映像制作のコツ PR

テレビ番組の食レポのシーンと、そこで撮影した料理はどうしてる?

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弊社ライズプランニングはテレビ局出向型の番組制作会社です。

主に情報・報道番組の制作に携わっています。

情報番組やバラエティ番組、旅番組では、飲食店を取り上げることが多々あります。

タレントやリポーターがお店を訪れて、料理をいただき、食レポをするシーンがありますよね。

(弊社グループ企業でも、グルメ系の番組を制作する機会は多いです)

量が多くて食べきれないときは、テロップ「このあとスタッフがおいしくいただきました」と出されることもあります。

この試食のシーンはどうやって撮影して、そのあとどうしているのでしょうか。

試食シーン撮影の流れ

試食のシーンは、リポーターが注文して、テーブルに料理が運ばれて、見た目や香りといった第一印象をリポートします。

そして、一口いただいて味のリポートをします。これを「食レポ」といいます。

複数のメニューを取り上げるときは、ひととおり、すべての料理を食レポします。

そのあと、料理だけを撮影していきます。

料理を撮影するのは「ディスプレーカット」ともいいます。

ディスプレーカットを撮ったら、料理に箸をいれるアップを撮影します。

これを「箸上げ」といいます。

だいたい、流れは全ての料理の「食レポ」を撮影してから、一品ずつ、「ディスプレーカット」と「箸上げ」を繰り返します。

段取りで、ディスプレーカットと箸上げを撮ってから、食レポする場合もありますが、たいてい撮影のときには、同じ料理を食レポ用とディスプレー用の2つ作っていただきます。

一品ずつディスプレーカットを撮影してから、食レポすれば、料理が一つでいいんじゃないか、段取りもいいのでは、と思いますよね。一品めのディスプレーと試食、二品目のディスプレーと試食、という流れ。

そのためには、試食をするスペースと、料理を撮影するためのスペースを別に設ける必要があります。

さらに、料理用の照明をセットしておかねばなりません。お店の中に料理撮影用のスペースがあること、料理撮影用としてもう1セットの機材が準備できることが条件になります。

試食を撮影するときと、料理を撮影するときは、何に焦点を当てるかが、違うのです。

画角も違いますし、照明の当て方も違います。

カメラにつけるレンズも違います。

ディスプレー用の照明とレンズは、試食を撮るのとは違うのです。

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料理の撮影は一品撮影で焼く1時間

料理を撮影するのは、カメラのセッティングをするのに30分程度かかり、ディスプレーと箸上げを撮影するのに、15分くらいかかります。カメラの撤収で10分ほど。

一品撮影するだけで1時間近くかかります。

複数の料理を撮影するときは、一品目の撮影をおえてから、作ってもらって、撮影しますので、2時間くらいかかります。

料理はあたたかい料理が多いので、作りたての湯気がでている料理を撮影したい。

そのために照明やレンズをセッティングして、画角も決めておいて、そこに料理を置くようにします。料理を置いてからセッティングするのでは、作りたてが撮れないのです。

寿司の場合だと、長く置いておくと、表面が乾いてしまいます。

寿司はネタの鮮度で、おいしそう!と感じるのに、少しでも乾燥してしまうとおいしそうと感じません。

(画像は回転寿司の寿司ですが、握りたての方が水分を多く含んでいるので美味しそうに見えるのです)

照明をあてると、あっという間に乾燥してしまうので、握ってもらってすぐ撮影します。

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料理を撮影して、箸上げを撮る

ディスプレーカットは、料理の全体像が分かるような画角で撮ります。

このカットには料理名や値段の情報がテロップで入りますから、どの位置に入れるのかイメージしながらサイズを決めます。

ナレーションをイメージしながら、料理にズームしたりパンしたりします。料理を撮影したら、リポーターのレポートに合せて、箸やスプーンを料理に入れて持ち上げます。

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箸上げ撮影のコツ

箸上げのシーンは、ディレクターの仕事です。アシスタントディレクターがやる場合もあります。「いかに、手の震えを止めるか」がポイントです。

熟練のディレクターであっても、手の震えを止めることは至難のワザ。

手の震えを止めるコツは、カメラを意識しないこと。

視線を手元ではなく、料理の先の遠くの一点において、そこに集中することです。

箸を持った右手を左手で支える人もいます。左手を添えると、左手も震えていて余計に震えるという人もいます。息を止めるという人もいます。深呼吸すると震えが出ない、という人もいます。

グルメ系のディレクターは、いかに手の震えを止めるか、その都度工夫をしています。

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作ってもらった料理はどうする?

レポーターは、試食が一品ですむときは、ぜんぶいただくことがありますが、ほとんど数口いただく程度です。

試食での残りや、ディスプレーカットで撮影した料理は、スタッフでいただきます。そのとき食べきれなかった分は、持ち帰って会社のスタッフのまかないとしていただきます。

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作っていだたいた料理の料金は支払う?

飲食店を取材するときには、料理をたくさん作ってもらいますが、その料金はどうしているのか、というと、必ずお支払いをします。

年配のディレクターや、フリーランスのディレクターの場合、支払ったことがない、という人も稀にいますが、それはアシスタントディレクターやプロデューサーが支払いを済ませていたからだと思います。

わたしがアシスタントディレクターのころは、支払いをどうするのか、は番組やプロデューサーによって、決まりがあったりなかったりしました。

そのころは、取材するときは支払いはしなくてもいいという風潮さえありましたが、今はどの番組もきちんと支払うようになったと思います。

一時は、スタッフの食事もお店に出してもらったり、一度取材したお店を訪れて飲み食いする不届きなプロデューサーも存在したらしいですが、そうしたことは一切聞かなくなりました。

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お店が料金を受け取らない場合もある

まれに、お店の方針として料金は結構です、と仰るところもあります。

お店のなかで押し問答になるのもご迷惑になる場合があります。

そういうときは、いったんは身を引いて、全て取材が終わったときに、お礼状と一緒に、お礼のお品をお送りします。

お料理のお店でいちばん喜ばれるものは、流行のお菓子やお茶だったり、地方でしか手に入らない食材や調味料、旬のフルーツなど。

飲食のお店だから、食に関わるのは失礼では、と思われるかもしれませんが、飲食店の方は忙しくて地方に行かれる機会は限られています。

別のロケで地方に行ったり、別の飲食店を取材して美味しいと感じたときに、「地方に来ていまして、おいしいものに出会ったのでぜひご賞味いただきたく、…」あるいは、「いま、こういう農園で取材しておりますが、旬だということでぜひ味わっていただきたく、…その節はまことにありがとうございました」と一言添えてお送りします。

関連記事:飲食店がテレビの取材を受けるメリットとデメリット

取材する側と受ける側は対等でなくてはならない

取材する側と取材をされる側は対等でなくてはなりません。取材する飲食店から何かをいただくことがあってはならないのです。

番組ではいくつかの店舗を取り上げることがありますが、何かを特別にしていただくと、どうしても肩を入れたくなります。

意識しなくても気が働いてしまうのは、人なら当然のこと。

そうした余計なことをしなくてもすむように、何かをいただいたり、サービスしてもらったりということはしないようにしています。

そのお店の味が気に入れば、それ以降も通ったり、常連になることもあります。

取材する側がきちんと客としてわきまえていれば、お店も大事な常連として扱ってくれます。

グルメ番組で出会っても、番組を移って、報道番組やバラエティ番組を担当することがあります。

実際にライズプランニングのスタッフの中には、情報番組からバラエティ番組へ異動した方もいらっしゃいます。

【ADインタビュー】情報番組からバラエティ番組へ!職場の雰囲気も全然違います。という記事でも紹介しておりますので、ご一読くださいませ。

報道番組になったら、今の状況についてインタビューさせてくれるお店を探すことがあります。そうしたときに、すぐ対応してくれるかもしれません。

バラエティ番組でもちょっとした飲食店のシーンがほしいときがあります。そういうときに協力してくれるかもしれません。

一度取材したお店をその後、別の切り口で取材することもありますし、別の番組で取り上げることもあります。

その都度、気持ちよくお仕事ができるのは、対等だから可能なのです。

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テレビ制作歴25年。テレビの業界の内側と、テレビ番組の裏側をわかりやすく発信していきます。







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