今回はテレビ業界の新人研修制度についてです。
研修はあるのかないのか。
どんな研修なのか、研修はどんな効果があるのかについて書いてみます。
テレビ業界の新人研修ってあるの?
テレビ業界で働きたいという人の中には新人研修がどうなっているのかが気になる人も多いのではないでしょうか。
特に新卒でテレビ業界を目指す学生さん達の中には企業を選ぶポイントの一つとして
どんな研修をしてくれるのかを気にする人が多いです。
どういう人が研修について気にする傾向があるかというと
- 普通の4年制大学に行っている人
- 男女別に言うと女性
が多いです。
専門学校には番組制作学科のようなテレビ業界用の専門学校がありますが
4年制大学の場合はそのような学部は極端に少ないです。
そのため4年生大学に通うの学生さん達は自分でも大丈夫だろうか、研修はあるんだろうかと気になるようです。
また男女別で言うと研修をしてくれるのかどうかを気にするのは圧倒的に女性が多いです。
これは基本的に面倒なことが嫌いで、問題が起きてから考えようという男性らしい特徴と
あらかじめ不安要素を取り除きたいという女性的な特徴の現れではないかと思います。
女性は自分がきちんとフォローしてもらえるか、前もって教えてくれるかなど、いろいろ心配になる傾向があるようですね。
結論を言うと、どんな大学を卒業したか、どんな学部を卒業したかはテレビの仕事にはあまり関係ありません。
基本的には番組に入ってから覚えれば大丈夫だからです。
別の記事テレビの仕事、新人研修は一般的な会社とどう違うでも書いたのですが、テレビは研修が難しい業界なので実際は入ってみて覚えることがほとんどなんですね。
専門学校で習う編集技術はいずれ覚えることができますし、ADのうちはそれ以前にやらなければいけないことがたくさんありますから。
とはいえ、まったく研修ができないかというと決してそういうわけではありません。
女性が研修を気にするように確かに事前に少しでもやっておくと良いこともあると思っています。
そこで弊社ライズプランニングでは新人研修に力を入れています。
それは技術的なことというよりも、不要な不安を取り除いてもらい、そして正しい心構えを持つための研修といった方がよいかもしれません。
関連記事:新人ADがきついと言われるのはなぜ?普通の仕事と違うポイント
独自の新人研修をはじめたライズプランニング
数年前から弊社ライズプランニングで行っている新人研修は、毎年内容を少しずつ変えていますが
大まかに言うと
- リサーチの勉強
- 企画の勉強
- 許諾の勉強
などを盛り込んでいます。
リサーチの新人研修
リサーチというのはアシスタントディレクターになると必ず回ってくる仕事の一つです。
そのため事前に少しでもやっておくのはある程度の効果があると思っています。
ただし何をリサーチするのかは番組によって全く異なります。
スイーツをリサーチするのか、宿をリサーチするのか、人を探すのかなど様々ですし、
どんなシチュエーションで必要なのかは番組によってテーマがありますから多岐に渡るわけですね。
リサーチの新人研修で感じてもらいたいことは「探すということが意外に難しい」ということ、
浅くリサーチするか、より深くリサーチするかなど同じリサーチでもかなりレベル差が出て来ます。
そして、電話やメールできちんと先方と話ができるかということもとても大事です。
取材先のお店や人物にきちんと礼儀正しく会話ができるか、ということは収録やロケがスムーズにいくためにとても重要なことです。
たとえ1回だけの放送でもそこに信頼関係が生まれなければなかなかうまくはいかないものだからです。
最近はリサーチのやり方も変化してきていますが、最終的に直接話をするのは必須なので、丁寧なやり取りを心がける準備はしてもらいたいですね。
関連記事:番組リサーチの仕事ってどんなことしてる?どんな働き方?
企画の勉強
企画というのはテレビ業界に入ってすぐの新人さんにはなかなか回ってこない仕事です。
それでも番組によっては新人の頃から短いコーナーの企画を出せる番組もあります。
企画を立てるというのはとてもテレビ業界らしい感じがするのではないでしょうか。
これについては例えば
ある情報番組の15分のコーナーで
あなたの街を紹介するとしたらどんな企画を?
というように問いを投げかける研修です。
前述したリサーチを役立てつつ自分なりに企画を立ててみるわけです。
こうしなきゃいけないという正解はありませんが、
どうやったら企画が通りやすいのかというのは
だいたいわかります。
それを実際のディレクターと一緒に考えていくのが企画の新人研修です。
実はこれはとても難しそうですが、新人研修としては先輩ディレクターと実際にやり取りをして接触する機会を作るということに重きを置いています。
新人の時はディレクターというのはかなり雲の上の存在で興味があると思いますしある程度怖い存在だと考える人もいるようです。
自分の会社のディレクターと接点ができることで
まずはディレクターの考えを感じ取ってもらいたいと思っています。
弊社の場合は先輩ディレクターに新人研修のお手伝いをしてもらっていますが、
その際、なるべく同じ職場になるようにという配慮もしています。
実際に同じ番組になるというのはなかなか難しいことですが、
同じテレビ局に知っているディレクターがいるというのは少なからず心強いものではないでしょうか。
企画の新人研修では、それほど高度なものは求めていないのですが、それでもきらりと光る企画を持ってくる人がいるのは楽しみなところでもありますね。
許諾の勉強
実はこれが最も新人研修では重要かもしれません。
たとえばですが
- 自分の局でかつて放送されたドラマのワンシーンを使うのに許可がいるか
- 区の(市の)公園で撮影するときに許可はいるか
- 新聞の記事を使っていいか
など。
許諾の種類は数限りなくあります。
許諾申請という作業はテレビの仕事をする場合、避けては通れないことでかなり面倒な作業でもあります。
そんなことまで許可がいるの?と感じることがきっとたくさん出て来ます。
この許諾の新人研修をやる意味は、一つ一つに必要かどうかをケース別に覚えるのが必要なのではなく、
許諾というものがとても重要であること、常に頭に置かないといけないということを認識してもらうためのものといって良いと思います。
実際にはプロデューサーやディレクター、デスク、またはベテランのADさんに聞くなどすることが重要です。
テレビは公共の電波ですから、資料の出所が常にはっきりとしていなければならないんですね。
そこが現在のネットと大きな違いでもあります。
テレビ業界でやっていくというのはとても責任があるという認識を持ってもらいたいというのが一番の目的かもしれません。
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