テレビ番組制作の仕事に興味をもってくれている中学生・高校生から、テレビ業界に関する質問をいただきます。
興味はあるものの、ネットで調べてみると働き方に不安を感じるようです。
番組制作会社で面接も行っている私が、いただいた質問について答えていきたいと思います。
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ディレクターとアシスタントディレクターの違いは何?
「アシスタント」は仕事を補佐する人。
あるいは助手、という意味です。
アシスタントディレクターは、ディレクターの助手という意味。
「テレビ番組の制作をしてみたいな。」と思ったら、はじめは「アシスタントディレクター」から。
新人で入って、最低でも3年間はアシスタントとして、ディレクターの補佐業務をします。
番組の性質にもよりますが、ディレクターとしての一通りの仕事を覚える期間として3年くらい。
そしてディレクターとしての仕事をして、感性を磨いていくのに、2年から3年くらいかかります。
アシスタントからはじめて、5年から6年で、番組が1時間ものの場合、10分程度を任されるくらいになります。
新人で入って数年はアシスタントディレクター。(略して、「AD」エーディーといいます)。
そのあと、ディレクターになります。
関連記事:アシスタントディレクターになったら最初にする仕事はどんなこと?
睡眠時間は2時間くらいって本当?
撮影のときなどは、早朝スタートして深夜まで拘束されることがあります。
また撮影が放送日の間際までかかる場合、編集期間が短いときは、徹夜で作業することもあります。
それは一本の作品にかかる期間が1か月間としたら、1日あるいは2日程度のことです。
毎日の睡眠時間が2時間なら、みな体調を崩してしまいますし、劣悪な環境で罰せられます。
2時間しか休めないという仕事はレアケースで、普段は1日8時間から10時間程度です。
毎日2時間の睡眠時間ですと仕事の効率も下がりますし、何もいいコトはありません。
結婚できないって聞きました
結婚する、しない、というのは個人の事情によるものだと思います。
テレビ番組制作に携わっている人だって、結婚している人、こどもがいる人、介護している人、もちろん独身の人もいます。
でもテレビ番組制作以外の仕事の人も同じです。
「この業界だから」というのは、結婚できない理由ではないと思います。
休みはあるんですか?
休みもちゃんとあります。
ただ、放送日に合わせてスケジューリングされますから、休みが土曜日、日曜日、祝日、と決まっているわけではありません。
放送は365日毎日ありますから、土曜日だって日曜日だって、祝日だって、放送はあります。
暦ではお休みの日であっても、そこが自分のシフトであれば仕事になります。
もし、お友達と約束していたり、コンサートのチケットをとっていたり、と予定を入れてしまった場合、
そういう場合は、上司であるディレクターやプロデューサーや、シフトを調整する担当の人に相談します。
「アシスタントディレクターであっても、プライベートは充実させてほしい」と上の人たちも願っていますし、楽しんでほしいと思っているものです。
休みかどうか運に任せるのではなく、自分で申し出て、「この日は休みたい。」と相談することが大事です。
もし同僚がいるなら、協力しあって休みを融通しあう。
お互いに休みがとれるように調整しあえるといいですね。
関連記事:ADに休みはあるの?休日は何をしてるの?
怖い人がたくさんいると聞いたのですが
怖い人もいます。でも稀です。怖くない人の方が多数です。
テレビ制作の仕事は、長らく職人気質の人たちの集まりでした。
テレビの制作現場は多くを語らず、丁寧に教えることをせず、見て覚えるというのがまかり通っていた業界でした。
今はそういうことは前時代的だと思われています。
経験がない人や、経験が浅い人には、丁寧に教えるべきだという考えになっていますし、ベテランが率先してやる、という番組も増えています。
まれに、ではありますが、自分が職人気質のところで成長してきたがために、自分もそういうふるまいをしてしまう、という人や、性格的にきつい物言いをする人、人の失敗を許せない人というのは、どの業界にも少数ですがいるものです。
もしそういう人が周りにいたら、どうするべきか?なかなか正しい判断をするのは難しいものです。
気が合わない人、話がしづらい人が近くにいるなら、相談できる人に愚痴でも構わないので、話をしてほしい。
もし「どうにもならない。どうしていいか分からない」というなら、ずっと我慢することもありません。
逃げるというのも、選択肢の一つです。
関連記事:テレビマンには本当に怖い人が多いのか
テレビが好きだから、テレビをつくる人になりたい
テレビ番組は可能性をたくさん秘めています。
テレビを見て、将来の仕事や好きなコトを見つけた人はたくさんいます。
興味をもったり、実際にその場所へ行ったり、紹介された本や映画や音楽を、購入したり、観に行ったりと、自分の将来やアクションに繋げていく人もたくさんいます。
テレビは人の生活や人生に関わっているメディアと言えます。
テレビが好きなのは楽しいし面白いから。
けれど制作工程は、決してそうではありません。
楽しさ、面白さを求めてこの業界に入ってくると「思っていた仕事とは違う」となりかねません。
ちょっと矛盾するかもしれませんが「誰かの役に立ちたい」ではなく「私はテレビでこういう番組を作りたいんだ!」と強い信念をもってください。
誰かの役に立つのは、その信念を実現させるための手段です。
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