テレビ番組を見ていると、エンディングでスタッフロールが流れますよね。
この役職の人はこの人です、というようなクレジットになっていて、テレビ番組制作に興味がある方にとって、このスタッフロールも見ていて面白いものだと思います。
この番組制作の役職の中にTDというものがある場合があるのですが、これはテクニカルディレクターの略です。
ADやディレクター、プロデューサーはよく知られている役職ですが、TDとはどんな仕事なのでしょうか?
今回はこのテクニカルディレクターについて解説してみたいと思います。
テクニカルディレクターとは
テクニカルディレクターはその名の通り、テクニカル、つまり技術のディレクターを指します。
テレビ番組制作の現場では、
- カメラ
- 照明
- 音声
- ビデオエンジニア(VE)(機材の動作確認などを行う)
など、番組の技術さんと呼ばれるスタッフがたくさん入っています。
それら技術スタッフの総責任者となるのがテクニカルディレクターですね。
ちなみにTD(ティー・ディー)と書きますが、パイロット(プログラム)ディレクターのことをPD(ピー・ディー)と呼ぶため、TDは「テー・デー」と呼ばれます。
例えばカメラも、スタジオでの撮影の際は複数台で撮影をしていることが多く、
色々なカメラが順次切り替えられて番組が作られています。
番組をただ楽しんで見ているだけだと気づかないですが、出演者一人一人を追いかけるカメラと、引きで全体の様子を撮影するカメラなど、実は複数のカメラで撮影は行われており、
番組内容として必要だと判断されたカメラの映像が使われているのです。
つまり4台のカメラで1時間収録を行ったら、素材は4時間分撮れている、ということですね。
それらを編集して4台のカメラの映像を常にスイッチングしながら、番組は作られているわけです。
こういったカメラのスイッチ(切り替え)を行うのもテクニカルディレクターの仕事になっていることが多いです。
咄嗟に合わせて適切なスイッチングを行うことで、視聴者にわかりやすい番組作りを目指します。
テクニカルディレクターの仕事
では具体的にテクニカルディレクターの仕事としてどのようなものがあるのかを解説していきたいと思います。
入る現場やテレビ局によっても、業務内容は変わりますので、多少の誤差があるかもしれませんが、基本的には以下のようなことが業務内容となります。
- 収録や撮影前の機材確認
- 演出や番組内容に沿って、映像の組み立て、咄嗟の切り替え(スイッチャー)
- 大規模な番組の場合は技術計画書の作成
- 技術スタッフとの連携がとれるよう、各部署との調整
- システム構築
番組全体の流れや演出意図をしっかりと理解していないと務まらない仕事で、
最低でもカメラマン歴は5年以上ないとできない仕事だと言われています。
システム構築に関しては最近TDが関わることが増えた分野で、
例えば選挙特番や野球中継など、速報が必要なものに関してはTDが開発に関わることがあります。
ディレクターと一緒に企画段階から打ち合わせを行ったりして、技術的なアドバイスをしたりもします。
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テクニカルディレクターの仕事の幅は地方局ではもっと広い
地方局での番組制作では、一人のスタッフが別の役職を兼業する、ということが本当に多いです。
地方番組だと規模が小さくなるため、一人一人のスタッフがマルチに活躍する必要があり、テクニカルディレクターもまた、マルチに作業をすることが求められます。
例えばテクニカルディレクターがビデオエンジニア(各種映像の明るさや色味をチェックしたりして、色々な場所で撮影された素材を一つの映像にまとめあげるために調整を行う仕事)を兼ねたり、
番組の予算を立てたり、スタッフの人選を行ったり、といったことまで行うことがあります。
とにかく色々な立場のスタッフのことを理解していること、それぞれに担当してくれている仕事をどうやって一つの番組に美しく仕上げるか、ということを考えられる能力が必要になります。
地方番組で小規模であれば自分が兼業する大変さはあってもまとめるのは難しくなくなるでしょう。
逆にキー局など番組規模が大きい現場では、テクニカルディレクターの仕事に集中できる反面、多くの人が関わるため、それぞれをまとめるのが難しくなります。
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どんな人がテクニカルディレクターに向いてる?
一朝一夕でテクニカルディレクターとしての能力が身につくわけではありません。
カメラマンとしての歴は5年は最低でも必要だと言われていますし、
それ以外にも、それぞれの技術スタッフの仕事内容や立場を理解した上で、指示を出し、まとめていく必要があります。
できれば色々な立場でお仕事をしたことがある人が望ましいです。
また、コミュニケーション能力も求められますね。
技術の方達と上手に連携をとり、番組の演出意図や仕上げのイメージを共有することができるよう、「伝える力」が必要です。
もちろん、それぞれのスタッフからの声に耳を傾けられるよう、「聞く力」もまた求められるでしょう。
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