Youtubeにより、誰でも動画をネット上にあげられるようになりました。
最近ではユーチューバーと呼ばれる人たちが増えてきて、小学生がなりたい職業にも入るほどになってきました。
さて、今回はテレビ番組で見る映像動画とYouTubeの映像動画の作り方は、何が違うのかを考えてみたいと思います。
確かにユーチューバー達が撮った動画は面白いものがたくさんあります。
でも、つまらないものもたくさんありますよね。
素人が撮った動画なんだから仕方がないと言えばそうなのですが、プロの作るテレビとは何が違うのか、
人気があるユーチューバーの動画は、なぜ人気があるのかを考えてみます。
動画を面白いと感じない理由
動画を見ていて不快に思う事が多々あると思いますが
まずはその理由を上げてみたいと思います。
- 見ていてもつまらない、退屈
- 顔、しゃべり方が気持ち悪い
- 本物だと思って聞いたら素人が歌っていのでがっかりした
- お金儲けをしている感じが嫌だ
- 楽しそうで成功している感じが鼻につく
- おもちゃ系、アニメ系はつまらない
- 子供をネタにするのは問題だ
- 有名だから好きな人も多いが嫌っている人も多い
- 効果音が不快、大きすぎる
まだまだありますが、大まかに上げてみました。
これらのどれかを感じたことがある人は多いのではないでしょうか。
さて、このなかで
「つまらない、退屈」
と感じるのはなぜなのかを考えてみます。
素人の動画は記録が多く、視点は無い
なぜユーチューバーがたくさんいるのかというと、何を撮ってもいいし、誰でも撮れるからでしょう。
そこに「ぜったいなくてはいけない技術」や「守らなくてはいけないクオリティ」はありませんし、
何か資格が必要なわけでもありません。
動画のプロは人数も仕事も限られていますけど、動画の素人はたくさんいます。
そもそも母数が多いので、事故やおもしろい現象、事件に遭遇しやすいという点では、プロよりも素人の方のほうが格段にチャンスがあります。
よくニュースで素人が撮影した火事の映像動画が使われたりしますよね。
あれは動画には違いありませんが、「記録」なんですよね。
火事の記録なので、どの程度の火事だったのか、どんな建物なのか、どれくらい焼けているのか、といった事実がわかる資料のようなものです。
記録には撮る人の気持ちが無いので、見ていてもあまり心には伝わってこないのです。
状況がわかるための記録ですから。
おもしろい事件に遭遇したからそれを延々と撮って流したらすごく面白いのではないかと、普通は思うのではないでしょうか。
ところが、いくら上手に撮っていても、事実を写しただけの動画というのが感動を呼ぶか、誰もの心に響くかというと、そうではありません。
実はそれは面白くはないのです。
それはただの記録だからです。
ところが面白くない原因を、撮影の仕方や、アングル、撮影距離など技術が悪いからだと勘違いする人が多いです。
実はそこではないんですね。
心やストーリーがそこにあるかどうかが、実は一番面白さと繋がっているのです。
テレビ番組にはテーマ・視点が必ずある
何気なく見ているテレビですが、プロが作っているテレビ番組には「テーマと視点」というものがあります。
一言でいうと「何を伝えたいのか」ということです。
プロが作る時には、必ず伝えるテーマを元に視点を決めてたくさん撮った映像から必要な物を抜粋していくんですね。
番組のテーマをもとに抜粋していくわけです。
番組はその尺になるまでにその尺の約10倍ほどの素材を撮影しています。
そのために何を抜粋していくかが実は難しいんですね。
ストーリー性といってもいいでしょう。
人は生きている限り、毎日どの瞬間もストーリーがあります。
その中でどのストーリーを切り取るか、といえばいいでしょうか。
ストーリーといっても、嘘とかやらせはもちろんダメですよね。
- 何をテーマにして
- それをどんな風にそれを伝えるか
- 何を伝えたいのか
ということを何も意識せずに作ってしまうと、切ってつなげた映像はただの記録になってしまうんですね。
編集技術は大切か
では抜粋して編集していくのに、技術が大事なのかと思うかもしれません。
もちろん編集というのは誰でもできることではありませんから、自分でできるようになった方がいいです。
でも実はこれも付属的なことだと思います。
編集技術というのは確かに上手な人、下手な人がいますが、
いろんな映像をみて真似をして、数をこなしていけばいずれできるようになるものです。
ところが何年かすると、
何かが足りない、何が足りないんだろう
と思うようになります。
それを思うようになるのは、人によって違いますが、おそらく数年から10数年たったころでしょうか。
ずっとそれに気がつかない人もいると思いますが。
何をテーマにしたいのか、その軸が無いとどんなに上手に編集しても、ただの記録になりがちなんですね。
例えば新しいお店を紹介するとしたら、
どこにあってどんなお店で、何が特徴なのか、というのを視聴者にわかりやすくするのはもちろん必要なのですが、それだけで終わってしまうとそれは記録です。
- なぜそこにそのお店ができたのか
- 他と何が違うのか、なぜ違うのか
- そもそもどうしてこのお店を作ったのか
と掘り下げていくとそこには店主の思い入れや、人生の一部分がクローズアップされてくるかもしれません。
その中で、どの部分を切り取って掘り下げていくか、何を伝えたいのか、どんなストーリーが隠れているのかを探り出すこと、
それが作り手の腕の見せ所といってもいいでしょう。
テレビの仕事を目指す人は、テレビ制作の専門学校にいき、そこからテレビ業界に来るという人が数多くいます。
テレビ制作の専門学校では基本的な技術や編集の仕方を習うので、
番組に配属になった当初は、いいでしょう。
でも専門学校を出たからといって良い作り手になるかというと、必ずしもそうではないのは往々にしてあることです。
テーマを持ち、視点を意識して作っていくことに気付かないと、つまらない映像しかできなくなってしまうからです。
逆に、編集技術やカメラが下手でも、作り手の伝えたい気持ちが伝わってくるような映像というのもあります。
それは見ている人が知らず知らずのうちに引き込まれるものです。
作り手、演出している人が、何をテーマにしているか、どんな視点で作っているのか、何を伝えたいのか、それが大切だと思います。
面白い動画を撮るコツとは?
テーマがないと、誰を主役にして何を語り手にするかを決めることができません。
また、みている人に何を感じてもらいたいか、どんな気持ちになってもらいたいかも大事でしょう、
- リラックスなのか
- 緊張感なのか
- 深刻なことなのか
それも考えつつ、テーマを決めて誰を主役にするかを決めていくわけです。
そしてどうやって掘り下げていくか。
いい作品ができないのは技術のせいだと思い、視点が自分という近いところにある限りは素人のままだといってもいいかもしれません。
「視点を自分ではなく遠いところに持っていくこと」がプロへの一歩ではないかと思います。
関連記事:カメラワークと画角に関する撮影用語解説
プロであるディレクター・プロデューサーの役目
ユーチューバーの場合は2人とか3人程度で作るので、視点やテーマは自分たちで考えて決めればいいのですが、
テレビの場合は大勢で作ることが多いので、各々の考え方がバラバラだと良いものはできません。
プロデューサーの仕事の一つに、ディレクターをはじめ、関係者の人を集めてテーマ・視点を理解してもらうという仕事があります。
スタッフのモチベーションを上げたり、テーマを共有し、同じ視点に立ち、
考えを擦り合わせて、撮影し、編集していくことで感動の作品や、人の心にうったえることのできる作品ができていくんですね。
スタッフの人数が多ければ多いほど隅々までテーマ、視点を浸透させるのは難しいことです。
視点がずれると全く違うものができてしまいます。
人気のあるユーチューバーの作品を今一度見ると、撮影や編集の技術がそれほどうまくなくても伝えたいこと、伝えようとしていることがあるのがわかってくるかもしれません。
プロの現場においては、大勢が同じ方向を向いてものづくりができるように、統率をとる指揮者が必要です。
それが、ディレクターやプロデューサーの役目でもありますね。
これからはますます多くのメディアが出来ていき、プロと素人の境目もあまりなくなり、同じ土俵で多くの動画が作られていくと思います。
見て良かった、と思われるような動画がたくさん生まれると良いですね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
弊社はテレビ局出向型の番組制作会社です。
テレビ局でプロの現場で制作をしていきたい、という方からのエントリーをお待ちしております。
ご興味、ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
関連記事:テレビ局に採用される人の特徴
では今日はこのあたりで。
