今回は時計、中でも主に腕時計について最近の動向と今後の効果的なCM戦略について書いてみたいと思います。
最近の時計を購入する人の動向
中学の入学を機に、あるいは塾に通うようになったからなどの理由で腕時計を買った、あるいはプレゼントされたという人は昔も今もある程度いるのではないでしょうか。
団塊の世代など高齢者においては9割近い人が所有し、利用率は相変わらず高い状態である一方で
スマートフォンの普及により腕時計の必要性をあまり感じなくなっている人も多いと思います。世代により時計の認識と動向はかなり違っているともいえます。
実際腕時計は男性の約2割程度、女性の約3割程度がつけていないといわれます。
一方で保有しているかどうかについては約半数の人が2本~4本持っていると答えており、持っていない人は約1割程度といいます。
時計の寿命というのは短いものでも約10年程度はあり、20年から30年、長いものでは50年持つと言われるため、最近の動向と合わせて考えると需要としては飽和状態ともいえるかもしれません。
また、腕時計は時間を見るための道具と考えれば、見慣れた文字盤の方がよく、寿命も長いとなればわざわざ買い替える必要性はなく
ましてお祝いや記念の品としてもらった時計であればなおさらだと思います。
腕時計を持たない人の理由としては「スマートフォンがあるから」という理由が最も多いのですが、中には「外出しないから」「時間を気にする必要がないから」という理由も見受けられます。
高齢者に限らず、リモートワークが増え、自宅に居ながらにしてなんでも購入できる現代ではそもそも外に出る頻度が減りつつありそのために腕時計の需要が少なくなっているともいえるでしょう。
腕時計をしない主な理由をまとめると
- スマートフォンがあるから
- 日焼けが残る
- かゆい、蒸れる
- かわいいデザインが少ない(女性)
- 時間を気にする必要が無い。外出しない。
などになっており、腕時計業界にとっては岐路を迎えているといって良いのかもしれません。
とはいえ、これまでは長く使うイメージも強かった腕時計の買い替えサイクルが早くなっているということもあります。
アップルウォッチなどのスマートウォッチの普及が増えつつあることと、これらの機能が日進月歩で変化・向上していくことでこれまでとは時計の意識や買い替えのサイクルが変わってきているのではないでしょうか。
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購入する場所とその際に重視すること
では時計を買う場所についてですが、現在のところ店舗で見て買う人がやはり多く、ネットで購入する人は約1/4程度の割合のようです。
ただし今後スマートウォッチがさらに普及するとネット購入の比率は伸びてくるでしょう。
また購入する際にはどんなことを重視するのかについてですが、
- デザイン
- 価格
- 性能
- ブランド
のようになっており40代以上についてはブランド重視で高額志向で従来の時計が依然として好まれる傾向がりますが、若い世代になるほど装飾品として考える人や機能を重視してスマートウォッチ系の商品を購入する傾向があり、腕時計の使い方は世代により何を重視するのかが非常に変わりつつある過渡期と言ってもいいのではないでしょうか。
30代以下の世代については腕時計を必需品と考える人はすでに3割以下になっているとも言います。
世代としては50代以上については腕時計を必需品と考える世代なので最も日常的に使っているのですが、一方で買い替えを考えず長く使う世代でもあるため、これからの腕時計購入者のターゲットとしては厳しいかもしれません。
とはいえ、50代以上についても健康状態を把握するための補助グッズとしては今後さらに機能が増えていき、且つ使いやすくなると思われるため、本人の意志とは別に家族や病院の指導により需要が伸びる可能性はあると思っています。
今後の腕時計の伸びしろは時間を見ること以外の健康管理機能やGPSによる場所情報などがいかについているかが重要ではないでしょうか。
男女の需要の違いについて
時計、特に腕時計については女性と男性の違いがかなりはっきり出ています。
ブランドについては一般女性はほとんど知識が無く、男性の方が時計のブランドに詳しい傾向があります。
一方で一般女性は形がおしゃれだったりデザインには敏感で単純に見た目の好みで判断すると言えるようです。
男性、特に30代後半から40代以上の男性はステータスの象徴として時計を持つ人が増えるためブランド知識が豊富な人が多くなっています。
高価な腕時計をつけている人に対してどう思うかについても男女の違いがあり、男性は「うらやましい」、女性は「気にしない」「仕事ができそう」のようになっており興味の違いがうかがえます。
高額な時計を持つことで男性にとっては自尊心が高まり、同性の目にも留まる一方で女性の目にはさほど留まらないというおもしろい現象が起こっているわけで
時計は男性の自尊心と実用性それに遊び心を兼ね備えた商品といえるのかもしれません。
女性はどちらかというとブランドよりも見た目を重視するため、例えば四角い時計などもより女性に好まれるようで、これは男性にはあまり見られない傾向です。
また色味も男性には全体にシルバー系が好まれるのに対し、女性は色使いが複雑だったり意外性のある色使いやキラキラした装飾があるものに興味を寄せる一方で、実用品として時計を選ぶ場合はブランドよりもシンプルであること、また日本製のものを好むという傾向もあります。
男女の違いを価格で見ると30代の男性の約1/4は比較的高額な10万~50万の商品を購入しており、男性の方が価格帯の高いものを購入する傾向があり、女性は1万~3万以内のものを好むと言われます。
また、ブランドで見ると約6割程度、海外ブランドを好むという人は約3割程度で多くは日本の主たるメーカーを購入しており、日本のブランドの人気が依然高いことがわかります。
男女とも最も多い価格帯は男女とも1万~3万程度のようです。
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これからの時計とCM戦略について
時計、中でも腕時計は時間を見る道具からお財布携帯、あるいは装飾品、または健康管理グッズとしてとても変わりつつある時期にあると思います。
これまではおしゃれで高級感のあるCMがほとんどでしたが、
これからの時計の広告については方向転換したCM、世代、男女別にターゲットを明確に分けたCM戦略が必要になってくるでしょう。
例えば、
- 30代後半から40代男性向けはパフォーマンス重視の高級時計
- 女性向けはデザイン重視、装飾品としての時計、買い替えサイクルが早い時計
- 高齢者向け、健康志向者向けは健康管理用の時計
のようにターゲット毎に広告戦略も変えてみてはどうかと考えます。
特に女性向けについては例えばLINEスタンプのキャラを使う、
メーカーとのコラボ商品時計を作る、犬猫などの動物の他、花や草木をモチーフにした時計などこれまでにない斬新で話題性のある時計を作ってみるのはどうでしょう。
時計の本体以外の部分(ベルトや本体まわり等)を自分で交換できる時計にして気分によって変えられる時計。
また、30代、40代男性向けは高級ブランドを明確に押し出すCM戦略を用い、
高齢者及び全世代健康志向者向けには、健康管理のために心拍数や救急の場合の通報などにも時計を利用することをCM等で明確に伝えてみてはどうかと思います。
たくさんは必要ないが変えたい人のためにサブスクリプションタイプの売り方もおもしろいと思います。
これまで有名タレントを起用したり洗練されたCMイメージが多かった時計の世界を全く変化させる思い切った商品を作り、CM等で変化を強く打ち出してみてはどうでしょう。
これからは個の個性がより重視される時代になりますから、斬新で個性的な時計が求められるので時代にマッチした製品づくりは欠かせないと思うからです。。
さらに腕に付けるだけではなくメガネに映し出される時計などもこれからますます注目されると思います。
複数の時計を使い分ける前提で、おしゃれな収納ケース(複数収納)も併せてCM等で示していくのもよいでしょう。
CMの時間帯としては比較的若い世代、働く世代を中心に朝、昼、夜と土日中心にして、
SNS、YouTube広告のほか、インフルエンサーによる広告なども特に向いていると思います。
今後の時計業界の大きな変化を期待したいですね。
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