ロケハンは、ロケーションハンティングの略語です。
ロケとは、スタジオ以外で撮影すること。
- バラエティ番組
- 町あるき番組
- グルメ紹介
- ドラマ
- 中継
- 密着ドキュメンタリー
など、ロケ番組は多岐にわたります。
ロケをスムーズに行うためにはロケハンが必要です。
今回は、ロケハンでは誰がどんなことをするのか説明します!
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ロケハンとは?
そもそも、ロケハン=ロケーションハンティングは、映画のロケ地探しのこと。
室内のシーンはスタジオでセットを組みますが、それ以外の主に野外のシーンは最適な場所を探して、その場所の所有者に撮影に使わせてもらえるように交渉することでした。
テレビ制作でもロケハンは大事な工程です。撮影場所が決まらないことには撮影できませんから。
番組の種類別にロケハンに行くメンバーやどんなことをするのか、それぞれ書いてみましょう。
ドラマのロケハン
ドラマのロケハンは、映画と同じで、ロケ地を探して決めることです。
ドラマの構成や設定がほぼ固まったらロケ地を探しはじめます。
脚本の完成を待って探し始めてはクランクインに間に合いません。
ドラマのスタジオセットとロケ
ストーリーが展開するメインの部屋、例えば、主人公が暮らす部屋や仕事場などはスタジオでセットを組みます。
それ以外の場所、主に野外の場所は実在の場所をお借りしてロケをします。
ロケハンはロケ地自体を探して下見をして決める、という大事な工程になります。
ロケ地を探すロケーションサービスの会社やロケコーディネーターというの専門スタッフもいるほどです。
ロケ地はいろいろ
例えば、主人公がマンション住まいという設定のとき、
- 主人公の部屋はスタジオセット
- マンションの外観やその周辺は実在するマンションA
- マンションのロビーは複合ビルのロビー
- マンションの廊下は実在するマンションC
- ベランダは実在するマンションD
など、ひとつの建物で撮影できずに、バラバラの場所で撮影する、ということもあります。
同じマンションで撮れれば移動のロスが少なくていいのですが、居住者のいるマンションをお借りする場合、ロビーやエレベーターを撮影のために制限するのは難しいのです。
共有部分はまだ入居前の新築マンションをお借りしたり、会社が入居している複合ビルで人の出入りが少ない土日をお借りすることがあります。
ドラマの場合は、スタジオセット以外のシーンはすべてロケ地を探して交渉しなくてはならないし、撮影の間はスケジュール調整もするため、専任スタッフが必要です。
ちなみにドラマのロケ地は、エンドロールを見れば把握できます。
「協力」や「ロケ協力」でクレジットされている場合があります。ロケ地巡りが好き人がリポートしているサイトもありますね。
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ドラマのロケハンは誰が参加する?
ロケ地の提案をしたり、交渉するのは専門のスタッフがいなければ、制作進行、アシスタントプロデューサー、プロデューサーがそれを担います。
ロケハンのメンバーは、
- 制作進行
- 演出家
- 助監督
- 制作進行
- カメラマン
外光が入るシーンがあるなら、照明マンも同行します。
ドラマのロケハンで見るところ
ロケハンで候補地をみて、周辺の建物や近くの環境も見に行きます。
いろいろな場所をみることで、あのシーンはここで撮ろう、とか、この場所で二人が並ぶとサマになるね、とアイデアが広がります。
そこに出演者が居て、こういうやり取りをしているシーンが頭に浮かぶ、なんてことも起こります。
助監督やカメラマンは、どこに機材を設置するか、機材と電源をどうつなぐか、照明マンは方角と太陽光を確認、プロデューサーは、出演者をどうやってここまで移動させるか、を考えます。
中継のロケハン
中継は、放送局以外の場所から放送を流すこと。
例えば、野球やマラソン、オリンピックなどのスポーツ中継、花火やお祭りの生中継、朝の情報番組では地方の名産を紹介する生中継などがあります。
生中継のロケハンは、ロケ地は決まっている状態からスタート。
ほかの番組との大きな違いは、中継車をどこに停めるか。
野球やオリンピックなどスポーツ中継は、あらかじめ競技場に中継設備が備わっていたり、中継車を停めるためのスペースがありますが、
現地から生中継する場合は、中継車を停める場所を確保しなくてはなりません。
ディレクターやカメラマンは何をどこから撮るのかを下見し、
取材者がいるのなら、誰にどのタイミングで何をしてもらうのかを打ち合わせます。
それとは別に、中継班は、どこに中継車を停めて、機材とどうつなげるのか、中継できるのかを確認します。
バラエティ番組のロケハン
バラエティ番組の場合は、ロケの構成もできていて、ロケ地もほぼ決まっている状態でロケハンします。
出演者にそこで何をやらせるのかを決めて、どう撮影するのかを実際に見に行きます。
ロケハンに行くのは、ディレクター、AD、カメラマン。
大がかりなロケ、例えば、ドッキリを仕掛ける場合などは、仕掛けを作るセットや大道具の担当者が同行します。
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町歩き番組、グルメ番組のロケハン
タレントさんがぶらぶらと散歩しながら、気になるお店にぶらりと立ち寄る町歩き番組や、町のおいしい料理を紹介するグルメ番組もロケハンをします。
こうした番組も、ロケ地を決めてからロケハンをします。
紹介する店はネットなどの情報を収集して、電話で詳しくお話を聞いて選定します。
ロケハンでは、何をどうやって撮るのか、インタビューの内容などを打ち合わせします。
取材者には、番組の内容や撮影で準備してもらうことなど、ロケについての細かな打ち合わせをします。
ロケハンするのは、ディレクターです。
アシスタントディレクターやプロデューサーが同行することもあります。
店の外での撮影、例えば、出演者やリポーターに店を見つけて入るまでを撮影する場合、
そこが公道なのか私道なのかを確認して管理者や所有者に許可をもらいます。
河川敷や公園であれば、管理は自治体がほとんどです。
自治体に連絡をとって許可申請をします。
町の実景を撮影する場合は、どこから撮影するのかを決めます。
例えば大型商業施設の屋上や高台にある公園、展望台など。管轄者を探して、許可申請をします。
撮影したい場所や撮影のための車輛、スタッフや出演者が行き来する場所は、あらかじめその場所の管理者に許諾をとっておきます。
ロケハンをした後は…
ロケハンをしたあと、ロケスケジュールや香盤表を組みます。
撮影スタッフは、それぞれのロケ内容に適した機材を準備します。
ドラマではロケハンしたことで膨らんだアイデアを脚本家と練ってシナリオに入れ込んでいきます。
ロケは決められた時間の中でそれぞれの専門のスタッフが割り当てられた仕事をこなしていくことが求められます。
そのためにもロケハンは大事な工程なのです。
ロケ時の動線を作っておくのがロケハン。
どんなに念入りに作っておいても、ロケのときは想定外の事が起こりますが、それに対応するためにもロケハンは大事なのです。
番組の仕上がりを決めるのはロケハン、かもしれませんね。
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