テレビ局の就職倍率はいまだに100倍を超える超難関。
以前に比べると、本気でテレビ局に入りたい、テレビ局で働きたい人たちが集まってきているそうです。
さて、就活生を悩ませている項目が「ガクチカ」。
学生時代に力を入れてきたことを書く欄に、何をどう書けばいいのか、そもそも書けることがない、と思っている人が多くいます。
テレビ局や大手制作会社は学生が書いている「ガクチカ」をどう見ているのでしょうか。
見出し
「ガクチカ」で何を見るのか?
いったい、企業は「ガクチカ」で何を見ているのでしょう。
学生のみなさんは、学生時代に力を入れてやりとげたことを評価しているのではないか?だから何か自分が残した結果を書かなくてはならない、と思っていませんか?
あるいは、いい役職についていなくてはならないのでは、と思っていないでしょうか?
採用者が見ているのは、そうした結果を見ているわけではありません。
「ガクチカ」は「特技」や「得意なこと」と同様に、その人の能力や可能性を推し量るための材料です。
その体験によって、その学生にどんな能力があるのか、どんな力が身に付いたり気づいたり成長したのか、そして、それらの能力が将来、会社でどんな化学変化を起こしてくれるのか、を企業は見ています。
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みんなが書いている、「留学」「副部長」「バイトリーダー」は価値がある?
就活生のみなさんが書いている「ガクチカ」、どんな内容を書いているのでしょうか。
- 留学
- 副部長
- バイトリーダー
このいずれかについて書いている人が半数以上います。
ネットで「ガクチカ 書き方」で検索すると、この3つの文例が多く出てきます。
もし、この3点のいずれかを取り上げるなら、自分以外にも大勢が書いている、と承知しておかねばなりません。
大勢いるから、書いても価値はない、というわけではありません。
テレビ局や大手制作会社が、この学生はおもしろい番組を作りそうだ、と思わせる内容を意識して書く、ことが必要です。
どういう点を取り上げるのか、でほかの学生よりも抜きんでることができます。
これらほどの経験もしていない、という学生さんも気落ちすることはありません。
日常生活のなかで行ってきた習慣を洗い出してみましょう。
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会社が欲している人物像を意識する
企業への提出書類は、「自分はこういう人です」とアピールするためのもの。
企業側が欲している人物像と、どれだけマッチするか、が採用基準です。
ガクチカを書く前に、相手がどんな人物を欲しているのか、をイメージしてから書きます。
ここがずれてしまっては、相手の視野にも入らず、落とされかねません。
例えば、副部長として部長の補佐をした、という経験を書くとしましょう。
補佐したことを重点的に書くと採用基準に達しません。
なぜなら、補佐をする人というのはテレビ局や大手制作会社にたくさんいるからです。
テレビ業界における大企業が欲する人材は、ほかに代替えがきかない人です。
テレビ局や大手制作会社が欲する人物とは
テレビ局や大手制作会社が欲している人材は、プロデューサーです。
プロデューサーの役割を自分の中で落とし込んでいないと、軸がぶれていきますから、プロデューサーとはどんな人なのか?自分の経験のなかでプロデューサーとして活かされることは何か?を分析しておく必要があります。
なぜ、ディレクターではなくて、プロデューサーなのか?を説明しましょう。
それは、番組を作るための最高位のポジションがチーフプロデューサーだからです。
テレビ番組の制作は、分化専門化されています。
テレビ番組制作は企画から放送まで、さらにその先の放送素材の運用や保管まで、工程が細分化されており、それぞれに専門のスタッフがいます。
撮影をするのはカメラマン、編集するのは編集マン、と分かれており、カメラマンが編集もする、ということはありません。
それらの人たちは、それぞれ専門の会社があります。
撮影を担う撮影技術会社、編集をするポストプロダクション、ディレクターが所属している映像制作会社が多数存在します。つまり、彼らは代わりになる人が多数いるのです。
しかし、番組のトップにたつプロデューサーには代わりはいません。
そして、そのプロデューサーはテレビ局員なのです。
番組のトップに立てるプロデューサーになる気質があるかどうか、をテレビ局あるいは大手制作会社は判断しなくてはならないのです。
大手制作会社もプロデューサー候補を採用したいのは、テレビ局員のプロデューサーと同等にやりとりできるプロデューサーが必要だからです。
もちろん、テレビ局や大手制作会社はディレクター職もありますが、プロデューサーと兼任したり、プロデューサー的視点が求められています。
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ガクチカに盛り込む要素
企業が見ているのは、その人がプロデューサーとして化けるかどうか。という点。
学生時代にプロデューサーを意識して活動した人はそれほどいないでしょうから、この人はプロデューサーとしての素質があるかどうか、というのを見ていると思います。そのプロデューサーとして必要な性質とは、
- 企画力
- 交渉力
の2点です。
企画力とは?
プロデューサーの能力の一つは「企画力」です。
自分がテレビでやりたいことを提案し続けることが仕事です。常に、
- これは番組にしたらどうなるか?
- どうすれば面白くなるか?
- どうやれば視聴者が関心を持ってくれるか?
を考えているのですが、学生時代にそんな日常を送っているはずはありません。
企画をしたことがない、という学生がほとんどです。
ではどういう経験が書かれていれば、「この人は企画力がありそうだ」と思われるのでしょうか。
企画というのは、視点をたくさん持っている、とも言えます。
テレビ番組というのは、今まで存在しなかった番組を生み出すのではありません。すでにテレビが誕生して60年たっていますから、あらかた出尽くしています。
同じ素材をどんな視点でとらえるのか、誰の視点に置くのか、で違う番組になります。
その視点の多さというのは、インプットしてきた量と比例します。
- 学生時代にどれほどの知識を吸収してきたのか
- どれほどの体験をしてきたのか
- どれほど観察してきたのか
で相手は想像することができます。
交渉力とは?
プロデューサーは自分が動くのではなく、人を動かすのが仕事です。
自分ひとりが頑張ってどうにかするのではなくて、それぞれの工程で得意とする人を集めて、短時間でよりよいものを作り上げる、というのが仕事なんですね。
工程がたくさんあり、それぞれにそれを専門とする人がいる。
目の前には取材先がいて、自分の背後には組織が控えています。
それぞれの人を説得したり調整したりしながら、制作を前に進めていく、というのが仕事です。
対する人が多いほど、衝突もありますから、それを一つ一つ解決し、納得してもらわねばなりません。
例えば留学をテーマに書くとします。もし、あなたが多くの人からお金を調達してなんとか行ったのなら、そちらの方がプロデューサー的視点と言えます。
自分が頑張って成し遂げたことよりも、助けてもらったり、人を巻き込んでやりとげたことだったり、多くの人のためにしたことの方が、相手に刺さることでしょう。
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企画力、交渉力を想起させる能力を探そう
企画力があります、交渉力があります、とはなかなか言えないかもしれません。
直球でそのように書く必要はないのです。
相手に「この人は企画力がありそうだ」「交渉力がありそうだ」と思わせることができればいいのです。
例えば、ゼミで毎度リポートを出していたとしましょう。
リポートを書くために、そのテーマの本をたくさん読んだ経験があれば、それも企画力を想起させるポイントになります。
短期間の間で何冊もの本をよみ、それを自分の視点でレポートを書くというのは、まさに企画書を作成するときの工程と同じです。
とくに交渉力を発揮したシーンが思い浮かばないなら、例えば、知らない人から道を尋ねられることが多い、とか、友人知人から相談されることが多い、ということはないでしょうか。
そうした人は、そもそも、人から慕われやすい雰囲気を持っているということです。
交渉するという能動的なアクションではありませんが、人が寄ってくるという受け身タイプの交渉力を生まれながらに持っているということです。
毎日、自炊をした、ということもガクチカへ昇華させることが可能です。
一人暮らしをして体調を崩したことをきっかけに自炊することで、母親の体調管理能力や家計管理能力の高さを実感。
料理だけではなく、飲食業界や食品業界、農林水産などへ関心が及んだ、など小さな経験を発端としてどれだけの関心が広がったか、をアピールするのもいいでしょう。
今回は、ガクチカについて書いてみました。
企業は「ガクチカ」で採用するかどうか、を決めているわけではありません。
採用判断の一つの要素。
ほかの要素や面談での印象と受け答えなど総合的に判断されます。
自分のなかのプロデューサー的素質を見つけて反映させてみてはいかがでしょうか。
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