パワハラとかセクハラ、いじめなどがとても厳しく言われる時代になりましたが、
テレビの現場にいじめってあるの?ということについて書いてみたいと思います。
テレビの現場で働きたいと思っている人にとってはいじめがあるのかどうか気になりますよね。
かつては怒号が飛び交ったテレビの現場
今から数十年前のテレビの現場と今とでは全く現場の環境は異なります。
そもそもテレビっていうもの自体がずっと昔からあったわけではなく1950年ごろから一般に普及し始めたので、それほど歴史があるわけではないです。
テレビが出来てからあっという間に各家庭に広まったので、テレビの制作本数はどんどん増えていきました。
現場の環境を良くしようとか、後輩に教えようとか、仕事をうまく割り振ろうとか、効率的にやろうなど
丁寧に腰を据えて取り組む暇もなく突き進んできた感があります。
その結果テレビの全盛期ともいえる1980年代90年代の現場といえば
「バカ、アホ、死ね!、殺すぞ」は当たり前、
蹴りが入るし、灰皿が飛んでくるしと、
そんな現場が実際にあったんですよね。
ところで今って灰皿自体がほとんどありませんが、当時はほぼ全員の机の上には灰皿があるし、
お客さんが来ると灰皿と煙草をすすめるのが当たり前の時代だったので、
手近にある灰皿がよく飛んでいたんだと思います。
今40代以上のディレクターは少なからず経験しているかもしれません。
特にテレビの現場は今より生放送が多かったので、録画物と違って思わぬ事態が起きやすく、
すぐに何とかしなければいけないので、のんびり手取り足取り教える時間の余裕もなく
結果として怒号が飛び交うことも仕方なく起きてしまったのだと思います。
今なら完全にいじめの部類ですよね。
そんなイメージが古い世代には残っているため、テレビはいじめがあると思ってしまう人もいるかもしれません。
1980年代頃の現場には、ボサボサのロン毛頭で汚い格好のディレクターやADもいて、テレビのスタッフというのはそういうものだというおかしな美意識さえあった気がします。
でも今はそんな時代ではなくなりました。
ましてやテレビ局は大企業になりましたから、昔のような働き方をしていたら、「働き方改革」という政府推奨の言葉すら電波で言えなくなってしまいます。
「残業を減らせ」って放送してるけど、テレビ局自体はどうなの?となってしまいますよね。
テレビ局も最近はかなり働き方改革が進んでいるんです。
関連記事:テレビマンには本当に怖い人が多いのか
テレビの現場にいじめが全くないかというとそうでもない
とはいえ、テレビの現場にはいじめが全くないのかというと、実際のところはそういうわけにはいきません。
実際未経験でテレビの現場に飛び込んだものの、先輩のいじめがあったと語っていたADさんもいました。
ディレクターまでいくと上の立場になりますから、いじめ云々などという言葉は一切でなくなります。
いじめを受けたりしてしまうのはどうしてもADさんのうちでしょう。
相手は、先輩のADだったり、チーフADだったり。
ディレクターになると管理能力も必要ですし、そもそも責任がありますから、いじめてる暇などありません。
さて、現在のテレビの制作現場ではいじめはあまり聞かなくなりました。
とはいえ、相性というのはどうしてもあります。
なんか気に入らないとか、コミュニケーションがとりずらいとかそういうのはありますよね。
番組って現場の雰囲気が良いとそれが画面から伝わるといわれます。
ギスギスした現場からは良い番組って生まれにくいもので、考えてみれば当たり前な気もします。
だからいじめがあるような現場はそんなに楽しい番組は作れていないような気がします。
いじめに遭いやすい人の特徴
どうもいろいろ見ているといじめにあいやすい人のパターンもあるようで
それは
- 気を遣うことができない。
- 自分から動かない。
- 言われてもすぐにやらない。
- 挨拶をちゃんとしない。
- 言われたことができない、洩れる。
- コミュニケーションがとりずらい
など。
ADは仕事の種類が多いので、そつがなく気配りができる人というのはADには向いており、周りからも重宝がられることが多いです。
でも、人の性格は千差万別なので、皆がそれをできるわけではないですよね。
ではどんな人もなるべくいじめにあわないためにはどうすればいいのでしょうか?
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テレビの現場でなるべくいじめられないようにするコツ
まわりが忙しく働いているのに、一人でぼーっとしてしまったりやらなくてもいいようなことをだらだらとやっていると周りにきつい一言を言われてしまう場合があります。
本人にしてみれば「別に仕事を言われてないから」、「何をしていいかわからないから」というわけなのですが、
まわりの評判が悪くなってしまうわけです。
そんな時は「何かやることありますか?」って一言、言えればたぶんオッケーなんですけどね。
気を遣えって言われてもそんな面倒なことほんとはやりたくないですよね。
だけどなぜかテレビマンたちは気が利く人が多いので、相手にもそれを求めちゃうんですよね。
無理して気を遣って疲れる必要はないけど「何かやることありますか?」という、この短い単語は便利なものです。
また、言われてもすぐにやるかどうかについては、これも人それぞれで、自分のペースを持っている人は、順番に仕事をやっていく傾向があります。
ところがテレビの現場の人たちはフットワークが良い人が多いので、言われたらすぐに、飛ぶようにやるというのが鉄則に思われている節があります。
今自分が何かをやっていた時に、並行して別のことをすぐにやろうとすると、マルチタスクになり、実は能率が落ちることがわかっています。
だから順番にこなしていくのは本来は悪いことではないと思います。
ただ見ている方は「言ったのにあいつはすぐやらない」となってしまいますから、またイメージが悪くなりいじめの種になってしまいます。
こんな時は、「今すぐに急いでやったほうがいいですか」「今○○をやっているんで、これを終えたらやります」といった感じで言えればオッケーかと。
さすがに頼んだほうも今は「俺が言ったんだから言われたらすぐにやれ!」のような言い方はパワハラになるので言えないと思いますが、なるべく早くやってあげましょう。
言われたことができない、洩れるというのはよくあることです。
実は人間というのは耳から聞いて覚えられる単語というのは少ないのです。
伝言ゲームというのをやったことがある人なら、いかに文章がメチャクチャになって伝わるのかがわかると思います。
その時は理解できたつもりでも覚えていられないものなのです。
時々ただ「やみくもにメモを取れ!」と怒る人がいますが、実際これは根拠があることなわけです。
人間はそんなに記憶できませんから。
なので、よほどの天才でもない限り、メモはどんな人も必要だと思いますね。
不思議なことにメモを取ると、聞かなきゃいけないことや、言われたことの中の不明点が明らかになるものなので、ぜひ試してみてください。
よく一度言ったことを二度聞くな、と怒るスタッフがいますが、
これは一度で覚えられるわけがないから、要はメモをとればいいということだと思います。
また、挨拶はテレビの現場ではとても重要視されます。
夜でも「おはようございます!」というし、どうしてそんなに重要視するんだろうと昔は思っちゃいましたが、
人は会ったら5秒程度で印象を決めるといいます。しかもその印象はかなり強く残ると。
挨拶をしろとうるさく言われるのは実はそのためなんですよね。
5秒以内に何も言わなかったら、悪いイメージを持たれてしまう可能性が大なわけです。
もしこっちが挨拶をしたのに相手が挨拶をしなかったら相手に嫌な印象を持つのもそのため。
そんな風に挨拶の意味を覚えておくと挨拶をするのが気が楽になるのではないでしょうか。
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もしいじめにあったら
とはいえ、もしもいじめにあってしまったらどうすればいいでしょうか。
テレビ局で働いているとしたら、スタッフの相談窓口があると思います。
これはテレビ局員だけでなく別の会社から派遣で来ている人でも誰でも駆け込める部署です。
意外に知られていませんが、そういうところがあるということを知っておけばいざという時に心強いのではないでしょうか。
この部署は他の人がいじめにあっているのを見たら、他の人でも言うことができます。
本当に困ったら活用するといいと思います。
もし番組に携わる時は、どんな雰囲気の番組なのかを周りの人に聞いてみることをおすすめします。
できれば未経験の場合は、決まった先輩がついてくれるような現場だと安心ですね。
またどうしてもうまくいかない場合は、曜日担当を変更してもらったり(帯番組の場合)、別の番組にしてもらったり、というようなことも言ってみるといいと思います。
テレビの現場は一人では何も作ることができないので、どうしても人と一緒にやっていかなければいけません。
いじめのない現場でより多くの楽しい番組ができていくといいですね。
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