えば、「成田⇆宮崎」路線を宣伝したいのに「沖縄」にCMを探しても効果は薄くなってしまいます。
戦略的に考える必要があるゾウ!
近場で行きやすい場所なのか、時間をかけて巡らなくてはいけないような場所なのかというところでもターゲット層が変わってくるでしょう。
ターゲット層によって放送時間帯などを調節していくのも戦略として必要です。
一番視聴率が良いゴールデンタイムは放送するにしても、ターゲットとなる視聴者層に合わせて朝の時間帯や昼間の時間帯を追加するかどうかなどを考えると良いかと思います。
