ある情報コーナーで、今も人気のプリントシールの開発秘話を取り上げたことがあります。
1980年代に登場したプリントシール機ですが、その開発当時のことを再現シーンとして挿入することにしました。
困ったことに、その再現シーンでは、テレビがキーアイテム。今のテレビではありません。当時のテレビはブラウン管テレビ。

そのブラウン管テレビをどうやって入手するか?
情報番組にはこのように、再現シーンが挿入されることがあります。
アシスタントディレクターは、そのシーンに必要な役者さんを探したり、場所を手配したり、小道具を揃えます。
再現シーンの小道具を探す!
上の例は、1980年代ですから、当時のモノはどんな形をしていたかを検証して、その当時のモノを探さないと、再現シーンになりません。
テレビが今のような薄型テレビだと、嘘っぽくなりますよね。視聴者からは、当時のテレビはこんなんじゃなかった!とご意見もきます。
この時代はブラウン管テレビだったことを把握し、ブラウン管テレビを探さねばなりませんでした。そのブラウン管テレビを探すのもADさんの仕事です。
できれば、お金はかけたくありません。どうやって入手したか、それは、ネットの掲示板サービスを利用して、ブラウン管テレビを譲ってくれる人を探しました。
運よく、会社界隈で譲ってくれる人が見つかり、タダで入手できました。
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撮影が終わったら…
さて、撮影したあとが問題です。
このブラウン管テレビ、会社においておくのは邪魔です。
もちろん、テレビとしての使用もできませんし。
プロデューサーから、このテレビ、なんとかしろよ!と怒られます。
で、再び、そのネットの掲示板に、今度は「譲ります」で掲載しました。
すぐに引き取り手が見つかり、ピックアップに来られました。
引き取り手は20代の青年で、たぶん同業です。
あのブラウン管テレビは、この界隈の制作会社を転々としているのかもしれません。
という風に、ADの仕事というのは、いついつまでにという決められた期間の中で、撮影できる場所や小物、人を探すこと。しかも、お金をかけずに。
ディレクターのけっこうな無茶ぶりにこたえるというのがアシスタントディレクターの主な仕事といえます。
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情報番組のコーナー、どんなのがある?
情報番組は、生活に密着した情報を提供するもの。衣・食・住、エンタメに関わる情報を提供しています。例えば…
- ニューオープンの飲食店
- 旬の食材やその時期に合った料理
- 時短になる洗濯、掃除、整理グッズの紹介
- 流行の着こなしやお値打ちの洋服や小物が揃うファッションブランド
…などなど。
巨大食品スーパーや、アイデア生活用品店、調味料専門店をタレントさんたちが訪れて、買い物をしていくというのは、ここ数年のトレンドでもあります。
売れ筋をランキングで紹介したり、用途が分かりづらいモノをどう使うのかクイズにしたり、ゲストがカゴに入れるようにMCがプレゼンしたり…
コストコや業務スーパー、カインズ、ニトリ、スリーコインズ、ダイソーなどなど。
こうしたお買い物の場合、商品だけではなくて、どうやって使うか?という使い方がわかる映像がワイプで入ったりしています。
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生活便利グッズの紹介Vをつくる
その、ワイプの中の映像を作るのは、ADさんのお仕事です。
例えば、洗濯ものを干す、物干しハンガーで、ワンタッチで洗濯物がぜんぶ外せる、という商品。
形状は一般に売られている物干しハンガーと変わりませんから、その利便性を見せなくてはなりません。
物干しハンガーにつるす洗濯ものを用意します。これは私物のタオルや靴下やTシャツを準備して、同僚のADに手伝ってもらって、撮影します。
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料理Vをつくる
世界の調味料も手に入る食材専門店でお買い物をするコーナーがありました。
プロの料理人ともいえる芸人さんが、グルメな女性芸人トリオと買い物。
自身が私生活でも使っている調味料をゲストに紹介すると、ゲストはカゴに次々と放り込んでいきます。
調味料はどう使えばいいか分かりづらいですし、海外のものだと味も分かりづらいので、その調理シーンを入れなくてはなりません。
さて、そこでADさんの出番です。調理VTRを撮ります。
準備するのはコンロ、食材各種、調理道具、盛り付ける器です。
で、場所ですが、だいたい、会議室で撮影します。
その調味料を使っているシーンだけ撮影できればいいので、一から料理する必要はありません。
レトルト食品や冷凍食品、スーパーのお惣菜コーナーから入手します。
調理道具や器は制作会社に揃っていることが多いです。
情報番組を制作していると、調理撮影は頻繁にあります。
なかなかの品数を取り上げる場合、1日中、会議室で調理シーンの撮影、ということもあります。
料理が好き、料理がうまいなら、特技に料理と書いておくとアピールポイントになるかもしれません。
今回は情報番組でのADさんの仕事を一部紹介しました。
もちろん、これは一部であって、ほかにもいろいろな仕事があります。
実はアシスタントディレクターはマルチタスクな仕事。
同時に複数番組の違う仕事を掛け持ちしています。
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