テレビCMを放送する時、テレビ局で考査という審査のようなものを受ける必要があります。
この考査には、
- テレビCMの表現に不適切なものが含まれていないかを見る表現考査
- 企業としての業態を見る業態考査
という2種類の考査があります。
今回は後者の業態考査について、どんなところを見られるのか、どういう企業だとNGになってテレビCMが放送できないのか、ということを、広告代理店である弊社ライズアドバートが解説したいと思います。
見出し
業態考査で用意するもの
業態考査を行う時は、テレビ局に以下のものを提出する必要があります。(テレビ局によって提出するものが異なる場合があります)
- 会社概要がわかるパンフレットなどのデータ(なければ公式ホームページのURLなどでも可な場合があります)
- 登記簿謄本…法的な登記などを確認するため、発行後2ヶ月程度の履歴事項全部証明書が必要です。
- ご担当者様のお名刺…調査期間の調査連絡先として
- 商品の現品…何かしらの商品をテレビCMで放送する場合は、商品現品の提出が必要な場合があります。健康食品や化粧品などの場合は必要になることが多いです。
- 商品説明書…商品をCMする場合は、CM内商品に関連する説明パンフレットなど
その他、広告表現に関わる価格表やキャンペーン内容などの資料が提出されることが求められたり、通販CMの場合はテレビショッピング調査票が必要な場合があります。
これらはテレビ局によっても提出内容が異なる場合がありますので、基本的には広告代理店の方でまとめて、企業さまにご連絡がいきます。
放送基準に基づいて取り扱うことができない業種
許可・認可のない広告主
許可や認可を要する業種なのに、許可や認可がない広告主の広告は取り扱うことができません。
登録や届出が必要な業種についても、登録、届出がない場合も同様です。(放送基準・第14条105)
私的な秘密事項の調査を業とするもの
人権侵害や差別の助長に繋がるようなかたちで、個人情報を収集、利用するものは取り扱うことができません。
民放連の放送基準では、
- 探偵業
- 興信所
- そのほかの信用調査期間
の広告は取り扱わないとしています。
企業側でどのような個人情報の取り扱いを行っているか、ということも裏付けできるような資料が求められることがあり、お店の中に掲示してある個人情報の取り扱い指針のデータなどを提出したりすることもありました。(放送基準・第14条109(2014年11月1日改正))
科学を否定するもの
- 占い
- 心霊術
- 骨相
- 手相
- 人相
など、科学を否定したり、科学的根拠を示すことができないものは取り扱うことができません。(放送基準・第14条108)
放送基準に基づき取り扱うことができない商法
権利関係や取引の実態が不明確なものは取り扱うことができません。
民放連放送基準ではマルチ商法(連鎖販売取引)やそれに類するもの、キャッチ商法(キャッチセールス)、SF(催眠)商法などや男女交際斡旋業は取り扱わないとしています。(放送基準・第14条98)
関連記事:結婚相談所のテレビCMの動向と制作時に考えなくてはいけないこと
放送基準に基づき取り扱わない商品
視聴者に不利益を与える可能性がある商品
広告は真実を伝えて、視聴者に利益をもたらすものでなけらばならない、とされています。(放送基準・第13章89)
関係法令に反する商品
関係法令など(各省庁の告知、通達、通知など)に反する広告は取り扱うことができません。
CM表現では問題がなくても、ホームページやチラシ、パンフレットなどのほか媒体で法令に反する表示がある場合は、広告は取り扱うべきではないとされています。
また、法令には反しないものだったとしても、テレビ局側で独自の規制を行うこともあります。(放送基準・第13章90)
関連記事:提供でCMを放送するってどういうこと?予算はどれくらいかかる?
テレビCM規制の考え方
ここまで業態考査において、どのような事業を行っている広告主がNGになってしまうのか、ということを紹介してみました。
基本的な考え方として、テレビ放送は多くの視聴者が受動的に情報を受け取るため、公平かつ正確な情報を伝える必要性があり、視聴者に損害を与えるような内容であってはならないという考え方があります。
実はテレビは防災機関としての役割も担っており、災害時などには番組が切り替わって速報のニュースを流したりしますよね。
そういった役割のことも考えて、日頃から視聴者の信頼を損なうような情報発信がないように細心の注意を払っているのです。
最近ではインターネット広告の市場が広告市場の中でも大きな割合を占めるようにはなってきましたが、こういった厳正な審査を行って、誰もがCMを出せるわけではないとしているテレビは、やはり視聴者からの信頼が厚く、企業がブランド力や認知度を高めるためには有効な広告手段なのではないでしょうか。
関連記事:テレビCMとネット動画CM、その違いは?どちらを選べばいい?