YouTubeを見ていて、中に挟まったCM動画の音量に「うわ!びっくりした!」となった経験はないでしょうか?
YouTube動画本編も含め、私はこういったことがよくあります。
しかしテレビをつけていて「うわ!びっくりした!」と感じるほど音量が急に上がることはありません。
これはテレビ番組やテレビCMに音量の制限があるからです。
普段何気なく見ているテレビですが、実は多くの視聴者にとって見やすいように、色々な配慮がなされているのです。
このテレビ業界における音量制限は業界では「ラウドネス」と呼ばれています。
今回はこのラウドネスについて、広告代理店のライズアドバートが解説していきたいと思います。
昔は「CMの音量が大きい」という苦情が多かった
実はこの音量に関する規格が定められたのは2012年10月のことでした。
民間放送連盟加盟のテレビ局が、この時、テレビ放送の音量・音質を適正でより視聴者にとって聴きやすいものにするよう、音に関する新しい規準として「ラウドネス」の運用を開始したのです。
それまでは「CMになると突然音量が大きくなって不快だ」というような内容の苦情が非常に大きかったんですね。
現在はこのラウドネス運用が始まり、
「テレビCMになると突然音量が大きくなる」というようなクレームは少なくなっています。
ただ、中にはラウドネスの基準は満たしているものの、静かなシーンから急に音量が大きくなるようなシーンへの移行を演出として取り入れているようなCMもあり、こういったCMに対する苦情というのは今もあります。
関連記事:CM制作の見積もり!どういうものにお金がかかるの?
CM制作側から考えるラウドネス
ではここで、CM制作側からの視点で考えてみましょう。
確かに制作側のスタッフは多くの方に不快な思いをすることなく番組やCMを楽しんでほしいと思っています。
しかしテレビCMをどうして放送するのか、ということを考えると、音量を大きくしたいという気持ちがあるのも理解していただけるかと思います。
CMをするのは企業や商品の認知度を上げるためです。
毎日人は平均すると100本以上のCMに接触していると言われていますから、それほどCMが並んでいる中で、目立つCMに仕上げる必要があります。
CM放映企業だって、そのために制作費を使い、放映料を支払っているわけですから、少しでも効果のあるCMを流したいのです。
そういった理由から、昔は番組本編よりもCMが目立つような作り方の一環として、CMの方が音量が大きいということがありました。
先ほど「静かなシーンからいきなり音量が大きくなるような演出をあえてつけているCMもある」というお話をしましたが、
これもCMを見てもらうための仕掛けの一つです。
関連記事:企業がテレビCMをする理由
ラウドネスの具体的な内容
少し技術的な話になりますが、ここからはラウドネスの具体的な内容について少しご紹介して見たいと思います。
ラウドネスとは人が感じる音量感を数値で表したもので、単位はLKFS(Loudness K-weighting Full Scale)というものになります。
テレビ番組やCMではこのラウドネス値が-24.0LKFSと決められていて、
テレビCMに関しては上限-24.0LKFSと決められています。(テレビ番組場合は一応許容範囲があります)
この基準を満たさない搬入物は全て不備のある素材として改稿依頼がテレビ局側から出てしまいます。
最近は一般的なソフトでも自動でこのラウドネス値を揃えることができるようなものが出てきましたが、
何の調整もせずに音声のMIXを行ってラウドネスをかけると、音圧感などがなくなり、基準には沿っているけれど聞き取りにくいような映像に仕上がってしまいます。
例えばテレビCMの場合は後ろで流しているBGMや効果音とナレーションははっきりと分かれて聞こえないとCMの意味がない、というようなケースもあると思うんですね。
もしくは役者さんのセリフを立たせるような音処理が必要になったりすることもあります。
このような音周りの調整などを行うのがMA作業です。
関連記事:映像制作におけるMAとは?
CM制作はCM制作実績のある制作会社へ
今回は音周りのことについて少し詳しく解説してみましたが、テレビで映像を放送するには他にもさまざまな規格があり、それらをクリアしていかなければいけません。
だれもがスマホを持って映像を撮影し、スマホの中でも映像を編集することができる時代ですが、それでもテレビで放送する映像を制作会社が制作し続ける理由はここにあります。
テレビCMを制作して放送したい、という場合は、ぜひテレビCM制作実績がある制作会社にご依頼ください。
弊社では30年以上ドキュメンタリー番組制作を行ってきた制作チームが、CM制作の担当をさせていただきます。
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