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生放送と収録の違いをインタビューしてみた

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今回は、25才の若さで3つの現場を渡り歩いてきた松村勇汰さんにインタビューしました。

どんな番組を経験されてきたのでしょうか?

それでは松村さんのお話をお読みください。

 

 生放送の現場でフル稼働

 

松村さん

 

最初は週一回、キー局で日曜日に放送されていたニュース・報道番組を担当していました。

学生時代から週5で入っていて、社会人になってからもそのまま続けたので、アルバイトの時期も含めてトータル1年半、その番組でADを務めました。

 

ディレクターが7、8人で、ADが1人という現場だったので、毎日フル稼働でしたね。

今思えばよくやっていたなと思います。

 

一回のオンエアで、扱う話題・情報は4本ほどだったんですが、そのうち1本は直前に決まることが多かったです。

映像を使う場合は、扱うニュースの種類に応じて担当の部に許可を取り、映像を借りに行かなければなりません。

 

日本国内の事件なら社会部、世界の話題であれば外報部、政治のことなら政治部などに行って、映像を使わせてもらえませんかと頼むんです。

 

簡単には使わせてもらえないので、どんな内容で、どんな風に映像を加工して使うのかを筋道立てて説明しなければなりませんでした。

 

こちら側がニュースの内容をきちんと理解していないと説明できないですし、

なぜその映像を使いたいのかという説明に説得力がなければ、貸してもらえないこともあるので、難しかったですがやりがいもありました。

説得する技術も身についたかなと思います。

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生放送から収録番組へ

 

その番組は終了してしまったので、その後完パケ(録画)番組のスタッフに加わることになりました。

 

生放送の番組とは、全く違う環境でしたね。

この番組は、テーマに沿って日本各地の名所を紹介するものだったんですが、ロケがメインでした。

 

その場所の歴史的な事柄も網羅するような内容の番組でした。

 

収録番組の段取り

 

最初に、出演者であるタレントさんのスケジュールを確認し、そのうえで訪問する場所の責任者に日時の候補を連絡します。

 

どういうコンセプトでやりたいかということを話して、撮影の許可をもらって、やっとロケが成り立つわけです。

 

まずは電話で、番組の内容説明とロケの許可をいただきたいということを相手先にお話しするのですが、

履歴を残さないといけないので、電話の後は必ずメールで連絡をします。

言った/言わないという無用なトラブルを避けるためでもあります。

 

地方へ行ったらその近隣の県にも足を運び、まとめて撮影をしてくる、そんなスケジュールのときもありました。

4泊5日で広島、名古屋、岡山、山口と西日本をまわり、6か所で撮影したこともありましたね。

新幹線に乗っている最中に「ここも撮っていこう」ということになり、予定していなかった駅で途中で降りて撮影したこともありました。

関連記事:撮影許可ってどうやってとってるの?

 

収録番組の仕事のコツ

 

いわゆる「三脚を広げる」撮影をする場合は許可が必要ですが、

許可が要らないとされている場所であっても、きちんと「撮らせていただきたいのですが」と事前に伝えます。

 

義理を通しておかないと、テレビ局との関係や番組の印象が悪くなったりすることもありますから、そういったことがないように気を遣っていました。

 

許可を得る相手は、法人だったり公的な機関だったりいろいろでした。

 

どこに許可を得たらいいか、を調べることから自分の仕事が始まるという感じでした。

 

ひとつの名所内でも、所有、あるいは管理しているところが別々だったりすることもあるんですよね。

建物と土地で違う、ということもありました。

 

たとえばお城だったら、城そのものは県の所有で、お城公園は市の所有、というケースもあります。

その場合どちらに許可をもらうべきか、番組のエンドロールにどちらの名前を出すのか、両方出したほうがいいか、など、考えなければならないことがたくさんありました。  

 

その土地の、博物館や歴史資料館などにいる学芸員さんとか、

「尊敬される先生」的な存在の人と事前に話をしておき、その方の名前を出すとそのあとの段取りがスムーズにいく可能性が高いということも覚えました。

「ああ、〇〇先生とお話しされているんですね」という風に思ってもらえて、その後の交渉がしやすくなるんです。

 

とにかく、いろんなことに目配りをしなければならない仕事でした。予算の範囲でどうやってやりくりするかということも、当時はよく考えていました。

関連記事:テレビのロケの現場はどんな感じ?何人で行くの?

 

予算内でおさめるために

 

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たとえば、名所にまつわる歴史上の人物の肖像画や屏風絵を画面に出したいとき。実はそれらは、1枚につきいくら、と値段が決まっているんです。

 

使う場合は、管理している団体などに使用料を払わなければなりません。

番組の中で「毛利元就がこの城を……」というナレーションに合わせて毛利元就の肖像画を使いたい、となったとき、

その絵を画面に出すだけで、1枚につき数万円というお金がかかったりするわけです。

 

再放送の時にはその都度使用料を払います。

 

取材の前には、その土地のことを本を読んだりして勉強しますが、勉強しながら頭の中で構想を練り、誰の肖像画を何枚、どこで使うか考えます。

そして企画会議では見積もりも含めて提案します。

 

肖像画の中には無料のものもあるんですが、その場合は絵を出したときに、下に小さく「〇〇所蔵」とクレジットを出さなければならないなど、決まりがあったりします。

 

クレジットを出すのはエンドロールではダメだとか、細かい配慮が求められるんですよね。

もちろん肖像画は一枚だけではありませんから、ほかにもないかなと探すわけですが、明らかに安っぽいものは使いたくなかったので(笑)苦労しました。

 

肖像画については、こんなこともあります。

 

独眼竜政宗の名で有名な伊達政宗の肖像画は、両目が開いたものと片目のものと、両方あります。

ただ、本人は遺言で「両方の目が開いている絵を残してくれ」と言ったらしいんです。

でもテロップやナレーションで「独眼竜」と言っているのに絵は両目、というのは違和感がある。

 

独眼竜という言葉が有名なので、ちょっと高くても片目のものを使おう、となったりします。

 

そんな理由で、派手、というか華やかな絵面にしたくても、湯水のごとくどんどん使うというわけにはいかないんですね。

企画を出すときにだいたいの使用料を確認しておかないと、予算オーバーになってしまいかねません。

 

また、〇〇の映像を撮り忘れた、とか、編集してみて〇〇の映像が必要なことが分かった、というときは大変でしたね。

いろいろなところに交渉してお借りしたりするのですが、「映像が足りない」時の対処が一番キツかったです。

一方で、博物館の学芸員さんや図書館の司書の方にお話を伺い、自分の中に知識が貯まっていったというのは、この番組をやってよかったことのひとつです。

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収録番組からふたたび生放送の現場へ

 

今はキー局の気象センターで働いています。天気予報の情報映像などを作る現場です。

 

テレビの仕事の最初が、生放送のニュース・情報番組。

その次に名所を巡る完パケ番組を担当して、今は専門的な色合いが濃い職場。いろいろやって来たなあと思います。

 

2017年で25才になるのですが、

テレビの仕事をしてきて思うのは、縦断横断的にいろんな番組を経験できるというのは、自分のような派遣の立場の人間の強みだということです。

 

普通の会社に入っていたら、その会社で配属された部署の仕事しかできませんが、自分が別の何かをやってみたいと言えば、全然違う場所や現場へ行ける。

そこでスキルを身に着け、磨くことができるわけですから。

 

気象センターはまだ入って間もないのですが、「気象情報も「ニュース」なんだ」と思いましたね。最初に生放送をやっていた頃のドキドキ感を日々思い出しています。

スタジオ前の広場での中継のサポート、時間に合わせて映像を出す仕事などもしています。

 

しばらくはこの現場で学び、新たな視点を自分の中に取り入れていきたいですね。

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インタビューを終えて

 

番組制作の知られざる苦労や工夫を教えてくださった松村さん。

肖像画を1枚使うだけでもお金がかかるなんて全然知りませんでした。

生放送の番組と完パケ番組、両方での経験を活かして、これからもぜひいい番組を作ってくださいね!(ライター・K)

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kitamura
主にインタビューを担当。テレビ番組制作の現場で頑張っている人たちの生の声をお届けします。


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